ルポ 中国「欲望大国」 (小学館101新書 12)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250127

感想・レビュー・書評

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  • 日本でもネット廃人とかになっている人がいて
    メディアに取り上げられていたが、中国も結構、深刻の模様。

    バーチャル結婚したり、ネットカフェに通うのを
    止められたから親を刃物ので刺す話とかショッキング。

    アンディラウをおっかける娘の浪費を止められず
    自殺した父親の話とか悲しい。

  • ・3/29 すぐ読み終えてしまいそうだ.それぞれの事件が広い中国のごく一部のものだと分かっていても、かえって世間に明らかになっていない事件がもっとあるだろうことを考えると、本当に大丈夫かと心配になる.
    ・4/2 読了.事実を知るのはいいけどやっぱりその裏にある背景と今後の展望を知らないと真実は見えてこないもんだと実感した.まあ唯一無二の真実なんて無いような気がするけど.心配はいらないんだろうな、きっと.なるようになって、それはそんなにひどいもんでもないのかも.

  • 現代中国の事件や統計データなどを刺激的な文章で紹介するルポ。

    驚きのニュースが多く、どこまで本当なのかと疑ってしまう。
    筆者が取材に行ってるようなので本当らしい。しかし、北京での
    殺人事件の検挙率2007年は11% などのデータは、正直言って引きます。

    中国の全てがこんな感じだとは思わないが、北京オリンピックの
    正のイメージだけでなく、このような一面もあるのだなと
    知るのには良い本だと思います。

  • 中国経済が発展していく途中で起きて いるだけのこととは思えない実情が見えてくる。
    しかし、だからどうしたらいい んだというもう一つ突っ込んで書いてほしかったと思う。

  • 富める者から貧しき者への還流は、売春でありドラッグであり違法行為であり・・・。中国の貧富の差をルポ形式で描くけど、これって日本でもあるでしょ? 

  • 確かにこれは中国の一面の真実です。この振幅の大きさが中国という国をわかりづらくしているわけですが、少なくともこういう面もあるということだけは知っておいた方がよいと思います。

  • ルポとあるだけに著者が自分の足で現地に出向き直接当事者に取材した内容が紹介されている。
    ?「二奶」と呼ばれる”妾”業の実態。
    ?若者を中心に蔓延するネット中毒に関連した事件。
    ?学歴偽装や替え玉受験の横行とそのビジネス、麻薬ビジネス。
    ?改革開放後の中国に見るいくつかの過激な人種。アイドルおっかけの「追星族」などテーマ的には散漫なおまけの章。

    ルポを通して、何であろうと生きるためなら手段を選ばない中国人のメンタリティーが狂気的に感じられる。
    ?で取り上げられるネット関連の刑事事件は世界的な社会問題ではあるけど、中国全土のいたるところで目にするネットカフェは比較的安価で利用でき、格差レベル、教育レベルにほとんど関係なく入り浸ることができる事実があるため、本書で取りげられたような例の殺人事件はこの広い中国でたいした注目を集めないままはこびっていることは想像できる。また、本書のすべてのテーマのベースにこの巨大なネット社会がある。
    政府のネット検閲は思想弾圧のためという印象が強かったけど、当然ながら??のようなアンモラルなビジネスの取締りにも大きな意味があることを再認識。
    言論の自由が許されない独裁中国で底辺の民衆がネット上で力を持ち始めていることに漠然とした希望を感じていたけど、社会的圧力のもとで中国人特有の個人主義が歪んだ形で力を発揮し、結果犯罪の温床を生んでいるという一面を見ることができた。

    09.2.8

  • 中国社会を皆さんはどのように思いますか?
    私の周囲には中国の方が沢山います。
    中国人全体から見ても、中流以上の生活をし、学歴も仕事もそれなりの位置にいる方ばかりです。
    日本に暮らして長い方が多い為か、日本への悪感情もさほど無く習慣的なものも日本人に近いと思うことも度々。中国国内での暴動のニュースに関しても比較的冷静なコメントをされます。
    今回、こちらの書を通じて感じたのは、「お金重視の世界」でした。
    この中では、愛人問題や、ネット・ゲーム依存症、学歴社会、麻薬、子育て問題、医療問題、など日本と同じような問題を取り上げています。場合によっては日本より深刻と言っても過言ではないでしょう。
    急速に成長する多民族国家の中国社会では、統制を取ることが出来ず、結局のところその解決として「お金」を使用しているといったところでしょうか。
    先日、友人の中国人夫妻が、日本で生まれた娘さんの戸籍を取得するのになかなかうまく行かず、「最終的にはお金を渡さないと無理だろう」とおっしゃっていました。その事実が正しい社会のあり方ではないという事は重々承知されています。しかし、それが中国の現実だということも理解されているからです。日本で「格差社会」が問題視される中、もっと大きな「格差社会」に生きる中国を捉えた書でした。

