子どもは「この場所」で襲われる (小学館新書 260)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098252602

作品紹介・あらすじ

あなたの防犯常識では子どもを守れない!

「暗い道は危ない」「怪しい人に気をつけて」…と子どもに教えていませんか。そうすると子どもは「明るい道」「普通の人」なら安全と思いこんでしまいます。子どもを狙う犯罪者は、好みの子どもを見つけるために明るい道を好みます。また、身なりも普通です。こういう教え方では、子どもを逆に危険に近づけてしまうのです。避けるべきは「危ない人」ではなく、犯罪が起こりやすい「危ない場所」。危ない人かどうかは外見ではなかなかわかりませんが、危ない場所かどうかは判断する基準があります。それは明るい暗いとは関係ありません。
本書は、日本人で初めてケンブリッジ大学大学院で犯罪学を学んだ防犯のスペシャリストで、「地域安全マップ」の考案者でもある著者が、「危険な場所」を見分けて子どもを犯罪から遠ざける方法をわかりやすく解説します。この本をお読みになれば、普段何気なく子どもを遊ばせている近所の公園や空き地、学校や塾への通学路が危険かどうかがすぐにわかります。
親、祖父母、教師の方々必読の一冊です!


【編集担当からのおすすめ情報】
日本の防犯常識は世界の非常識と著者はいいます。欧米諸国の多くは場所に注目した防犯教育をしているのに、日本ではいまだに「危ない人の見分け方」を教えています。本書を読んで近所を散歩すると、きっと公園や道路の見方が変わるでしょう。

感想・レビュー・書評

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  • 犯罪者の動機に焦点を当てる犯罪原因論が主流の日本に対し、アメリカ等では犯罪の起きやすい場所などに焦点を当てる犯罪機会論が主流。人は誰でも犯罪に繋がる動機の種は持ちうる。それが実行に移されるかどうかの確率は、機会があると高まってしまうというもの。
    犯罪機会論に基づく防犯は、より現実的かつ合理的な方法だと思った。
    確かに、不審者に気を付けろとか、知らない人についていくなとかは具体的現実的ではない。犯罪者は不審者とわかる格好はしてないし、子どもを巧みに騙して連れて行くもの。防犯ブザーなんかも、犯罪が既に起きてしまったときの対応な上、実行出来るか不安がある。
    つまり、犯罪が起きやすい場所【入りやすく、見えにくい】に注意出来る景色読解力と、普段から知らない大人と話す時は主導権をしっかり握れる(ちゃんと情報を引き出せる)コミュニケーション能力を身につけておく必要がある。
    内容はやや冗長なところもあるが、子どもを持つ親として必読書の一つだと思った。


    メモ
    ◆入りやすく見えにくいところに注意
     ガードレールや植込の途切れた所、幹線道路から1本入った道、木々に覆われた公園、フェンスのない遊び場、男女の入口が隣接したトイレ
    ◆110番を依頼する場合は名指しで。あなた!と
    ◆110番のハードルは高くない
    ◆知らない人とも堂々と話す。様々な人と話をし、コミュニケーション能力、交渉能力(相手から情報を引き出す能力)を上げると騙されにくくなる。
    ◆知らない人とは話さないではなく、世の中にはいい人も悪い人もいると教える。
    ◆景色読解力。人は見た目ではわからないが、景色は見た目でわかる。
    ◆知らない人についていかないという事が強調されるあまり、一旦知った人になると安心してしまう落とし穴。宅配業者のユニフォーム、偽装ID。
    →危ない場所で声かけられたら警戒。
    ◆自分が主導権を握る。自分の情報に基づく、自分から提案、自分から調べる。
    ◆割れ窓理論 少しの綻びから犯罪を呼び込む。地域の人々によって管理されていると感じられる雰囲気が犯罪防止に効果的

