金閣寺 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050089

感想・レビュー・書評

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  • 日本語とはこんなにも美しくなれるのか、と思った。ページをめくるたびに心が震えた。

  •  内向きな感情、自己と向き合い行き着く先には破滅が待ち受けている。好きじゃないが、読んでいて魅力的な内容である。嗜好品のように何度も読み返しているうちに自己が磨かれるとは限らない。行き着く先は底無しの闇である。

  • 衝撃の抹茶オレ

  • 「奔馬」なんかもそうだがラストが印象的。
    構成美?

  • 青春の1ページ。
    三島由紀夫の 認識 の世界
    若者の中に感じる自己矛盾、その中に自分を照らしながらの青春でした。

  • 三島由紀夫って中学校のときの国語や歴史(社会)で教科書に出てくると思う人で、それ以上でもそれ以下でもないと思っていたけど、この小説を読んだら圧倒されました。
    「自分のまわりの世界(環境)は自分の考え方(価値観)次第でいくらでも変わる」というような文章のおかげでたぶん今の自分がやっていけているんだろうと読んでから10年近くたっても思います。

    ≪コメント≫
    三島由紀夫作品ほど描写が上手な小説は読んだことはありません。
    食わず嫌いは止めてとりあず読んでみて欲しい小説!

  • 美しい文章と深淵なテーマに終始圧倒される。
    個人的に、最も素晴らしい日本文学作品をひとつ挙げよと言われたら、これを挙げる。

    安易な「共感」など寄せ付けない説得力に満ちあふれている。
    「美」というものは、存在しないことで「永遠の美」となる、ということを表しているように思う。

    主人公である溝口が金閣寺を焼くに至るまでは、およそ私のような凡人が「理解できるかできないか」などといった次元では考えられない。
    溝口は吃音であるため、言葉によって世界とつながることができない。
    美しい金閣寺に憧れ、劣等感を持ち自分を醜いと思う溝口にとって、金閣寺は絶対的な神となった。
    その金閣寺は、いつしか自らを拘束し、世界の前に立ちはだかるものとなる。
    そして、溝口は思う。

    「金閣寺を焼かねばならぬ」

    溝口は金閣寺に火をつけ、そのてっぺんにある美しい部屋、究竟頂の扉を叩くが、扉は開かない。
    美しい金閣寺と共に滅ぶことを拒絶された溝口は、金閣寺から沸き上がる煙と火を眺めながら煙草を喫む。
    最後の一文。

    「生きようと私は思った」

    この一文が完璧すぎて、もう何も言えない。

    最後の一文だけではない。
    作品を埋め尽くす正確で緻密で美麗な文章の素晴らしさには、もう眩暈がしてくる。
    この小説に欠けているものは何も無い。
    心の底から、日本人で良かったと思わされる。

  • やーっと読み終わった!初めて読んだ三島の本。
    病んでるなぁ~…というのが一番の感想です。
    こんな人たちに神様の救いについて説くには一体、どう話したらいいかなぁと考えながら読みました。
    あ、昔の文学は使うことばが趣があって味わい深いですね。

    美と金閣寺と登場人物の思想。正直ちゃんと理解できてないです。
    難しいなー。機会があればもう一回くらい読んでみようかと思います。

  • 執着的な美の追究と美しすぎる破滅のコントラストに目がくらくら…。

  • 初三島は衝撃でした。ちょっと他の小説家とはレベルが違う文章の美しさ。谷崎や川端等々と比較しても抜きん出ていると思う。異常なまでの自己陶酔、若さ故の思い込み、ルサンチマン、愛するが故の破壊。金閣寺焼失のシーンは日本文学屈指。

  • 20240409

  • 自暴自棄になった時、自分を変える手段を見つける。「世界を変えるのは行為ではなく認識だ」と。しかし、そこに自分の学んだ言葉「裏に向ひ外に向かつて逢着せばすなはち殺せ」により、焼く決意に踏込む。物事を真剣に考えるのは、恐い感覚が生じる。金閣寺を焼く、見物する、も紙一重なのだろうか。

  • 「裏に向ひ外に向って逢着せば便ち殺せ」臨済宗の開祖臨済の言葉だそうだ。「仏に逢うては仏を殺し…父母に逢うては父母を殺し…始めて解脱を得ん。物と拘はらず透脱自在なり」殺すというのは殺人の意味ではない。仏の教えも、師の教えも、父母の教えも受けたら捨てなさい。執着を捨てて初めて解脱できる、と。

    小学生の時、社会の時間に先生が語る足利義満創建の金閣寺の話と教科書の絢爛豪華な写真に圧倒された矢先に「国宝の金閣寺は燃えた」と聞いて呆然としたのを覚えている。実際の放火犯林承賢とは何者なんだ!動機は何だ!という話になる。この件をモデルにした小説には三島由紀夫以外にも水上勉の「金閣炎上」などの試作があるが、ここは昔読んでちっともわからなかった「金閣寺」を令和の今再読。

