[新世界]透明標本~New World Transparent Specimen~

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (72ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096820391

作品紹介・あらすじ

特殊な薬品につけることで「筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する」という、骨格研究。壊れそうなほどか細い骨でも、生物が生きていたときの位置のまま、立体的にその骨格を観察できる。

感想・レビュー・書評

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  • 密度を持った骨格と
    空間へ曖昧に霞む透明性

    背反するものが、
    生命の輪郭を描いている。

    骨は、
    骸から一切の無駄を削ぎ落としたものである。
    ならばこれは、
    一体どんな思想の果てに成ったカタチなのか。

    透明な群青の脊椎は
    自然界に存在しない。
    だがこの被写体は、確かにかつて生きていた。

    本書は理科学コーナーに並ぶ写真集である。

    水族館の硝子に酔う様な、
    科学室の整然とした魔力に惹かれる様な、
    そんな感覚にとらわれる一冊。

    なお、『ニュートンムック ビジュアルブック 骨』にも
    透明標本について記載されている。
    ポスターもついているので合わせてお勧めしたい、

  • ◆青と赤が織りなす生物のコントラスト◆
    ふらっと立ち寄った書店で、この書籍とともに透明標本の実物が展示されていて、その色合いの美しさに目を奪われました。
    「特殊な薬品につけることで『筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する』という骨格研究の手法」でできているそうです。
    表紙の写真は、紫色と青色が引き立っていますが、生物によってはピンク一色だったり、緑色が混ざっていたりと色の出方が異なり、その違いも面白いです。
    気になったら、中の標本もぜひご覧ください。

  • 特にカエルを呑んだヘビの標本が好き

  • 魚類や両生類など水中・水際で生息する生物たちに特殊な薬品を注入し、その骨格を色鮮やかに浮かび上がらせた透明標本・第1巻。
    「たんぱく質を酵素により分解し、肉質を透明に、そして硬骨を赤紫、軟骨を青色に染色をする」(HP抜粋)ことによって、幻想的な姿で浮かび上がる生物たちはまるでガラス細工のよう。生き残るために進化を遂げてきた生物たちの、生きている時には見られない神秘の姿にうっとりする。
    科学図鑑というよりは美術書としての色が強いように感じるほど魅入った。

  • スケスケです。見事です。
    某ショップで、和金をひとつ買いました。
    内臓も薄い膜となり、明りにあてるとすべての形が見えます。
    次はカエルがほしいなー。

  • もう少しボリュームがあればなぁ。
    標本自体は神秘的ですごく綺麗なので、一つ一つをもっとじっくり、色んな角度から眺めてみたかった。

    カメレオンの標本は一見の価値あり。

  •  普通の標本にはない、美しさが保存されている。これを狂気と思うか、芸術と思うか判断があるいは分かれるかもしれない。しかし、言語化できないような「なにか」を感じることは間違いないだろう。圧倒的な美の前に、人は沈黙するしかないのである。

     ちなみに透明標本の作り方はweb上にいくらでもあって、意外と簡単であることがわかった。特殊な化学薬品が必要なので、特殊な資格がいるようだ。機会があれば資格を取って自分でもやってみたい。

  • 芸術品と呼ぶには抵抗があるなと思い手にとる。
    人間の趣味趣向の為に「生」を用いる居心地の悪さ、というべきか。しかしその気持ちもページをめくるごとに感嘆の溜息へと変わる。
    この世に生を受けたものは美しい。
    そして葉脈のように儚げな小さな骨の先にもその精巧さへの驚きと生への力強さが感じられるのだ。

    標本だろうが芸術品だろうが、その区別さえ人間の自己満足だとは分かっていてもそこにある命に息を呑んで見入ってしまう。

  • 生物の身体を作っている骨格。余計な物をそぎ落とし、身体を支えるという目的に特化した姿はかくも美しい。学術目的だとえてして地味で不気味な物になりがちな骨格標本が、著者の手にかかればガラス細工のような不思議な美しさを見せてくれる。筋肉を溶かし、硬骨を赤く、軟骨を青く染める技術だけでなく、繊細で美しいアートとして新しい形で骨格を見せてくれた事に深く感謝。いつまでも観ていたい美しい写真に仕上げてくれたカメラマンのセンスにも脱帽。

  • きもちわるいと感じるのに美しい、目を逸らしたくなるのに目が離せない、これぞまさしくキッチュだと思う。

  • 人を選ぶが極めて美しい標本の本。

    特に魚類の写真は特筆に値する。一度見たら忘れられない上に現実の存在ながらシューレアリスム的印象を受ける。確かな技術の前では実在も恐ろしく姿を変えて見せるのだ。

    筋肉を透明化する手法のため、主に骨格が浮かぶ写真が多いが、軟体動物の軟骨を染めた様子も印象的。他に当然の事ながら外殻が染まる甲殻類も面白い。

    見えない物を明らかにする、全くのサイエンスながら神秘。

  • 自然物ってなんだか人工物みたいだなぁと思った。爬虫類が気持ち悪くなくて、綺麗。

  • 綺麗だけど、何故だかせつない。
    生物の儚さや脆さがそのまま形になって、かつて生きていたこの標本達が伝えてくれているような気がしました。

  •  通常の「標本」よりは生々しく感じないのは、やはり鮮やかな色彩がある故なのか、それとも透明感による「無機質」としての造形美を一種のデザインとして認識してしまうせいなのか。うん、多分どちらも。
     しかし、見た目の美しさよりも忘れてならないものは、生物における構造学の神秘! その根幹を知るには進化の経緯や過程が重要だが、そういう理屈や御託を抜きにして眺めてみても、生物に見合った形での「無駄のなさ」は究極の機能美とさえ思えてくる。
     生物の身体構造こそ、まさにインナースペースの決定版と思わずにはいられない一品。

