- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101162010
感想・レビュー・書評
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序盤は真面目な明治男の清々しい姿。
後半はキリストの教えに真摯にその生を捧げた男の姿。
生きるとは。愛とは。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この作品紹介こそ、ネタバレでは無いでしょうか
感動と自らの生き方を振り返るお話しでした。 -
読了直後、心の底に重石を乗せられたような重い感情が残った。
終盤の衝撃的な場面を除き、全般は信夫の生き様がとても繊細に巧みに表現されている小説。
信夫の人生の道のりには読み進めるほど想像を超える成り行き、行動、心情があり心惹かれるものがある。
そしてやはり最終章はとても魅せられた。自分には、その日たまたま出会った見ず知らずの他人の為に自分の命を犠牲にできる自信は今のところ微塵もない。
しかし、本の中では信夫の視点から書かれているため、不思議と自分も信夫と同じ行動ができる気がしてくるのである。
もし客車に実際に自分が乗り合わせていたら。
何の変わりもないいつもの通学電車に事故が起き死の覚悟をせざるを得ない状況に置かれたら。
その時最期に自分は何を、誰を想うのか。
多くの人々にその死に様を“立派な死”と讃えられるとしても、そんな名誉より命が惜しい。同じ場に居合わせている人々の誰よりも、自分だけは幸運に生き残りたい。神や仏に死にものぐるいで助けを乞うことだろう。
自分は欲深いと思う。だが、人間ならばこの程度の欲は誰しも持ち合わせているものではないだろうかとも思う。
そう信じて疑えないが故に、なぜ信夫にはあのような行為が成し遂げられたのだろうと、本書を読み終わった後でもほろ苦いような後味が残っている。
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読みやすいし、シンプルに心を打つ。
たまに出会う、人間の本当の価値について考えさせられる小説だった。
主人公の弱さ、そして葛藤もしっかりと描かれていてその中で信じる心を培っていくのがよかった。
完璧な人間なんていない。神様でもないのだから。
主人公のように腹に力がこもった人間になりたい。 -
なんでこんなタイトルなんだろうなー。どこかで出てきてたっけ。って読み進めていって、それが分かった時には衝撃につつまれた後だった。
道端で会った伝道師の「これはぼくも試みたことなんだが、君もやってみないかね。聖書の中のどれでもいい、ひとつ徹底的に実行してみませんか。徹底的にだよ、君。」の言葉を愚直に守り、実行していく主人公の原点に、ヤソ嫌いの祖母の影響も見えることが、人間とは奥深いものだという印象を受けた。
しかしその愚直な信仰が昇華される瞬間の、なんと悲劇的なことか。
信仰は引き継がれる。と結ばれていくラストも、衝撃の大きさで真っ白になった頭には入らなかった。 -
ふじこさんはこの後どのように行きていくのだろうか。幸せになってほしい。