スープの国のお姫様 (小学館文庫 ひ 6-2)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 98
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064001

作品紹介・あらすじ

謎解き×薀蓄が美味しい6皿のスープの物語

元料理人の僕は、別れた恋人から奇妙な仕事を紹介される。それは、湘南に建つ古い屋敷で、一人暮らしの高齢のマダムのために、毎晩一杯のスープを作ること。報酬は破格だった。
屋敷で、僕はマダムの孫娘である風変わりな美少女・千和に出会う。両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、古今東西の料理について膨大な知識を持っていた。幼い頃に母と離れ離れになった僕は、千和に自分と似たなにかを感じ、二人は少しずつ心を通わせていく。
終戦後に食べた想い出のポタージュ・ボンファム、ビールのスープ、画家ロートレックが愛したスープ、偽ウミガメのスープ、せかい1おいしいスープ……。僕と千和は力を合わせて、無理難題のようなリクエストのなかに隠された”謎”を解いていく。
そしてついに僕は、ずっと探し続けてきた「母と最後に食べた想い出のスープ」の手がかりを見つけるが――。
哀しみから再生し、明日を向いて歩む力をくれる6皿のスープの物語。



【編集担当からのおすすめ情報】
著者は、現役のフレンチの料理人としても活躍中。文庫版特典として、作中に登場するスープのレシピを収録しています。装画は浅野いにお氏、解説は『大人ドロップ』『荒川アンダー ザ ブリッジ』監督の飯塚健氏。

感想・レビュー・書評

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  • 元料理人の主人公は、古い屋敷で、一人暮らしのマダムのために毎晩一杯のスープを作る仕事を受ける。
    作中に出てくるスープが美味しそうだった。
    登場人物が淡々としてるというか温度が低いので、全体的に静かな読み心地。
    淡々としているからか、特にこの作品の魅力を感じなかった。

  • すっごくスープが食べたくなった。
    作者が元シェフという事でとても美味しそうだ。
    お母さんとそこで繋がってるとは。

  • 古い洋館に住む老婦人にスープを作る元料理人の主人公。表紙はなぜ老婦人の孫娘千和が料理を作っているかのような構図なのかな。たしかに主人公から料理を習ってはいましたが。作中に出てくるスープが美味しそうだった。スープって本格的に作ると手間がかかるんですね。いつもはインスタントのスープですましちゃうけど、たまにはこんな本格的なスープも食べたいな。ただストーリー全体を考えるとちょっとなぁ。イマイチ面白さに欠ける。この著者の他の作品を読みたくなるような気は起きなかった。

  • 登場人物が淡々としてるというか温度が低いので、全体的に静かな読み心地。
    でも熱情はちゃんとある。
    スープを作るために語られる偉大な人のエピソードも物語に上手に溶けていて読みごたえが出ています。
    温度感と相まって、独特な風合いになっていて良かったです。

  • 人々の記憶にまつわる「身近な謎」を解く
    ミステリでもあり、心ほっこり系でもあり...
    分類に悩む作品(^ ^;

    物語は、しばらく現場を離れていた料理人が、
    とあるお屋敷に住む大富豪に雇われるところから始まる。
    雇われ料理人と言っても、大富豪のマダムは
    夜食にスープしか食べない。
    なので主人公は、一日一食スープを作るだけ、
    というのが仕事。

    短編集で、作品ごとにメインとなる人が変わり、
    その人の望むスープを提供できるか...という、
    謎解きでもあり「勝負」でもある料理が続く。

    全編を通して、マダムの孫娘と、主人公自身の
    失われた記憶を取り戻して行く過程も描かれる。

    ザ・執事という感じのキサキがいい味出してる。
    主人公と、孫娘 千和との「男女の恋愛ではない」
    心のつながりがグッと来る。

    作者自身が料理人であるそうで、
    料理のシーンやレシピの解説は出色。
    読んでいる間、ゆったりと時間が流れ、
    とても贅沢をしている気分になる作品でした。

  • 通勤帰りに読む本がなかったので軽く読めるかな、と手に取ってみました。2時間ぐらいで読める可愛い感じの軽いお話。なんかスープみたい、といったらいい得て妙かも。口当たりは軽い、でも後に残らない感じが。

    というのも。登場人物に魅力を感じない。主人公はシェフとしての自分の腕に自信はある割にはどこか卑屈。探究心は無いし、素材にもこだわらない。ヒロインの女の子は生意気でかわいげがなく頭でっかちなのはテンプレとしてもいきなり主人公に懐いた経緯がわからない(同じような体験をしたって外見とか受け答えでわかるものなのか?)。料理本を読み倒している割に食べることに興味がないって(笑)変な子。あと一番のネックは主人公が作る料理があまり美味しそうに描写されてない。ここ、料理物(だと思うんだけど)としては致命的かも。

    お客さんも不思議な人ばかり。食べたいものがあるならきちんと説明すべき。料理人を試す、のはいいけどこの料理人、オーナーシェフとかじゃなくて個人の雇われシェフだぜ?人様の家にごちそうになりに行ってもう一度作ってください、はないでしょ。だったらきちんとそのレシピを味わいたいという話を先に通すべき。お金払ってレストランに食べに行ってもやり直しの要求ってよっぽどのことが無いとありえないと思うんですが(例えばオーダーと違う料理が出てきた・異物が混入されていたとか)それを料理をごちそうになりに来たお客がもてなす側に要求するってどんだけって感じ。
    料理が出来た経緯とかそういうことに敬意を払うのは確かに必要でしょうが…それを一介の、見ず知らずの料理人に求めるならきちんと説明をするべきだと私は思う。それか雇い主がお客様の要望を料理人に伝えるべき。全部お任せで期待外れとか言われても。それかあれか。キサキさんがお客様にウチの料理人はお客様のご要望の通りのスープを作りますとか言ってたのか?いずれにせよコミュニケーション不足すぎると思う。
    というわけでビールと菊芋のスープはお客さんが変だな、と思ったしすべてを俯瞰しているキサキさんは謎すぎるしナンダカナ、なんて思いながら読み終えました。

    でも巻末の資料は面白そうな本が色々あったので読んでみようかなと思いました。

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著者プロフィール

作家・料理家。1981年生まれ。服部栄養専門学校卒業後、料理教室勤務や出張料理人などを経て、2005年『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、デビュー。同作は芥川賞候補になる。作家として作品を発表する一方、全国の食品メーカー、生産現場の取材記事を執筆。料理家としても活動し、地域食材を活用したメニュー開発なども手掛ける。『ぼくのおいしいは3でつくる―新しい献立の手引き』(辰巳出版)、『もっとおいしく作れたら』(マガジンハウス)、『低温調理の「肉の教科書」―どんな肉も最高においしくなる。』(グラフィック社)など著書多数。

「2023年 『樋口直哉のあたらしいソース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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