- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094068924
作品紹介・あらすじ
ドラマ化大ヒット作、待望の書き下ろし続編
神戸の老舗、富久丸百貨店芦屋川店で敏腕外商員として働く鮫島静緒。日本一の高級住宅地のセレブ相手に、きょうも奔走する。
美容整形に興味があり静緒に試させる女性投資家、息子の中学受験に静緒を巻き込む元CAセレブ主婦。「強い」宝石を集めるイラストレーターの訴訟事件……。そして、プライベートも落ち着かない日々の静緒にヘッドハンティングの話が。同居するゲイの同僚・桝家修平の反応は?
ドラマ化もされた話題作の続編を、「トッカン」「シャーリーホームズ」シリーズ、『政略結婚』など大ヒット作連発の著者が書き下ろしたハイクラスエンタメ!
解説は、読書家で書評エッセイの連載や、新聞の書評委員もつとめる、女優の南沢奈央!
感想・レビュー・書評
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「それが私だ」
失敗も成功も全てひっくるめて自分を肯定する、この考え方が全編に渡って通されていました。
大好きな本で続編を楽しみにしていました。今回は元気をもらえる内容でした。また続編が楽しみです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
富久丸百貨店芦屋川店で働く・外商員・鮫島静緒。
多忙な彼女に、ヘッドハンティングの話が舞い込んで……。
シリーズ第3作。
上流階級の交流や暮らしぶりと、ありとあらゆることがビジネスとなる外商の仕事。
自分にはご縁のない世界が、変わらずおもしろい。
太い客による、大人買いの数々には、痛快さがある。
顧客からも仕事仲間からも、頼られ、信頼される。
静緒の成長が感じられる。
一方、頼れる静緒はなんでもうまくこなしてしまうため、信頼されてない顧客に体当たりしていったり、無理難題と思われる案件を解決していった、初期のような意外性にはやや欠ける。
表紙は「其の三」で、背表紙と扉は「Ⅲ」。
光文社から小学館文庫に変わってから、表記が統一されていないのが、気になる。 -
加速度的に面白さを増していく上流シリーズ3作目。
はじめは高殿円さんのキャラ作りに対して、うさんくさそうな目を向けていたけど今や昔。もう好きが止められなくなっている。
主人公は営業成績を上げるという日常を送るかたわら、結婚、終活、ジェンダーレス、LGBTQなど幅広い人生テーマを取り上げている。それは嫌味のない最高級ボロネーゼを完成させているガンジな感じ。
その中でもジェンダー問題では、田嶋陽子氏をはじめとしたアレルギー全開の人が多い中で本作の主張が腹に落ちる。
──何事も特権的であってはならない
ははぁ、そういうことなのか。ニュアンスの問題だけど女性蔑視ではなく男性優位。もちろん負の歴史を認識した上でだけど、少なくとも今の自分の気持ちにピッタリ寄り添ってくれる表現。
この一言でマイノリティ疲れが癒えた。
バブルの恩恵にギリ与れずに、上の顔色を窺うようになった′70世代。圧迫面接デフォルトの就職氷河期をくぐり抜けて、特権なんてものは何もないと思ってた。それでも配慮すべき余地がまだあった。
お互いを認める世界。
それはただ、「居ていい」という無意識なんだと思う。
それ以外は、なにも押し付けられていない。 -
「それが私です」いい言葉がありました。がしかし、今回の3作目は明らかにトーンダウン。
最初の登場人物のイメージ漫画も良くない。読者各自のイメージを壊している気がする。 -
老舗百貨店の外商員・鮫島静緒の話、第三弾。今回も働きまくり。著作権がらみの問題で弁護士を探し、清家様の終活に関わり、突然の引越しを担当し、中学受験に関わる。自分の引越しは無くなり、転職話も進まず。お仕事系の小説だが、生き方について考えさせられる。
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静緒の外商としての仕事ぶり、大好きです。
転職しちゃうのかなー嫌だなーと思いつつも、転職後の静緒の物語も楽しそうで見てみたいなとも思う。シリーズ三作読んで、すっかり静緒の虜になっています。桝家との距離感もいいなー。続編出ますように… -
ⅠとⅡの間は1年空いたけど、Ⅱからはひと月の間もなくⅢへ進む。
最初の頃1,000万円だったひと月のノルマはもはや3,000万円にもなろうかという勢い。そのノルマに向かって静緒が知恵と工夫を凝らす仕事振りは今回もお愉しみ。
人気イラストレーターへのネットでの中傷に弁護士を手配して戦ったり、余命幾ばくも無い大奥様のために最後のホームパーティを企画したり、自分が購入するつもりのマンションを攫っていった顧客に付き合って一切合切の家財を掻き集めたり、綱渡りのような中学受験の日程を色んなことを天秤にかけながら駆け抜けたり…。
今の世の中、選択肢には困らない中、顧客にとっての困難は「選ぶ」手間という、外商(=百貨店)の存在価値についてよく練られて描かれている。
それと並行して、前作でもあったこれからの人生に対する考え、自らのキャリアアップや家族への思いなどが、静緒に対するヘッドハントの話とともに描かれて、葉鳥が言う『それが、私です』という言葉や大奥様を見送る静緒に去来する『そんなこともある』という言葉に落とし込まれる思いが、こちらもなかなか沁みてくる。
一方で、毎回、引くところがあるこのシリーズなのだけど、今回も、嫌がらせをされたらどうやって対処するかを聞かれた答が『お金を払います』だったり、ルッキズムに触れながら『別の支軸として美しさというものには揺らぎがない』などと書くところは好きになれず。 -
読んでいて元気をもらえる小説。
他人の問題なのに、それを仕事とはいえここまで親身になって考えてくれる静緒は本当に素敵だなぁ。
ルームメイトとの関係も、気の置けない友人のようでいいなと思う。 -
美術館に行きませんか
ようなもの
転職
家を買う
エステートセール
やっぱり面白い!
中学受験のあたりは、息が詰まるやら泣けてくるやら。