- Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101137025
作品紹介・あらすじ
級友が私だけを避け、仲間はずれにする。差別-その深い罪について人はどれだけ考えただろうか。故なき差別の鉄の輪に苦しみ、しかもなお愛を失わず、光をかかげて真摯に生きようとする人々がここにいる。大和盆地の小村、小森。日露戦争で父を失った誠太郎と孝二は、貧しい暮しながら温かな祖母と母の手に守られて小学校に通い始める。だがそこに思いもかけぬ日々が待っていた。
感想・レビュー・書評
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貧しさだけが辛さの根底ではない。非理な差別の中罵られる苦しさが辛いのだ。
エタ、ヨツと罵りを受ける字名と、糞も宝になる天皇の差。天皇を神と崇める時代、不幸があれば運だと言うが、責任は人間が居る所に生じる。劣等感を読んだ。
反抗が戦う手段ではなく、勉強こそが武器だと孝二が教えてくれた。
怒るほど学ぶことだ。
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/60551 -
明治後期の被差別部落にで育った少年たちの心情や成長を鮮やかに描いた傑作。
当時の生活も克明に描かれていて、それだけでも価値ある本だと思いました。
部落解放令が発布されたとき、本当の解放は5万日かかると言う場面がありましたが、151年経った今でも部落差別が解消していないことを考えると、本当に根深さを感じます。
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とても読みやすい文章だが、なんて深いのか。人間は誰かを見下さなければ生きていけないのか、悲しくなる。同じ人間なのに、差別する人と差別される人がいて、法的には平等とされているのに、やめられない。この物語は誠太郎と孝二の兄弟が主人公で、それを母のふでと祖母のぬいが守って育てている。お互いに対する思いやりと愛情に溢れた家族で、読んでいてほっとする。それだけにつらいのだけど。インドのカーストも法的には平等だけど、厳しい差別はなくなってない。同じなんだと思った。
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3.99/467
内容(「BOOK」データベースより)
『級友が私だけを避け、仲間はずれにする。差別―その深い罪について人はどれだけ考えただろうか。故なき差別の鉄の輪に苦しみ、しかもなお愛を失わず、光をかかげて真摯に生きようとする人々がここにいる。大和盆地の小村、小森。日露戦争で父を失った誠太郎と孝二は、貧しい暮しながら温かな祖母と母の手に守られて小学校に通い始める。だがそこに思いもかけぬ日々が待っていた。』
『橋のない川』
著者:住井 すゑ(すみい すえ)
出版社 : 新潮社
文庫 : 688ページ(第一巻) 全七巻 -
時代が変わっても変わらない普遍的な何かが伝わってくる気がした。
後半の峠のたとえ話と誠やんが生まれたての赤子に向かってかけた言葉印象深かかった。 -
友人に薦められて読み始めた本書ですが、7巻というボリュームに怯んだ気持ちはどこへいったやらという程にのめり込んでしまい、あっと言う間に読み終えてしまいました。 畑中家の暖かい交流と、一歩小森村から出た時の世間の非情さの対比に何度も辛くなりました。 東京にいるからか部落差別は実際に見聞きしたことはないですが、自分の心の中にも形を変えて人に(職業や雰囲気などで)貴賎をつけたがる思いがあることに、本書を通して気付かされます。誠太郎達をバカにする子供達が憎らしくてたまりませんが、それは私でもあると自覚します。
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3 「大人になる」とはどういうことか[辻智子先生] 2
【ブックガイドのコメント】
「被差別部落に生まれた少年の成長を日露戦争から水平社宣言へと向かう時代の中で描く。」
(『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)
【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000073502
【関連資料(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
・[単行本]1961年発行
https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000169374