張込み 傑作短編集5 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109060

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  • 短編集であるが、その中で投影はトリックよりも人情味溢れる内容があり、最後のシーンは少し感傷深かった

  • カバー 木村光佑
    解説 平野謙

    『張込み』
    なんか読んでもよくわからなかったけど(私がアホだから)
    刑事がずっと張り込みをする話ですね
    奥さんが不倫してたっぽい

    『顔』
    ある劇団に所属する無名の若手俳優の話
    彼は過去に、付き合っていた女性を殺した
    なかなか女性が別れてくれずに面倒くさくなったのだ
    そして、殺しに行った時、一人だけ女性の知人と会ってしまった
    その知人に顔を覚えられていると思い込んでいる主人公は、いつ自分の犯罪がバレるかひやひやしている
    しかし、俳優として大きな仕事が彼に舞い込む
    映画にでて顔が全国に広まれば、あの知人男性に見られるかもしれない
    でも、俳優として大成したい気持ちもある
    そして彼はついに、その知人を殺すことを思いつくが、当の知人はまったく主人公の顔を覚えていなくて……

    主人公の思い込みが結果、どうなるか?
    悪いことをしてはいけませんね~

    『声』
    主人公は、かつて大きな企業の電話番を務めていた。
    200人以上の社員の声を聞き分けられる彼女は
    会社の中でも一目置かれる存在だった。
    しかし、その彼女の良い耳が、悲劇のもとになるなんて。

    『地方紙を買う女』
    全く自分とは関係のない地方の新聞を買う女の話
    新聞を取り寄せるために彼女は「連載されている小説が読みたいので」と嘘を書く
    そして、その嘘の事実が小説家本人にも知らされたことから、彼女の不幸は始まる

    『鬼畜』
    小さな印刷業を営む主人公の男の話
    仕事が軌道に乗り始めた男は、とある店の女中と深い中になる。やがて彼女との間に子供が3人も生まれ、8年間妻に隠し通してきたが、経営が傾いたとき全てがバレる。
    そして家に乗り込んできた愛人は、子供3人だけを残して実家に帰ってしまう
    主人公の妻は、残されていった3人の子供を始末するよう男に命じるのだった

    『一年半待て』
    一度決まった判決内容は変えられないことを利用したしたたかな女の話。かわいそうなだけでは終わらない、女性の怖さを感じる


    『投影』
    これはよくわからなかった(おい)

    『カルネアデスの舟板』
    学者とかつて弟子だった男の話
    師と弟子の立場が逆転する?というか、
    昔の恩師を大事にしないようなやつは、
    偉くなっても大成はしないのかな

    自分が忘れないように書いてるんで意味わかんなくてごめんなさい

  • ドラマ「鬼畜」を見て、これが短篇だとどう描かれているのか気になって読んだ。松本清張の短篇集を読むのは初めて。こんなに夢中になって読めるとは思わなかった。

  • だれかのおすすめの、『石の骨』が気になって、借りてみた
    考えが先進的すぎて相手にされず悪戦苦闘するさまが切ない。
    ほかの話もなかなか報われない話が多いかな。
    それでもグイグイ引き込まれる話ばかりだ。
    佐渡流人行が、秀逸

  • ドラマでもやっていたが、『顔』は面白かった。

  • 今更ながら、初松本清張で、当たり前のように面白かった。声を記憶するのに長けた電話交換士の「声」。殺人を犯したにも関わらず俳優として映画出演する「顔」。そして、自分の犯した罪を確認するために、地方新聞を買う「地方紙を買う女」。さすがに隔世の感のある設定のものもあるがそれを差し引いても設定、展開の面白さに圧倒されます。単なる推理もの(「投影」のようなトリックものもあるけれど)ではなく「張込み」「鬼畜」など人間関係について考えさせられるもの、「カルネアデスの舟板」のような刑法(緊急避難の法則)をベースにしたものなど、広くて深い。少しづつ、松本清張の世界に浸りたいと思いました。

  • 古い話ながら、起伏に富んでいて面白かった。

  •  有名な「張込み」や「鬼畜」が入ってます。何度か読み返してます。今売れてる作家の文章に読み慣れると、清張の文章には引っかかってしまい、その都度立ち止まってしまいます。名作映画の原作で短編、何度も読んでるわけはそんなとこでしょうか。

  • 巨匠による推理小説短編集。
    トリックなど無い犯罪者と元恋人の心情を描いた作品が入っていたりと純粋なミステリーが集められたものでも無い。全体的にシンプルな筋立てが多いが寧ろ現代ミステリーの源流のような気もする。
    『一年半まて』はオチも含めてゾクっとくる面白さで女性の賢さと計算違いが良い。
    『声』はヒッチコックの『サイコ』を思わせる意外な展開(筋立てはまるで違うけど)でこの辺もさすが文豪。

  • ミステリー・サスペンス作家だと思っていたが、文学者だった。構成はミステリー仕立てであり、謎が気になり最後まで読み進めてしまう。一方でただの謎解き小説にとどまらず、犯人の心情を感じさせる。生きてるって大変だよなあ、などと考えてしまう。
    表題作の「張込み」は読み終わった後に数日考えてしまった。

    ●張込み
    逃亡犯の昔の恋人を張り込む刑事。その女は子持ちの男と結婚し、平凡な主婦となっていた。やがて犯人から連絡があり、女は出かけていくのだが…。

    ●顔
    殺人事件の前に顔を見られた男が俳優として映画に出演することになる。未来のために目撃者を消したいと考えた男がとった行動は…。まさに藪蛇。

    ●声
    犯行現場に間違い電話をかけてしまった交換手の女。数年後、夫の同僚の声が犯人の声とそっくりだと気づく…。

    ●地方紙を買う女
    指定した期間だけ地方紙を購入していた女。新聞小説が目的だと言うが、連載途中で購読を打ち切ってしまう。怪訝に感じた小説家が女の謎を追うが…。

    ●鬼畜
    気の小さな印刷屋の主人が情婦との間に子供を三人ももうけるが、商売が行き詰まり生活の面倒が見られなくなる。怒った情婦は子どもを印刷屋に押し付け行方不明に。怒った印刷屋の妻は夫に子どもの処分を指示するのだった…。

    ●一年半待て
    「一事不再理の原則」を利用し、完全犯罪を目論んだ女の話。

    ●投影
    大手新聞社を辞め都落ちした主人公。地方新聞社で現地の汚職事件を告発する。

    ●カルネアデスの舟板
    一つしかないポストを手に入れるために恩師を陥れる大学教授の話。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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