世界のシワに夢を見ろ!〔小学館文庫〕 (小学館文庫 た 9-1)

著者 :
  • 小学館
3.79
  • (12)
  • (39)
  • (24)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 219
感想 : 35
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094083453

作品紹介・あらすじ

「世界のシワ」とは……世界の「辺境」のこと。先進国がアイロンのきいた清潔な所とすれば、その逆に「シワだらけ」の地域。早稲田大学探検部出身の著者は、そんなシワ地帯を偏愛し、若さにまかせ頭から突っ込んでいく。 初デートでは奥多摩の洞窟に突入、コンゴの密林でカロリーメイトに涙し、アマゾンで遭難しかけ、花のパリではマラリアとフランス人を相手に格闘……。 単行本未収録のエピソードを7篇追加、あまりのくだらなさに著者自ら「こんなバカな本は最後にしたい」と嘆く、爆笑探検エッセイ完全決定版ついに文庫で刊行!!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • (⭐4寄り)
    旅行も極めるとやがて辺境地に目が向くのだろうか?確かにその地ならではの風習、発展途上だからこそ有る地域の魅力も然る事ながら、いわゆる恐い物(失礼ながら)見たさという気持ちだろうか?何れにしても若くて器量の大きい人でなければなかなか挑戦したいとは思わないだろう。私達はそんな著者の経験した貴重なエピソードをこうして読み、ドキドキハラハラしながら楽しませてもらっている。まだまだ私達の知らない世界は沢山有るのだろうな。

  • 人の見た事のない物や知らない事を求めて旅?冒険?いや、無謀な挑戦?に突き進んでいく著者のその大きな挑戦の合間に起こった細々した事件を書いたエッセイ。初デートに洞窟に行った話や、フランスで命の危機にあった話など、どれをとっても馬鹿馬鹿しくもスゴくもある抱腹絶倒のエッセイでした。

  • 著者自ら「最高の『バカ度』を誇る」「バカ最長不倒距離」という本書。文庫版あとがきの「今後これを上回るバカな本は書けないだろう。少なくとも、そう願いたいところだ」に笑ってしまった。

    ついに朝日読書欄にも登場し、認知度がぐっと高まった高野さん。我が事のようにヨロコバシイ気持ちになりながらも、こんな変な本も書いてるんだよ~んと、これとか「アヘン王国潜入記」とか引っ張り出してきたくなったりする、妙なファン心理なのであった。

    この文庫版は何と言っても解説が素晴らしい!井原美紀さんの鋭い観察力と洞察力に恐れ入る。辺境の旅を好む体質について述べられているくだりにはたいそう納得した。
    「探検家と普通の人との違いは、その瞬間を怯えながら、苦しみながらも、どこかで(これはおいしい)と喜び、快楽にもだえてしまうところにあるのだと思う」
    探検家に必要なのは「タフなサービス精神」「懲りない体質」「健康的で忘れっぽい心」「旅を最初から最後まで遂行するための繊細で緻密な頭脳と、多少のことがあってもびくともしない大ざっぱな神経」「内股の皮が厚いこと」。これはまったく高野さんのことだよね。内股のことは知らんけど。

    井原さんが初対面の時の高野さんについて書いているところで思わず膝をうった。私が三月のトークショーで間近に見たときの印象が、その通りちゃんと言葉になっていた。
    「地面から5センチ浮いているように飄々と歩くその姿は、冒険ヤローというよりは仙人のようだった。眼鏡の奥からの知的な瞳、穏やかな話し方といい、学者といってもいい」「この地上に縛られるもの(家のローン、口うるさい妻、言うことを聞かない子供など)もなにもないような感じで、哲学的にも身軽そうだった」

  • タイトルだけ見た時は何を言っているんだろう?と思ったが、辺境や僻地をシワに例えているのだと納得。まだ若かりし頃の高野さん。無茶にも拍車がかかっている。中々にショッキングな話題や写真も含まれ、決して万人向けではないが、探検エッセイという形で気軽に読める貴重な異文化体験の記録。最初の「初デートは洞窟だ!」からツッコミどころは多く、「コンプリートな男」の光景があまりに滑稽で笑いが声に出てしまった。

  • 世界の“秘境”をゴリゴリと冒険旅される高野さん。(*^_^*) 今回初めてお顔の写真を拝見したんですが、あらまぁ、こんなにハンサムな方だったとは!