  • 2022年6月6日読了。子どもを犯罪から守るため、日本で主流の犯罪原因論・「不審者に気をつけましょう」という役に立たないどころか犯罪予防・地域コミュニティの観点からもマイナスな施策を離れ、犯罪機会論・場所に着目し、「入りやすく見えにくい」場所を避けることを子どもに教え、地域防犯マップを一緒に作ることで地域との関係・防犯意識を高めよう、と啓蒙する本。薄い本だが内容は子どもを持つ親として非常に空恐ろしいものがある。防犯に限らず、大抵のことは欧米が研究・議論も進んでいて日本って本当に遅れているのだなあ…と実感。誰でも出入りできる公園で子どもから目を離したり、ショッピングモールなどで一人でトイレに行かせるのはやめよう、1万回無事だったとしてもたった1回事件が起きうるような対応はやめよう、と肝に命じた…。自分の住んでいる地域は商店街があり地域社会が残っているのでまだ安全と思うが、折りに触れ子どもとも防犯について会話するようにしたい。

  • 確かに明らかな不審者って、ほんとに犯罪犯すジャンルの人ではないかもしれない。
    人間に欲望がある以上、人は誰しも犯罪を犯す要素を持っており、その大きさとタイミングが合えば犯罪に至る。欲望の大きさは傍目では分からないため、タイミング(機会や環境)を正しく捉えることで犯罪被害を減らそうという考え。
    その通りだ。
    家の近くに、この本の中で挙げられたような危険な公園はある。危険な道路もある。
    娘に危ないって何?と聞いたところ、不審者に気をつける、暗いところ、人が少ないところにはいかない、という回答だった。まさにこの本に書いてあったとおりだ…
    家族と家の近所を歩くときは危険なスポットに注意して、家族と会話をしよう。

  • 子供を持つ親として、地域の子供を見守る大人として知っておきたい知識でした。

  • はてブのホッテントリに入っていた記事「子どもの安全をどう守るか」。この記事のブクマで紹介されていたので読んでみることにした。結果、知らない事ばかりでかつ知っておいた方が良い事ばかりだった。

    犯罪原因論と犯罪機会論
    犯罪を起こした「人」に原因があると考える犯罪原因論、それに対して犯罪が起きた「場所」や「環境」に原因があると考える犯罪機会論。現在の犯罪学は犯罪機会論が主流である。

    日本では怪しい人には気をつけなさい、不審者に注意など人に注目するけれど、そんなわかりやすい見た目をしている人なんてほとんど居ない。犯罪を犯すような人は周囲から怪しまれないように街中で良く見る作業服やスーツなどといった、一見普通の人の恰好をしている。子どもからするとどういう人が不審者になるのかわからない、というか大人でもわからない。

    では、どういう場所が犯罪が起きやすいのか。それは「見えにくく」「入りやすい」場所。

    場所に注目する
    犯罪を犯す動機(弾丸)は誰しもが持っており、機会があれば発射してしまう。その機会というのが見えにくく入りやすい場所。

    一見、見通しやすい公園でも、人が隠れられる高さの丘があったり遠くから見えなくなるような木々が植わっていたりすると見えにくい場所になり、入り口が複数個所あると誰でも入れる入りやすい場所になってしまう。また人が多く行き交うような場所だと一人に対して注目しなくなるため見えにくい(見ない)場所になってしまい危ない場所になってしまう。

    安全な場所というのは「見えやすく」「入りにくい」場所。入りにくい場所というのは誰が居てもおかしくない場所からガードレールやフェンスといったもので区画がきっちり分けられている場所。道路脇の歩道でもフェンスがある場所は(車から見て)入りにくい場所になりフェンスが途切れたとたん入りやすい場所になり危ない場所になる。つまり車で誘拐されやすい場所になってしまう。

    神戸の連続児童殺人事件の酒鬼薔薇も校門の門が閉まっていたら行動しなかったと証言したらしく、それだけ誰でも入れない場所、入りにくい場所を作るというのが大切なのがわかる。

