- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101014326
感想・レビュー・書評
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怪奇現象の体験談を、ルポ形式で創作された短編5編。それぞれ、独立した怪談ですが、謎めいた一人の占い師の存在が怪談の繋がりを持たせる。ラストの最終章でその繋がりを明瞭にしていく。怪奇だけでなく、生きている人の性みたいなところも絡めたところは小説として粋かな。
怪談系を第三者として書くのは、難しそうですね。
でも、火のないところに煙を出すのがプロ作家。
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近所の神楽坂が舞台の怪談。場所がリアルなので、面白い。実話系怪談の面目躍如ということか。
本当によく出来たストーリーで、全話を読んで浮かび上がるものがある展開は、作者の巧さを感じさせられる。ちと、親子2代を呪う夢の中の女性霊というのは、何年前から、その占い師活動してんねんという感じで、無理矢理なこじつけもあった様にも思えたけども、そのへんの整理されきれてないところが、ミステリーの手法で怪談を現実に落とし込んだ結果なのかもしれない。
只、帯の煽り文句ほど怖くなかったのは、想像力が乏しいおっさんの自分の感性だからかもしれない。 -
本屋で表紙が見えないクジ?のようなコーナーで巡り合った本。
ミステリーが好きなので「怪談かぁ」と思いつつ読み終えた時にはミステリーと怪談の見事な融合に心が躍った。
伏線のようなものが回収され、奇妙な結末の中にもしっかりと繋がりがあり、今まで読んだことのない新しいジャンルを教えてくれた本。 -
「事実は小説よりも奇なり」
この言葉を象徴するような作品だったと思います。
各短編を読み終わるたびに背筋に悪寒が走るゾクゾクした体験は、ある種のクセになりそうでした。
この作品を読んで、怪談は謎が多いことに面白さがあるような気がしました。 -
2年前から娘に勧められてた本。
当時高校受験真っ最中の中3でしたが、暇を見つけては?無理やり暇を作っては?読書してました。
怪談でヒトコワ(人怖)。
怪談を読むのも聞くのも好きなので、オバケ的な怖さは程々でしたが、ヒトコワが、、、。でも、ヒトコワだったのか、オバケだったのか。
思い込みの激しい人って恐ろしい。
そんな人が亡くなって霊になったら厄介だし太刀打ち出来ないので、死んで終わりじゃない気がして登場人物のその後が気になった。 -
短編ホラー。と、ひと言で片付けてしまうのは勿体無い。
物語は、著者が出版社より、特集テーマ「怪談」の依頼を受け、著者自身が関わることとなった過去の〝ある体験〟を思いおこすところから始まる。
一話目を発表したことにより、二話目の話しを知ることになり、その流れから三話目が舞い込み…と、まさに〝引き寄せの法則〟の如く、五話でいったん幕引きとなる。
それぞれは、まったく違う怪異であり、登場人物の恐怖や怯えや悩みもさまざま。
十分に怖い話しでゾッとするのだけれど、一話一話が弱いのか、完璧に解決したとは言い難く、一話読み終えるたびにスッキリしない感が残る。うっすらとモヤがかかったかのように上手く説明できない〝引っかかり〟があるよな、ないよな…。
先に進めば何か分かるんじゃないかしら?と、思うと、次が気になって仕方がない。だけど読めば読むほどモヤは濃くなる一方。おかげで短編集なのに途中でやめることができず、一気読みでした。
(300頁無いので夜なべは必要ありません笑)
そもそもコレはフィクションなのか、ノンフィクションなのか…にしてもコナン君なみに人が死ぬしなぁ…やっぱり…そーだよねぇ〜
あはははははははは!
そして、最終話にて〝引っかかり〟の原因に触れてしまったとき、モヤの正体を知ってしまったとき、物語を疑ってしまった自分に恐怖しました。
今年の5冊目
2022.1.30 -
面白かった!
正直言って、実話怪談系ってあまり個人的にはあまり得意じゃない。投げ出される感が強くて、その後どうなったのか、というところが気になってしまうからだ。
もちろん、それが実話怪談系の魅力ではあるのだろうが。
本作も実話怪談系の小説ということで、そういうものだと思って読んでいた。もやもやするところがあっても、そういうものだと。
しかし、一冊通して読み終わった時、そこにもやもや感はなかった。
ある意味、どんでん返し系とも言えるかもしれない。 -
作者がホラーを書くことになり、とりあえず大学時代の友人の紹介で知り合った方から聞いた話をまとめるところから始まる。その一作目が「小説新潮」に掲載された影響で二作目のネタが飛び込んで、二作目を掲載したら三作目のネタが入ってきて...と縁が繋がっていく...。
これはこの世あらざる物の仕業なのか、人が引き起こした怪異なのか?と絶妙なラインで攻めていて面白かった。と短編集だと思ってめっちゃ油断していたのだけどラストでまさかの繋がり方をしてゾッとした。思い返せばたくさんヒントは散らばっていたのに...。うまく構成されていたと思う。
そして物語の解明に一役買った榊桔平なる人物が本当に実在するのかしないのか...その辺の不気味さも読んで体験してほしい。
小説内に出てくる拝み屋の陣内さんの台詞がじわっと後味を残す。
「関わりのない死者に対して祈りを捧げることは、それまで存在しなかった縁を自ら作ってしまうことになります」 -
大前提として、私はホラーや怪談、オカルトの類は苦手です。
なので基本は読んだり見たり聞いたりはしないのですが、それでも入り込んでくることはあるし、怖いもの見たさが勝ることもあるので0ではないです。
ですが、その時の心の支えは
「いやいや、言うてもフィクションだからね…」
この一点のみの防具で乗り切るんですが、今回は無理…
なぜなら、フィクションとノンフィクションの狭間の様な書き方をされております。
話自体がめちゃくちゃ怖い訳ではないのですが、ノンフィクションっぽさに煽られました。
ただ、最後の章で伏線回収的な部分があるのですが、ここがミステリーっぽくて面白くもあり、フィクション的な要素にも見えたのが私には救いでした。
まぁ、でも普段読まない怪談系を手に取ったのも、縁なんですかね… -
ルポのような形で短編集が進んでいく。
発表時期もTwitterもカバー裏も全てが、計算の上だとしたら作者が一番怖いのではないかと思った。
内容から占い師には行けなくなりそうです。
内容
この恐怖、一生モノ。
2019年本屋大賞ノミネート!
静岡書店大賞受賞!
山本周五郎賞ノミネート!
週刊文春ミステリーベスト10国内部門第5位!
このミステリーがすごい!国内編第10位!
ミステリが読みたい!国内篇第7位!
ミステリ×実話怪談の奇跡的融合で絶賛を浴びた注目作がついに文庫化。
「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の〈私〉は驚愕する。忘れたいと封印し続けていた痛ましい喪失は、まさにその土地で起こったのだ。私は迷いながらも、真実を知るために過去の体験を執筆するが……。謎と恐怖が絡み合い、驚愕の結末を更新しながら、直視できない真相へと疾走する。読み終えたとき、怪異はもはや、他人事ではない――。(解説・千街晶之)