海と月の喫茶店 (小学館文庫 さ 34-1 キャラブン!)

  • 小学館
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094065220

作品紹介・あらすじ

温かな涙を誘う、思い出のおやつ

祖母の死を機に田舎から街に引っ越して、父親と弟との三人暮らしを始めた女子高生の香月。だが、転校先では友達ができず、母親代わりの家事もうまくこなせず、父親ともぎくしゃくして、居場所を見つけられないまま、寂しい気持ちを抱えて毎日を過ごしている。
ある日、隣の席にすわる男子生徒のノートを間違えて持ち帰った香月は、そこにいくつものデザートレシピが手書きされているのを見ておどろく。「あの間宮くんが、ケーキ作り?」
クラスの中心人物である間宮立海は、いかにも都会的な洗練された男の子。気後れするほど苦手なタイプの彼が、誰にも内緒で菓子作りをしているらしい。立海の意外な趣味を知った香月は、秘密を守る代わりに、菓子作りを教えてほしいと持ちかける。渋々ながらも、立海は香月の師匠役を引き受けてくれることに。
夜だけ開く喫茶店でデザート作りをする立海を手伝いながら、懐かしい祖母のおやつを思い出す香月。ホットケーキ、プリン、かぼちゃぜんざい。誰かに認められるために、自分なりの味を作ろうと気負うけれど……。
思い出の味は、きっと幸せの味。切なくて優しい青春ストーリー!

感想・レビュー・書評

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  • 自分の居場所、か。香月はずっと探していたけれど、おじいさんが言うとおり、自分でつくってしまえばいいのかもなぁ。香月も風希もお父さんも、相手を思いやってるからこその衝突がもどかしかったけど、最後はきちんと言葉で伝え合えてよかった。
    いいよさんの書く女の子は、読み始めはあれ、あんまりこの子好きじゃないかも、って思わせるんだけど、最終的には好きになるんだよな〜。立海くんとのくらげ喫茶でのやり取りもよかった。

  • 藍色とレモン色

  • 香月の気持ちがわかりすぎて、だけどもう大人なのでお父さんの気持ちもわかりすぎて。何か自分でもわからないくらい涙が出た。立海くんとの関係も甘酸っぱくてほほえましい。心がほっこりした。

  • 居場所を求めている。強く強く。
    別に誰かを貶めたいわけではなく、誰かと一緒に、誰かに求められる自分になりたい。
    お菓子という生きていくのに必須ではないものを求めるのは、より強く幸せに生きていきたいという願いのようにも感じる。
    香月をずっと支えてくれた海の景色が実際に行くことで慰めてくれなくなったとしても、立海くんが待っていてくれるといことばとおいしいお菓子が香月の居場所になっていくと思う。

  • 父子家庭で育ち、面倒を見てくれていた祖母の死をきっかけに、海が見える田舎から、海のない都会に引っ越した高校生の香月。
    なかなか新しい学校に馴染めないまま時が過ぎ、隣の席の男の子がお菓子作りをしてることを知る。
    そして、祖母が作ってくれていたようなお菓子を自分でも作りたいと思い、隣の席の男の子、立海に頭を下げお願いし、お菓子作りについて教えてもらうことに。
    何度も挑戦するがなかなか上手くいかず、人と関わることを避け友達もできず、父の再婚の匂わせにモヤモヤし、昔暮らしていた田舎に帰りたいと思い、久しぶりにその時の友達と会って、たくさんの話をするが、自分がついていけない話ばかりされ、ここはもう自分の居場所じゃないんだと感じる。
    自分に良くしてくれる立海や弟とでさえ、仲違いしてしまうが、それでも周りの人の手を借りながらも、成長していくお話。

    私はお菓子作りが好きなので、この本を手に取って読んでみました。
    なかなかお菓子作りが上手くできないのも、家族やクラスメイトと上手く関われないのも、昔の方が良かったと思う気持ちも、共感できました。
    ですが、不器用でも頑張り屋さんの主人公を見て、私も頑張ろうと思えました。
    特にラストは感動し、涙が止まらなかったです。
    とても素敵な作品に出会えて良かったです。

  • 香月が凄く意固地で頑な。そしてびっくりするほど周りが見えない。あまりにも子供でハラハラしながら見守りました。終わりのほうでやっと成長してくれて一安心です。

  • 青い、青すぎる!
    海の青と、夜空の青、そして青春の青‥恥ずかしい(汗)

  • 高校生の次女から借りた本。
    家族で引越し、転校余儀なくされた主人公・香月。新しい学校に馴染めず、授業もついていけず、友だちも作れない。
    お父さんには家事なんかしなくていい。自分のことをしなさい。と言われる。
    私にもできるんだ!と見せたくて、おばあちゃんが作ってくれたおやつ以上のものを作りたいと、同級生の立海にアドバイスをもらいながら奮闘する。
    が、うまくいかない。
    ここには居場所がない。前にいた場所に戻りたい。と願う。
    だけど、前の学校の友だちと会っても、時は流れていて話が合わない。自分の居場所はここにはもうなかったと泣きながら立海に電話する。
    「香月は強いよ。1人でがんばろうとする。」そう励まされ家に戻る。
    そんな立海とも仲違いしてしまうが、立海のおじいちゃんに手をさしのべられ立ち直る。
    今まで作ってきたスイーツは自分でおいしいっと思ってきた?と尋ねられ気付く。
    自分でおいしいと思わなければ、いつまでたってもおいしいものは作れない。
    居場所だってそう。自分で作るものだ。探すものではない。
    同じ年頃の娘を持つ親目線で、香月を応援しながら読んだ。
    娘はこの家が私の居場所だと思ってくれてるだろうか…
    なにか嫌なことがあっても、おかえりって迎えてあげられる家を作りたいと思った。

  • 若いっていいなぁ。前向きで良かった。

  • 主人公の香月は、祖母が亡くなったことをきっかけに、三重県の海の近くの田舎から奈良県の町中に引っ越してきて、父親、中学生の弟との3人暮らしを始めた女子高校生です。転校先の高校のクラスに馴染めず、孤独な毎日を送っていて、友達ができないことを父親にも弟にも隠しています。そんなある日、隣の席の人気者の男子生徒、間宮立海のノートを間違えて持って帰ってしまいます。中を開くと、スイーツのレシピがたくさん書いてありました。立海は夜だけ開いている喫茶店でスイーツを作っていることを内緒にしていました。立海の秘密を知った香月は、立海にスイーツの作り方を教えて欲しいとお願いします。祖母が作ってくれいていたおやつの思い出を胸に、自分の居場所を探す暖かい物語です。父親や弟との心のつながりや家族のあり方などに触れ、涙しました。

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著者プロフィール

2015年、スターツ出版文庫創刊を飾った『君が落とした青空』が22年に実写映画化。また17年からロングヒットの「交換ウソ日記」シリーズは累計40万部を突破し、10代女子を中心に人気を博している。他著に『わたしは告白ができない。』『世界は「」で沈んでいく』『世界は「」で満ちている』など人気作多数。

「2023年 『小戸森さんちはこの坂道の上』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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