    吃りというコンプレックスを持つ青年僧の私が抱く絶対的な美の象徴たる金閣寺。絶対美の反対にいる醜い自分へのコンプレックス。彼の絶対的価値を崩す母親、友人、住職らの行動。そして私以上のハンディを背負う内翻足の柏木の思想と行動。「人間の考える美的なもの、そういうものすべての実相は不毛な無機的なものなんだ。龍安寺じゃないが、石に過ぎないんだ」龍安寺の石庭が美しいと言っても所詮石でしかない。美は人が決めるもの。そして時代によって変わるもの。それも人の数だけ美の基準がある。つまりは絶対なものは何もない。私は自分の絶対基準を失い、人格は崩れていく。

    現実の犯人は放火後に薬物カルモチンを飲み切腹自殺を試みるが山中で見つかり救急搬送され、刑務所への服務後に統合失語症で病院に移り死亡する。小説のラストは少し変えている。むしろ金閣への執着を捨てた私の解脱したかのようなシーンで終わる。


    正直、再読が遅すぎたか。自分の価値観が崩壊し再構築されるのは青春期に必ずある悩みであり、この青春期にありがちな中二病的悩みが、読んでいて歯がゆいが三島由紀夫青春の決算といわれるところである。でも今再建された金閣は十分に美しく、それが1397年建立だろうが1955年再建だろうが今となってはどちらでも構わないのだ。













  • デミアンと構造的に通ずるものがあるような気がする。(どちらも青春をテーマにしたものだからか?)

    デミアンと並べてまた読もう、

  • 美的な文章で凄いな〜と思ってたけど自分にはしっくりこなかった。全然面白かった。
    名著だとは思う。

  • 半分まで読んで後半は斜め読みでなんとか最後まで読み切ったけど回りくどい言い回しだらけで疲れた

    1950年に大学生の僧が金閣寺を焼失させた実際にあった事件が元になってるのに興味が湧いた

  • 三島の文章は、妖艶なレトリックと数学の解のような美しいロジックがある。背景などを調べながら精読したが、次は流れるように読んでみよう。▼行為によって自分に属するもの以外を変えようとすることは破壊行為である。世界を変えるのは認識であり、認識により自由を享受するという点は柏木に同意する。だが、絶対的な存在に牛耳られている者にとって、そこから脱するにはある種の破壊行為が必要なのかもしれない。溝口にとってそれが生きるための必要不可欠な手段だったということか。

  • とても面白かった。面白すぎたので、三島の他の作品をを沢山買ってしまった。

  • 初めて読んだ時は20代で青年でもあったため、うまく読めなかったが30代になって再び読んでみると過去の自分と相まって何となく理解できるようになった。

  • こんなに文章美しいとは知らなんだ

  • 「寺が寝静まる。私は金閣に一人になる。

    吃音の悩み、身も心も奪われた金閣の美しさ――昭和25年の金閣寺焼失事件を題材として、放火犯である若い学僧の破滅に至る過程を抉る問題作。」

    「金閣寺を見たことがあるだろうか。金色に輝く今の舎利殿(金閣)は、1955年に再建されたものだ。再建前の金閣は50年7月、寺に住む若い僧が放火し、焼失した。衝撃的な事件を基に、三島由紀夫は56年、小説『金閣寺』を発表する。なぜ火をつけるにいたったのか、まるで僧が告白しているような文章だ。ーよく練られた構成と、濃厚で優雅な文章で、社会の枠組みから外れて生きざるをえなかった異端者の孤独な魂を描く。小説は三島が作り上げた世界で事実とは異なる。だが、そこには人間の真実がある。」
    (『いつか君に出会ってほしい本』田村文著 の紹介より)

  • 凄まじさは理解できる程度に難解。
    都度、咀嚼して自分の解釈を試みるのは非常に根気がいるので、後年の自分に一部任せて読み進んだ。
    文体、表現が美しく豊かで絵画のように楽しんだ。
    これほど複雑な精神世界を築きたいと思う反面、生き辛いよな、、単純化したほうが楽なんだよなあと。
    最後の決意の変化のところは取り残された感がある。。

    行動が必要な時いつも言葉に気を取られている

  • 数回目。2023/08/16

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/713383

  • 三島観点では、金閣寺を焼くときの心境って狂気じゃないのですね。

    金閣寺が焼けた日 放火した僧の「その後」 恩赦で出所後、結核に… - withnews(ウィズニュース)@withnewsjp https://withnews.jp/article/f0170702001qq000000000000000G00110101qq000015495A

  • 青年将校と恋人のやりとり
    あーいうのって実際に行われてたことなのか
    三島の創作なのかわからないけど
    他人が入り込めない潔癖な美しさがあっていい
    単純に身体を重ねるよりずっと生々しい感じするし

  • 3冊目の三島由作品。

    命、売りますから入ったのだが
    その後に潮騒、そして金閣寺と読んで気付いたが命〜に関しては大分読みやすい作品だったと気づく。
    何度も辞書で調べつつ1ヶ月かけて行っては戻ってはを繰り返し読了。

    溝口に対しこいつ狂ってるな!と思わず笑ってしまったのは1度や2度ではないが、歯車が悪い方向にあってしまったが故の行為だったか

    語彙力、読解力養って改めてもう一度読みたい作品

  • 2020/06/04 読了

  • 難解すぎる物語だ!

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三島由紀夫の作品

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