みずうみ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 148
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001180

感想・レビュー・書評

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  • ストーカー気質(というかこの主人公はストーカー)のある主人公には結構感情移入出来ちゃったりするところもありますが、最後でグヘァってなった。
    でも主人公が変態な本は嫌いじゃない

  • きれいな女の人を見ると後をつけてしまう男の話.カバーの紹介には「女性に対する暗い情念を“意識の流れ”を描写することによって,永遠の憧憬に象徴化した名作」と書いてある.文学の手法はともかく,題材がここまで病的だと私は気持ちが物語に入っていかない.

  • 川端康成(1899-1972)、1954年の作。

    心象で織り込まれたコラージュ、それが記憶なのか妄念なのか、夢なのか現なのかは、主人公自身にも判然としないのかもしれない。そこに流れる倦怠の内的時間。

    うらぶれた男と女、それぞれの性がそれぞれの仕方で彼/彼女にまとわりついてくる。男の中で、自分自身の醜さや果されなかった過去の恋慕は、母性や女性美への憧憬へと転化されていく。が、それが殆ど女性美への、翻っては自身の男性性への、復讐であるように映る。女が、老人の愛人へと身を落とした自分の女性性に復讐しているように。

    美は所詮は女性美としてしか表象されないのか。男の独り善がりであり、女の performance 乃至は自己欺瞞でしかないところの。だとするならば、美はもはや陳腐だ。それを承知の上で、自他に対して陶酔・没入・忘我を ironical に perform するしかないのか。それを永劫に反復するしかないのか。美すらも倦怠でしかないのか。性愛は陳腐に反復されるだけの形式でしかないのか。耽美の極北にあっては、美も性愛もそれはもはや何の外部でも在り得ず、殆ど無機的で fetish で生理的で、謂わば自動人形のような振舞だ。

  • 主人公である銀平の意識と記憶の流れを映像的に描いた不思議な小説。銀平の異常ともいえる意識の流れが時間や空間を飛び越えて展開されていく。物語はあるようでなく、感覚的な内容になっております。個人的には凄く面白かった!

  • 1960年代(?)のストーカーの話。さすが川端康成!女性に対する心が描かれていて、面白かったです。

  • みずうみと螢の妖しいコラボレイションが胸をたゆたう作品。

  • 第三者的な語り口で客観描写かと思いきやよく読んでみると、文章の中には主人公の視線に没入した作者の視線が組み込まれている。だから読者もいつの間にか主人公・銀平の視線に没入することになる。主人公のゆらゆらと不安な精神にシンクロしていくのです。文章も不安定で奇妙。決して下手なのではない。

  • 女の後をつける男と、つけられる女。ねっとりとした描写は、いやらしさの直前で止められていて、その加減がすばらしい。後半は、状況がよく読解できなかったので、、、またじっくり読み返したいです。

  • 変態ストーカー小説。いわゆる「意識の流れ」の手法を使っているためか、若い女性に関わる部分のすべてが主人公の妄想ではないかと思わせられます。美への憧憬と屈折した思い。結末のつけ方がいじわる。

  • 川端康成!
    実家の母に借りたはいいけど・・・。

    2作続けて、読むのに疲れる内容の本を選んでしまった。

    こういう内容が流行っていたのか?
    太宰治といい、夏目漱石といい。
    こんな作風の本が、必ず1つはあるんじゃないかと思ってしまう。

    これも人には薦めません。

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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