    とはいえ誰も見ていなければ入りにくい場所でも入ってしまえるので入りにくいだけでなく見えやすい、周りから見える場所、というのが大切になる。

    どうすれば危ない場所がわかるようになるか
    街の中を歩いていろいろな場所を確認して地域安全マップを作る。写真などで確認するより歩いて見て確認する方が精度が高くなり見る力もつく。そうやって普段からどこが危ないかということを知っておくことで危険から遠ざかることができるようになるし、また知らない場所に行った時にも、ここは危ない場所だとすぐにわかるようになる。

    読んでみて
    犯罪が起こるのは場所に問題がある、ということを初めて知った。そしてそれは見えにくく入りやすい場所が危ない、ということだった。どういった場所が安全なのか、というのを普段から確認することで周囲を見る力が伸びていき災害などの際にも役に立つこと。そんなことを全く知らず生きてきた。

    男だから、大人だから大丈夫、ではないので子どもに教えるだけでなく大人も一緒に見て、何が危険でどこが安全か学んでいきたい。何かがあってからではなく何も起こらないようにするために、まだ小さい子供のために、気を付けていきたい。

    https://kidd0320.com/entry/2023/04/05/190000

  • 実際の事件現場を示しながら、どのような場所が危険であるかを非常にわかりやすく解説してあり、新たな視点からの防犯を説いた一冊。

    人ではなく場所に注目し、犯罪の機会をいかになくすか、付け入る隙を与えないかが世界的の防犯スタンダードになっており、人に注目した防犯(不審者に注意)は時代遅れなだけでなく、逆に犯罪のリスクを高めることになるというのは目から鱗だった。

    日本はこれまで治安が良かったため、人に注目した古い防犯意識が常識であったが、物騒な事件が毎日のように発生している昨今、早急に防犯意識をアップデートする必要があると思う。特に日本ではモールなどで小さな子どもをほったらかしにしているような光景をよく見かけるが、他国では簡単に誘拐されてしまうので、親御さんたちにはもっと防犯意識をもって欲しいと思う。

    最近では近所付き合いがないどころか、隣にどんな人が住んでいるのかも知らない状態が普通になってしまっている日本社会だが、防犯のためにもコミュニティ活動は大事にしていかないといけないと改めて感じた。

  • 犯罪者は「入りやすく、見えにくい」場所を好む

    例として:
    ガードレールや植え込みがない道
    以下のようなものが包囲されている場所
    →雑草の生えている花壇
    →ごみ収集日が守られていないゴミ捨て場
    →放置自転車や放置自動車
    →壊れたフェンス
    →電球の切れた街灯
    錆だらけの遊具がある公園
    男女の入口が近いトイレ

    後を付けられている気がする時は歩く側を変える

  • 【所蔵館】
    総合図書館中百舌鳥

    大阪府立大学図書館OPACへ↓
    https://opac.osakafu-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=2000951726

  • 犯罪機会論
    弾丸(犯罪の動機)は誰もが持っており、引き金を引く機会を与えないようにする

    •人ではなく場所を見極める(入りやすく見えにくい場所)
    •犯罪を起こさせない環境作りの大切さ
    •地域の繋がり、行動が防犯に役立つ

    防犯の考え方について目から鱗だった。

  • 入りやすい見えにくい 場所が危険
    人ではなく場所にフォーカスする
    勉強になった

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著者プロフィール

立正大学文学部社会学科教授(社会学博士)。ケンブリッジ大学大学院犯罪学研究科修了。法務省、国連アジア極東犯罪防止研修所などを経て現職。専攻は犯罪学。地域安全マップの考案者であり、現在、警察庁「持続可能な安全・安心まちづくりの推進方策に係る調査研究会」座長を務めるほか、全国の自治体や教育委員会などに防犯のアドバイスを行っている。

「2015年 『見てすぐわかる犯罪地図 なぜ「あの場所」は犯罪を引き寄せるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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