天国旅行 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 5282
感想 : 400
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167626

感想・レビュー・書評

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  • 7つの物語のうち1.2.4.5話は星5つ

  • 遺書の章が好き。
    "君は夜"残酷すぎて。苦しかった。読み終わった後も続きが気になるというか、三浦しをんとか他の人はこれ読んでどんなふうに続き考えてるんやろみたいな、想像をしていくのが楽しい.好きやなー三浦しをん

  • 何年か前に一度読んだことのある作品。心中をテーマにした短編集だけど、短編集とは思えないほど1つ1つが読み応えのある作品だった。

  • 「君はポラリス」よりも好み。短編集って、統一感はありつつも似たりよったりの内容ではない、というのが理想で、そこが難しいところだとは思うけど本作はうまく達成されていたと思う。

  • 一つの話が仕事に行く電車で読み切れたのでお気に入り。でも、死にまつわる話なので仕事中も物語の内容を思い出して、複雑な気持ちになった。
    立て続けに何話も読んでいくってよりは、一話読んで、考えて、心に落とし込んで。
    一番最後のお話だけ、私にとってはあんまり読んだ感がなかったのが残念。

  • 2020(R2)8.11-8.13

    帯に『「心中」をテーマに当代一の名手が描く生と愛の物語』とあった。7つの短篇が収められている。
    個人的には長編の方が好きだ。話に広がりや深まりがあり、最後は全てが集約されてスッキリするからだ。
    しかし、この7つの短編集は、僕の好きな長編の要素を全て網羅している。その上、ある意味「完結していない」ので、続きが読みたくなる。

    今まで読んだ三浦しをんは、語り口が比較的“軽妙”だったが、今回はなかなかドッシリとしていて、そこはプロ!ますます三浦しをんが好きになった。

  • 『君はポラリス』の次に読んだから勝手に恋愛がテーマかと思ってたじゃない?(ネタバレ避けるために極力あらすじを読まないスタイル)1つ目の話からすでに恋愛ではなく、自殺志願者の話となんか重い。全体的に暗さ漂う話ばかりなのに、心情や会話がおもしろいから暗さ100%にまったくならない不思議。個人的に好きな「君は夜」「炎」は真実は闇の中な終わり方で○。「星くずドライブ」は香那の自分本位さが悪霊じみてて良いと思いました。最後の話を読んだ後、テーマが小さい字で書いてあって「あぁ、そうなんだ」と。良い作品でした。

    [追記]
    今考えるとテーマはタイトルまんまなんですが、思い込みって怖い。

  • 三浦しをん氏の作品を読むのは11冊目、6年ぶり。

    著者本人が「うまい表現でしょ?」と思ってこねくりまわした比喩表現過多の、別の作家さんの著書の次に本書を読んだ。

    そのせいかもしれないが、ほらやっぱり、わかりやすい表現でも深い話、時制が前後する場面にも読者がすんなりついていけて理解できる話を書ける作家さんはいる。

    ただ、自分の記録を読み返してみると、三浦しをん氏の作品間で自分は好き嫌いが有ると書いてあった。
    だとしたら、本書は好きな部類だ。

  • 「心中・自死」をモチーフにした短編集。
    いつかまた読もう。

  • 死・心中をテーマにした作品と書いてあり、
    どれほど重いかと思ったけど読みやすかった。

    スッキリする終わり方ではないけど、
    それがまさに人生なのかもしれないと思わせられた。

  • 心中の話なのに面白い!

  • “きみと出会い、きみと生きたからこそ、私はこの世に生を受ける意味と感情のすべてを味わい、知ることができるのだ。”
    この一文で二人の関係性がわかるような気がします。

  • 人はやっぱり生きてこそ。
    楽しいばかりではない人生だけど
    辛いことばかりでもない。

    自分に直接関係ないのに、しんどい状況になるのは嫌だけど。

  • さまざまな形の心中を綴った短編集。
    読みやすさも読み応えもありました。好きです。

    あらすじに「すべての心に希望が灯る」とありますが、そこにはあまり期待を寄せないほうがいいかもしれません。後味が良いとは言えないものもあります。

    「遺言」と「星くずドライブ」がお気に入りです。
    前者は、最後の一文にものすごく大きな愛を感じました。もう一度読み返すと端々に愛情が滲んでいてあたたかい気持ちになります。
    後者は、ポップなおかしさと対峙する巨大な閉塞感にゾッとするのですが、どうしてだか1番好きです。

