- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101109060
感想・レビュー・書評
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短編集であるが、その中で投影はトリックよりも人情味溢れる内容があり、最後のシーンは少し感傷深かった
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ドラマ「鬼畜」を見て、これが短篇だとどう描かれているのか気になって読んだ。松本清張の短篇集を読むのは初めて。こんなに夢中になって読めるとは思わなかった。
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ドラマでもやっていたが、『顔』は面白かった。
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今更ながら、初松本清張で、当たり前のように面白かった。声を記憶するのに長けた電話交換士の「声」。殺人を犯したにも関わらず俳優として映画出演する「顔」。そして、自分の犯した罪を確認するために、地方新聞を買う「地方紙を買う女」。さすがに隔世の感のある設定のものもあるがそれを差し引いても設定、展開の面白さに圧倒されます。単なる推理もの(「投影」のようなトリックものもあるけれど)ではなく「張込み」「鬼畜」など人間関係について考えさせられるもの、「カルネアデスの舟板」のような刑法(緊急避難の法則)をベースにしたものなど、広くて深い。少しづつ、松本清張の世界に浸りたいと思いました。
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古い話ながら、起伏に富んでいて面白かった。
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有名な「張込み」や「鬼畜」が入ってます。何度か読み返してます。今売れてる作家の文章に読み慣れると、清張の文章には引っかかってしまい、その都度立ち止まってしまいます。名作映画の原作で短編、何度も読んでるわけはそんなとこでしょうか。
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巨匠による推理小説短編集。
トリックなど無い犯罪者と元恋人の心情を描いた作品が入っていたりと純粋なミステリーが集められたものでも無い。全体的にシンプルな筋立てが多いが寧ろ現代ミステリーの源流のような気もする。
『一年半まて』はオチも含めてゾクっとくる面白さで女性の賢さと計算違いが良い。
『声』はヒッチコックの『サイコ』を思わせる意外な展開(筋立てはまるで違うけど)でこの辺もさすが文豪。 -
ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。
表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えてしまった。
●張込み
逃亡犯の昔の恋人を張り込む刑事。その女は子持ちの男と結婚し、平凡な主婦となっていた。やがて犯人から連絡があり、女は出かけていくのだが…。
●顔
殺人事件の前に顔を見られた男が俳優として映画に出演することになる。未来のために目撃者を消したいと考えた男がとった行動は…。まさに藪蛇。
●声
犯行現場に間違い電話をかけてしまった交換手の女。数年後、夫の同僚の声が犯人の声とそっくりだと気づく…。
●地方紙を買う女
指定した期間だけ地方紙を購入していた女。新聞小説が目的だと言うが、連載途中で購読を打ち切ってしまう。怪訝に感じた小説家が女の謎を追うが…。
●鬼畜
気の小さな印刷屋の主人が情婦との間に子供を三人ももうけるが、商売が行き詰まり生活の面倒が見られなくなる。怒った情婦は子どもを印刷屋に押し付け行方不明に。怒った印刷屋の妻は夫に子どもの処分を指示するのだった…。
●一年半待て
「一事不再理の原則」を利用し、完全犯罪を目論んだ女の話。
●投影
大手新聞社を辞め都落ちした主人公。地方新聞社で現地の汚職事件を告発する。
●カルネアデスの舟板
一つしかないポストを手に入れるために恩師を陥れる大学教授の話。