愛と死 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101057033

感想・レビュー・書評

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  • 1939年作品。「友情」に続けて読みました。著者に対する知識としては、もちろん文学史の授業で学んだ白樺派の代表的な作家であることと、いろんなところで目にする色紙くらいでした。久々に「友情」を読み返して、代表作の「愛と死」も読みました。あらすじとしては、若い二人の往復書簡を中心とした恋愛物語です。タイトルから想像するエンディングですが。この先の村岡の文筆活動が、どういうものになるのか期待を持たせてくれるように思えました。手紙の内容が甘くて、にやけてしまいました。手紙って、やっぱりいいなあと思いました。

  • 手紙の中の2人はとても幸せいっぱいで、会えない間にも愛を育みあっていました。それなのに突然の夏子の死。この死を武者小路実篤は「殊に若いいい人間が死んでゆくのは残酷だ」と村岡に言わせています。夏子はスペイン風邪で亡くなったのですが、解説を読むとこの作品が戦時中、軍国主義の中で書かれていることから、若い命が奪われていく戦争にたまらない気持ちで、作者がそのセリフを書いたようでもあります。読み込めば武者小路実篤の信じるところが浮かび上がってくるようです。文学は深いです。

  • 1939年(昭和14年)の作品。普遍的なテーマのせいもあるかもしれないが、古さを感じなかった。読まずに死なないで良かった。

  • おすすめされて読んだ本ですが、なかなか本屋さんで出会えずやっと見つけて、軽い気持ちで読んだらボロボロと涙が止まりませんでした。
    小説や漫画で私が読んだり見てきたものは詳細に描かれていたり、主人公の気持ちがドッと伝わってくるようなものが多かったのですが、この小説は私が今まで見たものとは違いました。
    1人の人を愛したことが淡々と描かれています。
    朴訥とした雰囲気がまた、読者の想像を掻き立てます。
    不朽の名作と言われるだけあるなあと思いました。

  • 死んだものは生きているものにも大なる力を持ちえるものだが、生きているものは死んだ者に対してあまりに無力なのを残念に思う。
    深い。死んでしまった人のことを糧に自分は強く生きていくなんてことはできひんけど、その人が喜んでくれるような恥ずかしくないような生き方をしていきたいと思った。死んでしまう前に精一杯愛を伝えることも大事やと思うから定期的に実家には帰りたいし親孝行したい!

  • 主人公村岡と村岡と仲の良い野々村の妹である夏子との愛を描いた作品。
    頁を捲る度に、この愛の結末はどうなるのだろうか、出来ればハッピーエンドでと願ったが、やはり武者小路実篤はそうはしなかった。夏子の死というあまりに残酷で急な展開に多くの読者も驚かされただろう。
    題名通り、愛と死について様々な思いを巡らせることになるが、それは人生において最も尊く、最も畏怖すべきものではないかと教えてくれた作品でもあった。

  • 近現代文学でここまで面白いと思ったのは久しぶり。
    村岡の夏子に恋する姿も可愛いけど、夏子が村岡宛に書く手紙の恋する乙女具合といったら!!嬉し過ぎて手紙をくわえてでんぐり返ししちゃうとかいちいち可愛くて仕方がありません。
    とにかく武者小路実篤の書く人物はとにかく無邪気で一途で可愛い!

    前半から中盤にかけての愛に溢れる表現から一変して、ラストは夏子の死に野々村と村岡がふたりで泣くシーンはとっても切ない。死を見つめることで生を感じる、素晴らしい作品でした。

  • 正直つられて涙ぐむような盛り上がり方はしない。
    ただ夏子が死んだことよりもその後の寂しさだったり虚しさの方が強い。
    短いし読みやすい作品。

  • 夏子いいおんな。

  • この記録は小生が高校2年の時に読んだ読書記録です。内容の幼さはご容赦ください。

     題に『死』という字が使ってある。誰か死ぬのだなと思った。
    しかしあまりにも突拍子のない時に死んでしまったではないか。
    『死』それは村岡と野々村の妹の夏子が愛で結ばれている時に、大きく膨れあがった風船が、運命という針に刺されて『パーン』と大きな音を立てたごとく潰れてしまった。
    あまりにも可哀想すぎる。
    村岡は将来有望な作家だから結婚しても2人は幸せに暮らせたと思うのに可哀想すぎる。
     だからもう感想などかけない。

    読んだ時から48年経って、他の本を探していたときに、読書記録が眼に入り読んだら、
    『大きく膨れあがった風船が、運命という針に刺されて『パーン』と大きな音を立てたごとく潰れてしまった。』なんて表現が本文にあったか気になりここに投稿しました。ご存知の方ご教示ください。
    以上。

著者プロフィール

東京・麹町生れ。子爵家の末子。1910(明治43)年、志賀直哉らと「白樺」を創刊、「文壇の天窓」を開け放ったと称された。1918(大正7)年、宮崎県で「新しき村」のユートピア運動を実践、『幸福者』『友情』『人間万歳』等を著す。昭和初期には『井原西鶴』はじめ伝記を多作、欧米歴遊を機に美術論を執筆、自らも画を描きはじめる。戦後、一時公職追放となるが、『真理先生』で復帰後は、悠々たる脱俗の境地を貫いた。1951(昭和26)年、文化勲章受章。

「2023年 『馬鹿一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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