  • 「心中」をテーマにした短篇集。
    心中というと家族や夫婦が共に入水や練炭で自殺を図る、という印象が強いですが、本作ではその印象を覆されました。
    過去に愛した2人の男の後を追うように、1人を真似て喫煙を続け1人を真似て断食をして安らかに眠ったウメおばあさんが「物理的」にではなく心の底から3人での心中を成し遂げたと思うと、死や自殺は痛ましく哀しいだけではないのかなと感じました。
    解説にもあった「死は救済である」という考え方は私自身そのように考えていたのですが、嫌な事や苦しみからの解放だけが救済ではなく、例えそれが病死や老衰でも想っている人と気持ちの上で共に死を遂げたり、
    自分の命を賭けて何かを抗議したり伝えたりということは
    それ相応に死ぬ側も死なれる側にも救いがあるのかなと、改めて考えさせられました。

  • 「心中」をテーマにした7つの短編集です。

    タイトルはTHE YELLOW MONKEYの『天国旅行』という曲名からつけられたそうです。

    「せまいベッドの列車で天国旅行に行くんだよ 汚れた心とこの世にさよなら」
    この曲の一節です。

    生と死、夢と現実、そんなワードが浮かんでは消える、この曲のなんとも言えない不思議な世界観が、7つの短編に散りばめられているように感じました。

    綴られる文章の中には、歌詞のように美しい一文がたくさんあります。
    曲を聴いてから読んでみてもいいし、逆に本を読んでから曲を聴いてみてもいいかもしれません。
    ぜひ、音楽と本をリンクさせてみてください。

    図書館スタッフ(学園前):トゥーティッキ

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    帝塚山大学図書館OPAC
    https://lib.tezukayama-u.ac.jp/opac/volume/791843

  • 「死」とか「心中」がテーマの短編集
    …と言ってしまうとなんかイメージが偏ってしまいそうだけど、秀逸の物語ばかり。ハッとさせられる切り口に、作家の力量を見る。
    普段は文庫本の解説って余計だと思うけれど、角田光代の解説は、そうそうとこちらを頷かせる。
    死んだらおしまいよ。感じることができるのは、面白いと思えるのは(いろんな意味で)生きているからこそ、です。

    「初盆の客」
    「森の奥」
    「遺言」

  • 面白かった。心中もしくは死をテーマにした短編集ですが、軽いタッチのものもあればどんより重いものもあり何人かの違う作家さんの作品を読んだような満足感。特に良かったのは「君は夜」。前世と現世とのシンクロがいい。「初盆の客」も良かった。

  • 死をテーマにした7編の珠玉の短編集。
    哀しさが底流に流れる愛の物語。セックスの描写はどれも寂しくてエロい。
    ゴシックメタルで例えると言MY DYING BRIDEかな。なんで、あまたあるPEACEVILLEのバンドの中からMDB なのか?それはオレにもわからん。ふと、頭に浮かんできたのがこの老舗ゴシックバンドだった。
    どれも傑作だけれど内田春菊の『南くんの恋人』テイストの「星くずドライブ」を推しとこ。角田光代のあとがきではひとことも触れられてないし。香那とちよみのキャラも被ってるような気もするし。映画『星くず兄弟の伝説』やフロイドの「星空のドライブ」を思ひ出すから。

  • 心中をモチーフとした連作集。
    流麗な文書表現で綴られ、結末が気になりさくさく読み進められます。
    心中がテーマなので暗くなりがちかといえはそうでもなく、「初盆の客」のように心温まるようなものもあり飽きが来ない。「星くずドライブ」のカノジョのように少し感触のあるユウレイという設定はセンスがありますね。
    それにしてもタイトルと表紙はまるで「君はポラリス」のヒットにあやかりたい魂胆がみえみえであざといなぁ、と。特にタイトルと内容はなんだかミスマッチな気がします。

著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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