砂の器(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.67
  • (255)
  • (411)
  • (589)
  • (42)
  • (4)
本棚登録 : 3766
感想 : 296
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109251

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【ネタバレあり】


    下巻。
    トリックが科学的なものだったのでちょっとびっくりした。
    本浦千代吉の名前が突然出てきたりとか、関川と恵美子の関係にいつ気付いたのかとか、疑問に感じるところも結構あったけど、それよりも今西刑事の地道な捜査が実を結んだという達成感の方が強かった。手掛かり求めて西へ東へ奔走したのは無駄ではなかったのだなぁ。旅情ミステリの感もあり、楽しめました。
    戦後昭和の世相を映した名作だと思う。

  • ラッキーハプニングだらけの捜査、事実から飛躍した推理、そして最後のトンデモトリック。松本清張氏の最高傑作として謳われるが出来はどうであろうか。

  • 散々ドラマや映画で観たが、原作は未読。
    あれ?ドラマと違う、こんな話だったっけ?と思いつつ上下巻一気読み。相変わらず列車移動が好きな人ばかりで。トリックに疑問があるし、目撃者なし物証なしで状況証拠と主人公の捜査員の推理で逮捕できるんかい、とつっこみどころ満載だが、この作品の意義はそこにないのでしょう。それよりも、小説が発表された1960年に清張がハンセン病を題材に小説を書いたその気概に注目したい。やはりそこは凄い。戦災の記憶がまだ息づき、既成秩序打破の熱と政治の季節のなか、差別と貧困を背負った青年の野望と闇を見事に描いている。日本の60年代の空気を知る上でも貴重な小説。

  • 未明の蒲田操車場で見つかった惨殺死体。手掛かりは、被害者の東北訛りと〝カメダ〟という言葉だけだった。ベテラン刑事の執念の捜査は、社会の光と闇を巡りつつ、父がハンセン病であったがゆえに家も故郷も失い、別人になりすまさねばならなかった一人の新進音楽家へと向かっていく。緻密な構成と意表を突く展開に多彩な人間模様を盛り込みながら、心に空洞を抱える青年の悲運と凶行を通じ、戦後の日本という巨大な〝砂の器〟が逆照射されていく。

  • 相変わらず粗い…。重要参考人が都合よく次々刑事の前に現れ、極めつけはたまたま読んだ文章に証拠隠滅の様子が登場し、ありえん、ザ推理小説ってかんじ。連載の時は少しずつ面白おかしく進んだのかもしれないけど、一気に読むとなんだそりゃ?!と驚く。人の心に触れそうでどんどん読んでしまうけど読み終わると意外と浅くてもっと丁寧に書けなかったのかしらと思ってしまう。だからいろいろな監督がかえってインスピレーション刺激されてうまく脚色加えて映画やドラマ化するのかな。

  • 面白かった

  •  初めて読んだ松本清張の作品。冗長な部分はあるものの、全編に渡る描写と雰囲気の濃さに一気に読んだ。音を用いた殺人という凶器は腑に落ちなかったのだけど、その納得感の薄さを差し引いても面白く読めた。読者が今西と同じ目線に立って読めるようになっているからだろう。

     レビューで「ハンセン氏病の差別について書かれていた」とあったが、ラスト近くにあっただけであまりその意図は感じられなかった。ただ、関川が恵美子との関係をひた隠しにするなど、一見華やかな人物の後ろ暗いところの隠し方など、ハンセン氏病に限らず「触れられたくないこと」に対する人間のやましさ、臆病さについてはよく書かれていると思う。

  • 最後までどんどん読んでしまったけれど、やっぱり夜中に読むには怖くなります。
    この手の本は、明るいうちに。
    刑事ってすごいですね。
    執念です。
    これだけの登場人物が出てきたのに、ごちゃごちゃしなかったのもすごいです。

  • 下巻は、刑事の執念がものすごく感じられた巻だった。一気に読んでしまった。僅かな手がかりを頼りに捜査するのって、本当に雲を掴む話だろうから。にしても宮田、恵美子を殺した手口が、えぇ⁉︎ってなる。そんなんで殺したの?って。ただ最後、犯人が捕まるシーン、犯行の動機があっさり終わってしまったのでちょっとだけ、物足りないかなぁ?という感じ。

  • テンポ良く読めてしますが、
    刑事さん先走り過ぎで振り回されてしまうw

全296件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

松本清張の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×