震える牛 (小学館文庫)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088212

感想・レビュー・書評

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  • 偽装を題材にしたミステリー
    2年前の通り魔的と思われていた殺人事件を再調査していくうちに初動捜査不足・不備が判明し、
    事件の真相が明るみに。。
    タイトルからBSEは容易に想像できるが、偽装→隠蔽と政治・権力が見える。

  • 震える牛=BSE、所謂狂牛病の事ですね。読み始めて直ぐ大体の内容が分かってしまうぐらい震えました。今回の殺人事件の犯人も直ぐ分かりますし、まあ、刑事コロンボじゃないですけど、犯人が最初から分かっていて、どう逮捕まで持って行くか、そしてその背景には何があるのか・・・って感じですが震えるぐらい面白くなかったですね。
    警察の初動捜査のミスも震えくらい苦しい内容・・・・そんなんないない。

    特に大手SCに恨みを持つネット新聞記者の鶴田さんには震えましたよ。

    鶴田さんの実家が商店街の小さな文房具屋を経営、父上が病気で亡くなった事で母上1人で切り盛り➝鶴田さん本人は自身の仕事で忙しいので妹さんがお手伝い➝そこに大手SCが進出➝お客を取られて廃業➝知り合いの紹介で母上様が再婚➝義父と妹が合わずに妹さん家出➝妹さん大手SCの店長と不倫➝更にやさぐれて風俗嬢➝そして酒井法子さんも愛用したあのお薬に手を出す➝オーバードーズで死亡➝鶴田さん、大手SCが町に来なければ妹は死ななかったと。もう何と言う無茶苦茶な因縁をお付けになられるのでしょうか。恨むなら義父でしょうが、もしくは母上。もう犬が身体に付いた水を払うぐらい私は震えましたね。

    まあ、クソのような加工肉を食わせて利益を出す大手SCへのアンチテーゼを加えながら昔の商店街は良かった、人同士の温かい触れ合いもあり、そして添加物だらけの食品では無く安全な食品がそこにあったと、おい、今の方が昔より食品は安全なんですがね、そんな噓っぱちの昭和ノスタルジーに浸るのはやめため、そうそう『FACT FULNESS』を読みなさい、我々は時代とともに少しずつ良くなっているのですよ。

    テレビドラマ化されたようですが、もうね、ジャニタレを使うから日本のエンタメ業界が駄目になったんですよ、もっと反省しろや、この変態野郎!
    あれ、キャスト見ますとこのドラマにはジャニタレ出てないですね(震え声

  • これぞ、刑事(デカ)っていう作品。どうしても、あのスーパーをイメージしてしまう笑

  • 2年前の殺人事件を聞き込みからひとつづつ追い詰めていくのが面白い。
    <書評より>
    警視庁捜査一課継続捜査班に勤務する田川信一は、未解決となっている「中野駅前 居酒屋強盗殺人事件」の捜査を命じられる。田川は事件の核となる部分に、日本という国の構造変化が大きく関連していることに気付く。

  • 徐々に点と点が線になっていって、事件の真相が分かっていく様子がよく描かれていて面白かったです。
    田川刑事や鶴田記者等キャラクターも良かったです。
    プロローグとエピローグも良かった。

  • この小説は、まちの本屋の著者の田口幹人さんのオススメだったので、迷わず購入。
    あまりに面白くて、一気に読みきってしまいました。
    地方が抱える問題を切実に感じることが出来、また、地元に根付いていたお店の有難さや人と人との関わりの大切さを改めて感じる事が出来ました。
    それにしても人間が便利さや新しさを銘打って、本当に大切なものをたくさん失っている事の怖さも同時に感じる作品でした。
    安全で安心して美味しい食べ物を食べることと、気のおけない仲間たちと一緒にその料理を囲みたい!!とも思わせる作品でした!

  • ノンキャリ主人公の、被害者と遺族の心に沿った地道な捜査がコールドケースを解き明かすのはなかなか読ませてくれるのだが、最近気に入って読んでいる『隠蔽捜査』シリーズ程スカッと終われないのは何故か?
    多分エピローグにある「自由市場主義は、おそろしく偏狭で、近視眼的で、破壊的だ。」という社会的経済テーマを警察小説に織り込んでいるからなんだろうと思う。

    ブクログにて感想書かれてる方の星で読みたい本が増えるのは嬉しい。

  • 非常に面白くて一気読み!!

    解説に書かれている通りに、刑事小説としての面白さに
    現代的なテーマが融合した作品。

    2年前の強盗殺人事件を洗い直す田川。
    金銭目当ての外国人の犯罪として殺害された
    2人の被害者。

    繋がる事がない被害者2人の接点を
    ジワジワと細い線を手繰り寄せて
    真相を暴く田川と池本。

    同進行する食品偽装。

    田川が1つ1つ丁寧に事件の背景に近づく姿が
    ワクワクしたし、田川に協力する池本や同僚達に
    嫌な人が居ないのも良かったかな。

    そして、必ず居るよ~黒幕が!!の期待を裏切らない最終章。

    読む人によっては、あっさり系の警察小説??かも知れないけど・・・私には複雑に絡まり過ぎてないところが良かったです。

    たまに、複雑に事件を色んな方面に絡め過ぎちゃって
    面白いのに勿体ない!なんて感じる作品もあるので。

    満足度高い作品でした。

  •  警察小説の体裁をとっているが、イオンのようなSCが小規模地域社会を破壊する焼き畑商業の不都合、加工食品の安全に突っ込んだ経済小説。ドラマ化しようにも映画かワウワウしか無理だよねこりゃ。現場周辺での聞き込み=地取り、容疑者や被害者の人間関係を洗う=鑑取り、というサツ用語が頻繁に出てきます。ラストのラストがハッピーエンドとはいいがたく、池井戸潤作品とは違って読者としては少し残念。
     ところで、加工食品の100%ビーフという表示が、混ぜ物無しのお肉100%という字面からでてくる意味とは限らず、クズ肉に大量の添加物、具体的には、老廃牛の皮や内臓から抽出した『たんぱく加水分解物』を混ぜて味を演出し、牛脂を添加して甘味を演出したうえで、水で容量を増して、一応100%らしい食べ物にするというテクニックも紹介されていた。
     問題はひとつひとつの添加物は、動物実験を経て発がん性や毒性のチェックをクリアしているが、これを同時に混ぜ合わせた際の実証データはありませんし、国も監視していないということ。企業努力で説明のつかない、安いには安いだけの理由があるようです。

  • 日本のBSE問題、ショッピングモールが提供する食や街への影響をテーマにした小説。

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著者プロフィール

1967年、新潟県生まれ。専門学校卒業後、時事通信社へ。経済部記者を務める。2005年『デフォルト 債務不履行』で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞しデビュー。『震える牛』がベストセラーに。『血の轍』『ガラパゴス(上・下)』『不発弾』『トップリーグ』他、映像化作品多数。主な著書に『ファンクション7』『偽金 フェイクマネー』『復讐の血』『共震』『アンダークラス』『Exit イグジット』『レッドネック』『マンモスの抜け殻』『覇王の轍』がある。

「2023年 『心眼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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