斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 13036
感想 : 1310
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • 今でも生きているように感じられる内容だな、と

  • 苦しい作品だった

  • 人間失格-没落貴族姉弟バージョン-という印象。
    青空文庫で読めるもので比較的読みやすいから読んだもののなかなか辛かった。独白やら手紙やらが陰鬱でたらたらと長い!せめて主役のかず子分だけにしてほしい。かず子に対して終始良い印象を持てなかったのも進めづらかった要因かも。直治の方がまだ良かった。

  • 【あらすじ】

    直治が南方から帰って来て、私たちの本当の地獄がはじまった。
    〝斜陽族〞という言葉を生んだ名作。没落貴族の家庭を舞台に麻薬中毒で自滅していく直治など四人の人物による滅びの交響楽が静かに始まる。

    破滅への衝動を持ちながらも“恋と革命のため"生きようとするかず子、麻薬中毒で破滅してゆく直治、最後の貴婦人である母、戦後に生きる己れ自身を戯画化した流行作家上原。没落貴族の家庭を舞台に、真の革命のためにはもっと美しい滅亡が必要なのだという悲壮な心情を、四人四様の滅びの姿のうちに描く。昭和22年に発表され、“斜陽族"という言葉を生んだ太宰文学の代表作。
    (amazon商品ページより)

    ――――――――

    全員が太宰の分身なんだろうけれど、特に直治、直治の遺書。下卑た芸術家を嫌悪しながら彼を恐れ、彼の妻に惹かれる直治はもう太宰過ぎてこっちが目を覆いたくなってしまった。小説を書くのにここまで身を切って晒さなくても良いじゃないのよ……。と言いたくなってしまうのは繊細な神経を持ち合わせていない庶民のデリカシーのない感想なんだろうな。
    共感性羞恥はあるものの、とても面白かった。本当の貴族であるお母様、恋に生き、どんどん落ちぶれることに慣れていくかず子、世を憎み、酒に溺れ、それでもしぶとく生きている小説家の上原、そして貴族であることに負い目を感じ、しかし庶子にもなれずどこにも帰属感を持てない直治。四人の人生が交差しながら、けれど完全に交わることはなく、四者四様の地獄の中に落ちていく。道徳革命を成し遂げたかず子だけごこの先の時代を生きていけるわけですけど、太宰にとっての道徳革命ってなんのことだったんだろう。
    いやとにかく面白かったです。文章がウマッ!

  • 直治の遺書が良かった。
    「僕は、貴族です。」

    直治は聡明だった。自分たちが貴族のままでは今後の日本社会に生き残れないことを分かっていた。
    生前は貴族とは思えないような口調で下品に喋っていたが、遺書の文体からは彼に染みついた知性と育ちの良さが痛いほど伝わる。
    本人が述べている通り、彼が貴族を脱しようといかに必死で足掻いていたか、そしてそれがいかに無理なことだったかを感じさせる。
    遺書が美しいほどに、それを捨てたかった彼の生きづらさが浮き彫りになって切ない。

  • この問題で一ばん苦しんでいるのは私なのです。
    この問題に就いて、何も、ちっとも苦しんでいない傍観者が、帆を醜くだらりと休ませながら、この問題を批判するのは、ナンセンスです。

    人間の生活には、喜んだり怒ったり悲しんだり憎んだり、いろいろの感情があるけれども、けれどもそれは人間の生活のほんの一パーセントを占めているだけの感情で、あとの九十九パーセントは、ただ待って暮しているのではないでしょうか。
    幸福の足音が、廊下に聞こえるのを今か今かと胸のつぶれる思いで待って、からっぽ。

  • 太宰治が生きた時代、
    そして太宰治自身が
    すごい生きづらかったんやろうなと思った
    暗くて重い話やった

  • 登場人物それぞれがそれぞれの考えや方法で、時代の転換期を生きていたのだろう。ある意味、自己中心的な生き方でもあると思うけれども。

  • 全員、個が強すぎて最初は引いてしまった。
    みんな生活力もないのに、身勝手でどうやって生きてるのか心配になる。かずこの独走ぶりには驚くし、直治の口の悪さよ…
    ただ、不安定で誰も未来を予想できない敗戦間もないあの時代だから、みんな葛藤しながら自分自身と戦って生きていたのかなとも思う。

    話に出てくる別荘の支那間ってどんなデザインなんだろう?東洋を感じる表現も想像力を掻き立てられる。太宰治の文章は柔らかくて表現が心地良い。

    「ヴェランダは、すでに黄昏だった。雨が降っていた。みどり色のさびしさは、夢のまま、あたり一面にただよっていた。」

    ここが一番好き。

  • 面白かったが、私はもう少し明るい太宰治のほうが好きかな。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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