他人の顔 (新潮文庫)

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感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121017

感想・レビュー・書評

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  • 作者的にはSFなんだろうな。

  • 主人公の、妻に向けての手紙という形だけど、ずうっと言い訳くさくて、無駄に長いししつこいし、言ってることがコロコロ変わるのでイライラするしストレス溜まる。顔のせいではなく、そういうカスっぷりを描く技術があまりに高いのは事実。だから喜劇として捉えれば星3つってとこ。

  • 平野啓一郎の新書『私とは何か――「個人」から「分人」へ』と併読となり、違う自分と符合。

  • 顔の持つ意味。
    他者、とくに身近な人との関わり方。

    きっと女性より男性が、
    そしてプライドの高い男の方がより、
    他者からどう見えるか、どう感じられるか、
    それを強烈に意識しているのだろう。
    しかし、相手の気持ちを、想いを汲み取ることはない、
    汲み取ろうとすることもできない、
    それが手記という形をとることで卑屈なまでの男の思いが、
    嫌になるくらいに描かれてる。
    顔を失うことが実際にどんな恐怖なのかは
    想像するしかないけれど…。

  • 超絶かわいい、蛆顔男。

  • 安部公房の本は、『砂の女』、火星人のやつ(タイトル忘れた)、『カンガルー・ノート』に引き続いて確か4冊目。個人的にこの人の本は噛み砕くのに手こずるのだけど、比較的読みやすかった印象。ケロイド瘢痕によって、人前に顔を曝すことが出来なくなった男が仮面作りに励んでめっちゃ自意識に囚われる話。妻に、暴露ていることがわかられつつも、演技をしているんだと思われ、また自身にもその演技に乗っかることを求められてるんだと勘違いされ、勝手に幸せを感じられるも、違うと分かった時に罵られる感じ…ああ~男ってバカァ~女って怖ぁ~もっと優しくしてや~って思って面白い。

  • 一時期、安部公房にはまっていた時期がありまして、
    この作品では、科学は万能ではないことを読後に感じました。
    また、顔の持つ意味についてもいろいろ考えさせられました。

    作品は、顔に怪我を負った主人公が精巧な仮面を作り、別人として 妻に接近するという「本当かよ!」的な展開をみせていきます。

  • 顔を失う苦悩はとても想像できないけど,それがリアル過ぎるくらいリアルに描かれてる。
    「顔」 について考えさせられた,というか作中で男が色々考えてるからひたすらそれを追ってる感じだった。情報量多くて読むの大変だったけど読んでよかった。

  • 【考えさせられる1冊】
    ケロイドで悩む男の心情描写は、著者が自己体験に基づいたかのように、詳細で且つリアルである。顔というものが、人の身体の中で重要視されているのかを再認識させられる。最終部で、妻が夫に綴る文章は、「顔」=「変わるもの」、「心」=「変わらないもの」を表現しており、妻が愛していたのは、変わらないものであるというものであった。その時に自分に問う。もし、自分の愛する人が、今までの顔が潰れ醜くなってしまった時、私は本の中同様「心」=「変わらないもの」と捉え、愛し続けることが出来るのだろうかと。。。答えが「No」なのであれば、少なくとも自分が愛する人に対して、「顔」という条件が入っているという証拠なのではないだろうか。

    顔の重要性を考えたことがなかった私にとって、新たに考える軸をくれた作品であった。

  • 『他人の顔』は、安部公房の小説である。

    化学実験の失敗による爆発が原因で、顔の前面に大やけどを負った主人公が、顔を失ったことによって消滅しつつある妻の愛や社会的地位を取り戻そうという目的で「仮面」を作り、それを被って街に出る。
    「顔」というものは、確かに身体全体のごく一部分に過ぎない。しかし、実際の役割は非常に大きく、「社会と個人との通路」なのである。その「顔」を失った人間は、果たしてどのような存在であるのだろうか、という思考実験的なテーマに沿って描かれている。
    物語の流れは緩急の差が激しく、前半の長々とした準備期間の描写から一転、後半の畳みかけるような仮面の活躍には驚く。
    安部公房の、深く鋭い観察と、それを的確に言語へと落とし込む文学性が織りなす、卑近であり遠大である「非ユークリッド的」小説であると感じた。

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著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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