五つ星をつけてよ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101013510

感想・レビュー・書評

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  • キャンディーインポケット

    控えめな女の子が誰と仲良くすれば効率的になるかという、

    思春期の甘酸っぱい思いがぐっとくる物語でした。

    思春期の女の子の心情がよく表れていて過去に遡っている気がしました。

    ジャムの果て
    家庭を一番に考えて子育て、家事に尽くしていたのに、
    それが卒業となると途端に子供から見放されてた母親の物語。

    夫にも子供にも自分を犠牲にしてまで尽くしてきた

    人生なのに、それから解き放たれた時の心情が寂しくて切なくて

    こんな思いを母親はしていたかと思うと胸が詰まります。

    家庭から離れても自分の行き場の無い気持ちと孤独感も切なかったです。

    空を根ざして
    結婚したい女性とまだ結婚に踏ん切りのつかない男性の心模様。
    どちらの気持ちも細やかに描かれていてリアルです。
    結婚前の男性は一度はこんな気持ちになるのかなと思ったりしました。



    五つ星をつけてよ

    離婚をして実家に戻った女性が母親の介護をする。
    そこでホームヘルパーへの悪い噂を耳にしてしまという物語。

    母親の介護をしている時の心情がつぶさに表されていて、

    母親に対してもヘルパーに対しても刻々と心情が変化していくのが

    よく表されていて一番ドキドキした気分で読みました。

    こうゆう事での悪い噂は聞きたくないと強く思いました。


    ウォーター・アンダー・ザブリッジ

    バンドを組んでいた男性を好きになりその頃の自分と

    今の娘を投影しながら描かれた物語。

    この作品だけはネットのレビューやSNSが登場することなく、

    描かれていて他の作品とは少し違うテイストでふんわりと柔らかい

    印象を持った作品でした。

    親となったならばこうやって投影してしまうから

    つい口を出しすぎたり束縛をしてしまうのかとも思えました。

    君に落ちる彗星

    専業主婦たちのブログアップについての物語。

    ブログアップする人の心情、それを観ている人の心情など

    ブログにまつわる人それぞれの心情がとても細かく書かれていて

    思わず同じような人がいたなと笑ってしまいそうでした。

    ただラストが「おや?」という気持ちになり、

    この部分は必要ではないような気もして

    不思議な印象になってしまいました。



    どの作品も描写が細かく心情に関してはとてもリアルだったので、

    こんな人達が何処かにいるだろうかと思ってしまいます。

    日常のある一部分だけを切り取り、それを心地よい言葉で

    表現をされていて言葉ではいい表せない満足感がありました。

    タイトルでネット関係についてだけの作品の内容かと思いましたが、

    それが出てくるのはほんの僅かでそれ以上に

    心の通った人間らしさがたっぷりと出た作品でした。



    あとがきで彩瀬まるさんの解説がよく書かれていて、

    この作品をきっかけに他の作品も読んでみたいと思いました。

    短編も良いでう長編を読んでみたいと思います。

  • 第193回:奥田亜希子さんその5「デビューしてからの読書」 - 作家の読書道 | WEB本の雑誌
    http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi193_okuda/20180418_5.html

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    ディスプレイに輝く口コミの星に「いいね!」の親指。その光をたよりに、私は服や家電を、そして人を選ぶ。だけど誰かの意見で何でも決めてしまって、本当に大丈夫なんだろうか……? ブログ、SNS、写真共有サイト。手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離に翻弄される人々を活写した連作集。
    https://www.shinchosha.co.jp/book/350431/
    ↑サイトに豊崎由美の「いい話なんか書かないぞ」あり

  • どこかで見たことある名前と思ってたら、すでに一冊読んでた方でした。

    タイトルと装丁はポップで可愛いけれど、内容はきゅっとなったり、読んでて苦しくなったりしました。

    携帯電話ができて、インターネットが普及して、
    いろんな情報がダイレクトに届くなか、
    情報に踊らされたり、その沼にはまってしまったり、
    誰かから承認されないと満たされなかったり。
    確かにショッピングサイトの評価を見て、購入を決めたりするし、ブログに反応があれば嬉しいし、いいねが、つけば嬉しいし。

    でも渇望してる気持ちは満たされず。
    他者の目、ことば、評価にさらされて
    じゃあ自分はどうするのか。
    改めて自分のいまの状況を考えさせられる一冊。

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著者プロフィール

1983年愛知県生まれ。愛知大学文学部哲学科卒。2013年『左目に映る星』で第37回すばる文学賞を受賞しデビュー。他の著書に『透明人間は204号室の夢を見る』『ファミリー・レス』『五つ星をつけてよ』『リバース&リバース』『青春のジョーカー』『魔法がとけたあとも』がある。

「2021年 『求めよ、さらば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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