- Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094064001
作品紹介・あらすじ
謎解き×薀蓄が美味しい6皿のスープの物語
元料理人の僕は、別れた恋人から奇妙な仕事を紹介される。それは、湘南に建つ古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために、毎晩一杯のスープを作ること。報酬は破格だった。
屋敷で、僕はマダムの孫娘である風変わりな美少女・千和に出会う。両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、古今東西の料理について膨大な知識を持っていた。幼い頃に母と離れ離れになった僕は、千和に自分と似たなにかを感じ、二人は少しずつ心を通わせていく。
終戦後に食べた想い出のポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、画家ロートレックが愛したスープ、偽ウミガメのスープ、せかい1おいしいスープ……。僕と千和は力を合わせて、無理難題のようなリクエストのなかに隠された”謎”を解いていく。
そしてついに僕は、ずっと探し続けてきた「母と最後に食べた想い出のスープ」の手がかりを見つけるが――。
哀しみから再生し、明日を向いて歩む力をくれる6皿のスープの物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者は、現役のフレンチの料理人としても活躍中。文庫版特典として、作中に登場するスープのレシピを収録しています。装画は浅野いにお氏、解説は『大人ドロップ』『荒川アンダー ザ ブリッジ』監督の飯塚健氏。
感想・レビュー・書評
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古い洋館に住む老婦人にスープを作る元料理人の主人公。表紙はなぜ老婦人の孫娘千和が料理を作っているかのような構図なのかな。たしかに主人公から料理を習ってはいましたが。作中に出てくるスープが美味しそうだった。スープって本格的に作ると手間がかかるんですね。いつもはインスタントのスープですましちゃうけど、たまにはこんな本格的なスープも食べたいな。ただストーリー全体を考えるとちょっとなぁ。イマイチ面白さに欠ける。この著者の他の作品を読みたくなるような気は起きなかった。
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登場人物が淡々としてるというか温度が低いので、全体的に静かな読み心地。
でも熱情はちゃんとある。
スープを作るために語られる偉大な人のエピソードも物語に上手に溶けていて読みごたえが出ています。
温度感と相まって、独特な風合いになっていて良かったです。 -
通勤帰りに読む本がなかったので軽く読めるかな、と手に取ってみました。2時間ぐらいで読める可愛い感じの軽いお話。なんかスープみたい、といったらいい得て妙かも。口当たりは軽い、でも後に残らない感じが。
というのも。登場人物に魅力を感じない。主人公はシェフとしての自分の腕に自信はある割にはどこか卑屈。探究心は無いし、素材にもこだわらない。ヒロインの女の子は生意気でかわいげがなく頭でっかちなのはテンプレとしてもいきなり主人公に懐いた経緯がわからない(同じような体験をしたって外見とか受け答えでわかるものなのか?)。料理本を読み倒している割に食べることに興味がないって(笑)変な子。あと一番のネックは主人公が作る料理があまり美味しそうに描写されてない。ここ、料理物(だと思うんだけど)としては致命的かも。
お客さんも不思議な人ばかり。食べたいものがあるならきちんと説明すべき。料理人を試す、のはいいけどこの料理人、オーナーシェフとかじゃなくて個人の雇われシェフだぜ?人様の家にごちそうになりに行ってもう一度作ってください、はないでしょ。だったらきちんとそのレシピを味わいたいという話を先に通すべき。お金払ってレストランに食べに行ってもやり直しの要求ってよっぽどのことが無いとありえないと思うんですが(例えばオーダーと違う料理が出てきた・異物が混入されていたとか)それを料理をごちそうになりに来たお客がもてなす側に要求するってどんだけって感じ。
料理が出来た経緯とかそういうことに敬意を払うのは確かに必要でしょうが…それを一介の、見ず知らずの料理人に求めるならきちんと説明をするべきだと私は思う。それか雇い主がお客様の要望を料理人に伝えるべき。全部お任せで期待外れとか言われても。それかあれか。キサキさんがお客様にウチの料理人はお客様のご要望の通りのスープを作りますとか言ってたのか?いずれにせよコミュニケーション不足すぎると思う。
というわけでビールと菊芋のスープはお客さんが変だな、と思ったしすべてを俯瞰しているキサキさんは謎すぎるしナンダカナ、なんて思いながら読み終えました。
でも巻末の資料は面白そうな本が色々あったので読んでみようかなと思いました。