    世界の「シワ」とは、どこかひっかかりのある地、という意味で、
    高野さんはアイロンのきいた平坦な場はお嫌なんですね。(*^_^*)

    なんていうか、小さな男の子が道を歩く時にも、普通に歩道の真ん中を歩くのではなくて、塀の上とか溝の中なんかをわざわざ通りたがる感じ??

    でも、初デートで奥多摩の洞窟に行くのはやりすぎだと思うよ。
    鍾乳洞探検、くらいなら女の子も喜ぶと思うけど、体一つ分がやっとという大きさを匍匐前進、しかもたまに体がひっかかって20分くらいもジタバタしないと抜け出せない、なんて、もうそれだけでこの人とはやっていけない、となるに決まってるじゃないですか。
    でも、高野さんは

    洞窟の中には垂直の竪穴50mを上り下りするというハードなものもあるが、常識的に考えて、そんな穴はデートに不向きなので、私は初心者向けの穴に行った。

    と、自慢そうに言うんだよね。常識的に考えて、というフレーズにはもう笑うしかないです。
    彼女さん、可哀想~~!

    その後、口もきいてもらえなくなったから理由は不明だ、なんて、

    高野さん、洞窟が原因だよぉ~~~!

    そのほか、

    コンゴのジャングルで食糧難に陥り、
    いかに仲間に隠れてカロリーメイトを食べるか、の詳細なレポートにはすっごくドキドキしたし、

    インドの蚊軍団にやられて、耳なし芳一の逆バージョンのようにパンパンに耳が腫れた話、

    ポリスにぼったくられ、生命の危険さえ感じたルワンダの話、

    暑いのでテントから出て地面に寝ていたら、メンバーの一人の寝床が毎晩ゆさゆさ揺れ、なんとそれがニシキヘビのお住まいだったという話、(凄い大きさの蛇だった、写真をマジマジト見ちゃいましたよ、私。)

    なんかもう、やめてくれ~~という、冒険談が次々に押し寄せてくる。

    で、普通だったらこんなコワいところは二度と行かないぞ、とか、世界の貧しさに心が折れる、とか、になりそうなのに、高野さんはエンドレスで旅に出たくなるんだよね。
    そして、私のような小心者の読者でも、あはは・・と、明るく笑ってしまうのはなぜ??(*^_^*)

    私にとって高野さんは、本の雑誌の匂いのする脱力系冒険家で、ホント、大好きな人なのだけど、こんな息子がいたら大変だろうなぁ、と。
    ましてや、配偶者だったら、いやいや、それはお互いに無理!ですね。

  • 「世界のシワ」???
    著者の高野さん曰く、「辺境」・「異境」とのこと。
    世界中の「シワ」に夢を見て、山あり谷ありの旅に出ます。
    普通経験できない「世界のシワ」の旅エッセイは、思わず笑ってしまうお話が満載です。
    『ワセダ三畳青春期』なども執筆している高野さんは、早稲田大学探検部出身。
    この旅(?!)、素敵です。とても私には無理だけど・・・。
    単行本版はこちら。
    http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_4093875812

  • 高野さんの色々な場所での短いエッセイ集。

    4,5ページしかないような話ばかりなのにエピソードが濃すぎるし、めちゃくちゃ笑える。
    本当に色んな場所で色んなものに出会っているんだな

  • 高野さん9冊目。
    短いものは4ページほどで、サクッと読めるエッセイ集。
    ムベンベの探検の合間にはこんなことがあったのかというものや、高野さんには珍しい直球の下ネタまで、高野さん自ら「バカ最長不倒距離」というだけある面白話が集められており笑いながら読めた。

  • 辺境作家高野秀行の単行本には収められなかった余談、雑談を氏ならではの面白可笑しい文体で綴る舞台裏エッセイ。
    あの本には、あの紀行には、こんな裏話があったのか!と驚くこと請け合い。
    高野秀行の旅はネタの宝庫。

  • 2021/08/22
    どの話もヒーだの、うわぁだの、爆笑だの、とにかく楽しく読ませてもらえました。
    三畳青春記の奥様とのエピソードはキューンと読ませていただきましたが、まさかまさかの初体験エピソード、しかも辺境にて!こんなに書いちゃってよいのですか??!(笑)

全35件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

高野秀行の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×