- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101121079
感想・レビュー・書評
-
今まで読んできた安部公房とは雰囲気が違い、さらによく分からなかった。鉄砲屋の最後がよく分からん。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2009/12/17購入
-
デンドロカカリヤは食べてみたい。
-
この本は表題の『水中都市』、『デンドロカカリヤ』含め11編の作品が収録されている。初期短編集ということもあるのかないのか、思想的なものがこれでもかというほど見え隠れしている。そう思って読まなければ、いくつかは純粋に読める、筈。
所謂「らしさ」が詰まった作品が多い。そして変身譚ばかり。一見すると難解に思える文章に吐き気を催すのでなければ、入門編としてオススメです。
この人の文章は三回転半捻った後に逆回転がかかって戻ってくるような捻くれ方をしているので、そういうものが面倒ならば見なかったことにする方が吉。
個人的には『デンドロカカリヤ』が一番好きで、冒頭のフレーズがリフレインして離れない。民主主義だの何主義だのと、政治色がばっちり濃い作品ではあるけれども、気色の悪さと性格の悪さは、ただそれだけでこちらをニヤっとさせてくれる。
常識が常識によってひっくり返される構図は、読者が素直すぎると単純に気味が悪いだけなので、そういう意味でも読み手を選ぶ作品に思える。
どうでもいいが、彼の彼女の名前はKなんだが、Kというと『こころ』しか思いつかない発想は貧困すぎるんでしょうか。でしょうね。
うーん、文系大学一年生にオススメ。 -
だいぶ前に読んだ作品ですが
内容はある日突然町が海に沈んで住民は皆魚ぽい魚類に変わっているというお話.みんな魚に変わっていても会話は出来て自分も町を泳ぎながら結構自由気ままに生活できて,こういう世界設定だけ見てみると結構ファンタジーな話なのかなと思いますが,そこは安部公房.暗さが行間からにじみ出てきて気分が滅入ります.
おそらく,多分ですけど,社会の孤独を暗喩しているからだと.資本主義化が進む近現代で個々の存在理由がとわれ誰もが孤独に埋没する.他者は誰もが魚の用に共感を持つことの出来ない世界が来ることを予感したのではないでしょうか.
ともかく題名に反して読後断然暗かったイメージで,さすが安部公房と思わせられる作品だった. -
詩人の生涯
-
初期の短編集
夢はいつも不条理だけど、現実もいつだって不条理だ
『宙に浮んでも、少しも不自然でないような気がする。』 -
不条理の代名詞安部公房の初期短編集。
魚になったり植物になったりの短めの短編が11編ですのでシュールでも比較的読みやすい方だと思います。
深読みしなくても人間存在に不安感とか感じてなくても「なんかすごいことになっとるな」と思いながら読めると思います。手に入りやすいし。 -
初期の短編集です。
私の好みは、言うまでもなく「飢えた皮膚」です。
初めて読んだときに、衝撃を受け、もう一度読み返してみると、文章の節々にやたら「色」が目につくのです。
カラフルと言うにはちょっと違うような・・・全体的にどんよりくすんだ色を感じました。
もっとも不愉快だったのは「闖入者」。
あまりに不愉快だったので、そこで読むのを辞めようかと思いましたw
どう考えても理不尽だし、筋が通っていないのに、「民主主義」と「多数決の原理」という武器を持ち出して、正論のように語る。するとそれが自然と正論のように思われてきてしまうのです。
これとはちょっと違うかもしれませんが、小学生の時、係決めで「新聞係」がやりたかったのに、一番最初に学級委員に推薦され、私の意見も無視して勝手に多数決で決められてしまったことを思い出しましたw
表題作である「水中都市」は突拍子もない物語なのだけれど単なるヘンテコ物語ではないところが安部公房。
最初はなんという気持ち悪い魚だろう・・・と思っていたのに、逮捕される時にはなんだか寂しくなってしまいました。
それにしてもこの表紙の絵は素敵ですねえ。さすが真知さんです。 -
個人的には闖入者が一番面白かった。
どの短編も、背筋がぞっとする瞬間があって、
寓話だけど、2009年現在でもそんな効果を持つ短編ってなかなかない。
さすが安部公房って感じでした。