  • 富坂氏

    10年以上前に書かれたモノ。”中国の話”ではあるが、まあどこの国でも形を変えて似たような物語は枚挙に暇がないだろうというような、社会の中で起きた事件や出来事について書かれている。現在にも通じるような事件等が出始めたのもこの頃ということなのだろうか。そして著者が中でも書いているが、当時の時点で過去にあったこと、そしてこれから未来にもおこるだろうといった事がこの10年で現実となったことがわかる。

    毎回だが、著者の中国人脈の広さと深さはすごい。また良きも悪きも現実のひとつとして冷静に見つめる態度が非常に公平に見え、悪事を働く人間をただバッシングするのではなく、そうせざるを得なかった社会環境・構造まで言及している。

    後書きに書かれているコメント(P.251)にそのスタンスが明確になっているように思える。

    P.8
    経済官庁に勤務する官僚がその仕組みを語る。
    「いまや売春婦たちの存在は、中国社会における都市と地方、富める者と貧しい者の格差を是正する一つの”富の再分配”システムとして機能しているのです。
    中国の田舎を訪れると、突然その土地に不釣り合いな豪邸と出くわしますが、そうしたイエのほとんどは『売春御殿』と地元では言われているものです。

    P.87
    中国では、姓は地域性、名は世相を色濃く反映する。かつて朝鮮戦争の前後には、朝鮮を助け守る意味の「援朝」、「衛朝」という名が流行り、60年代から70年代にかけては「紅軍」、「衛軍」、「紅兵」など政治色を帯びた勇ましい名前が巷に溢れた。文化大革命の時代には、愛国心を強調して子どもに「愛国」と名づけたところ、「国民党を愛する意味か」と逆に吊るし上げられた両親もいたという。

    P.127
    ネット中毒のなかでも、とくに重い症状をもつ子供が、特に麻薬中毒患者とよく似た反応を示すことは世界的にも知られた事実だ。子供からパソコンを遠ざける行為は、さながら麻薬中毒者から麻薬を取り上げるのと同じだとの説明は、本章の初めに述べたように、親にも躊躇なく刃を突きつける昨今の中国の少年犯罪を見れば得心がいく。

    P.147
    目的を達成するためには手段を選ばず、資金のある者はそれも惜しまないーーとなればその欲望の達成を手助けすけするための闇の組織が生まれるのもまた中国社会の常である。

    P.158
    受験生のみならず、教師から現場の監督官、行政の幹部までが替え玉に協力しているという現実ーー。
    中国の受験生たちの戦いは、もはや紙の上の筆記試験に限らず、人脈や資金力、情報収集力と実行力などを含めた、まさに”総合力”の戦いになっている。

    P.248
    「ネットという巨大な装置をつかったいじめを見ていると、文化大革命の頃を思い出す」
    そう私に語った年配の中国人も少なくない。
    文化大革命は毛沢東によって発動された政治運動であり、その悲劇は毛のカリスマ性と結びつけて説明されるのが定説である。だが、この悲劇の本当の主役は、毛沢東だったのだおうか。
    私には、それが人々の間に存在した嫉妬や、社会への怒りに思えてならないのだ。
    むしろ”負のエネルギー”を抱えた圧倒的多数が、毛沢東の号令を千載一遇のチャンスとして、人生の逆転を試みたのではないかと思える体。そしてその背景にあった嫉妬と怨恨が沈殿する社会が、いままさに再現されているのではないか・・・。

    P.251
    中国ほど多種多様な人々がさまざまな環境下で厳しいサバイバルゲームを繰り広げている国では、その未来を楽観的に描くにしても、悲観的に見通るにしても、どちらもその材料に事欠かないということだ。少なくとも私は、明日にも中国が沈むという原稿を書こうとしても、そのまったく反対の原稿を書こうとしても苦労はしない自身がある。ただ、そんな原稿に価値はないと思っているだけだ。

  • この人の本自体は好きなのだがこれはいまいち
    他の本と同じ内容を書いてるような気がしてしまった
    そういう意味では、こっちの本を先に読んでたら、面白いっていったかもしれないけど......
    ただ、この人は政治的な内容の方が面白いかも

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著者プロフィール

1964年愛知県生まれ。北京大学中文系に留学した後、
週刊誌記者などを経てフリージャーナリストに。
94年『「龍の伝人」たち』(小学館)で、21世紀国際ノンフィクション大賞
(現・小学館ノンフィクション大賞)優秀賞を受賞。
新聞・雑誌への執筆、テレビコメンテーターとしても活躍。
2014年より拓殖大学海外事情研究所教授。
『反中亡国論』『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』
『「米中対立」のはざまで沈む日本の国難』(以上、ビジネス社)、
『感情的になる前に知らないと恥ずかしい中国・韓国・北朝鮮Q&A』(講談社)、
『トランプVS習近平 そして激変を勝ち抜く日本』『風水師が食い尽くす中国共産党』(以上、KADOKAWA)など著書多数。

「2023年 『それでも習近平政権が崩壊しない4つの理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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