  • 2023/11/22読了
    微細な器官の詳細が透明標本によって明らかにされたり、
    消失することで構成物質を予測したりと、生物の神秘の解明に非常に重要な役割を持っていると考えられる。
    芸術品としても価値の高い一冊。

  • 知ってはいたけど、魚、骨多いなと。綺麗でもあり、グロテスクでもある。愚かなことを言うと、神様がデザインした前状態を見ているみたい。

  • ふむ

  • 透明にして骨格を見やすくした生き物の写真集。透明にするからこそ、かえって不透明だったとき(生きていた時)の「生」が浮き出ている気がします。

  • 【おすすめポイント】まるでガラス細工のようですが、本物の生き物の標本です。
    透明標本とは『骨格研究の手法「透明骨格標本・透明二重染色標本」をベースとし、技術の研鑽の元、「命」をより身近に感じる造形作品』とのことだそうです。アートのような美しい動物の形をお楽しみください。
    第2弾の写真集も所蔵していますので、気になった方は書架でご利用ください。
    【請求記号】480:To:1
    【配置場所】2階
    【URL】https://mylibrary.toho-u.ac.jp/webopac/AU00087635

  • 透明標本作成のパイオニアである富田伊織さんの写真集。

    筋肉を透明化し、軟骨を青く、甲骨を赤く染め分ける技術を使って作られた標本たち。


    個人的にはイカとカメがおすすめ。
    イカの透明感のある青と亀の赤く染まった背骨が印象的。
    ホタルイカは残念ながら、なかった。
    緑色のカブトエビも良かった。

    昔、少しだけ標本作成の仕事をしていたことがあるけれど、いい具合の濃度に染めるのが難しいんだろうな。
    哺乳類は、濃く染まり過ぎて?、魚類に比べるとちょっとわからないところもあって、ネズミくらいが限界なんだと思った。

    でも総じて綺麗。
    生き物ってデザインとして綺麗なんだよね。
    「変化と選択」進化って本当にすごいと思う。

  • 請求記号 748/To 58

  • 写真集。生物。標本。
    骨格がまるわかり。新鮮。綺麗。
    魚類と陸上生物の脊椎を比べると、やはり陸上生物のほうが丈夫。これが重力への適応でしょうか?
    ヤマガカシがインパクトあり。お腹の中のカエルまで映るとは…。
    この本を意外にブクログに登録している人が多くて驚き。小説よりも写真集を見る人のほうが多いのかな?

  • [墨田区図書館]

    図書館でさらりと。
    透明、に見えるけれど実際はタンパク質を透明に、硬骨は青く、軟骨は赤く示される試薬による"透明"標本らしい。

    不気味と捉える子もいるだろうけど、その美しさと骨の質(硬さ)の違いによる色の差なども意識するとより面白いし、子どもにも半ば無理やり見せておいた(笑)

    途中、捕食したカエルがお腹の中にいるヤマカガシが面白かった。

  • 透明骨格標本を考えついた人って凄いですよね。
    普通骨格標本てバラバラにしてから組み立てるのが大変だけど、透明標本を見れば一発で骨格の正確な配置が分かるという。
    小さな個体でないと透明化できないという縛りはありますが。

    この技術自体は昔から有るものなので、別に冨田さんが初めてやったわけではないんですよ。
    つまり、誰がやっても基本は同じような物になるんです。
    硬骨を赤に、軟骨を青に染める薬品を使うのは同じなので。
    元々こういう美しい物なんですよ、透明標本というのは。
    一般に知られてなかっただけで。
    勿論、本書のは丁寧な作業によって美しい標本に仕上がってはいますが。

    なのにやたら「作品」という言葉を使ったりするのに違和感を感じます。
    透明標本を単なる研究の一環で作ってきた人は昔からいるのに。
    マーケティングに成功してますけど、実態を考えると冨田さんを持ち上げ過ぎじゃない?と思う。
    まるで芸術家気取りだけど、作ろうと思えば素人にもできる手法なんだよね。

    それでいてこの本は飽くまでアート本を貫いている。
    生物の全身は写さず、面白おかしく見える角度から写した写真ばかりなので、学術的な価値はない。
    せめて学術に役立つような図鑑にするべきでは?
    その筋の人なら誰でも知ってることで抜け駆けして金儲けって、いちばん嫌われるやり方ですよ。
    へんないきものの著者みたい。

    最近冨田作品じゃない標本が売られているのも見ますが、一時期の冨田標本独壇場にはモヤモヤしてたので、良かったと思います。

  • 筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する、骨格研究の手法。

  • 【つぶやきブックレビュー】9/11のサイエンスカフェでも使います。透明標本。

    http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA91859243

  • 美しくて神秘的♡

  • 透明標本。生理的に受け付けるかどうかのギリギリのラインを攻めてくる。キレイでもあり、グロテスクでもある。こんな標本があるなんて知らなかった。透明にすることで、新たに見えてくるものもある。透明標本という手法おもしろい。お気に入りの標本は、ホウライエソとシギウナギ。

  • 透かして

  • 感受性が極めて強く、動物愛も並以上に深い人がこれらを見ると「いくら死んでいて標本だからといって、彩色して観賞するなんて・・・」と思うだろうが、少なくとも私は「標本の世界に、こんな美しいものがあるのか」と感激、そしてすぐ翌日にヴィレッジヴァンガードでこの本を買った。雛鳥にカエル、魚など・・・今までただ何とでもない姿で眠っていた生き物達が、色の魔法で見せるもう一つの「顔」。一度だけでも見ておいて損はないはず!

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