ローマ人の物語 (14) パクス・ロマーナ(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181646

感想・レビュー・書評

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  • 本屋に平積みされてるいわゆる「成功本」をいろいろと読み漁るにつれて、「成功って何?」とわからなくなり、原点にかえって歴史について、しかも歴史上の人物を中心に学んでみようと思ったのがきっかけです。

    これまでの人生、私はあまりにも歴史を軽視しすぎてました(笑)
    新しいことばかりを追いかけて、先端を行くことばかり考えてました。
    今ももちろんそうなんですけれど・・・。

    成功本って、楽してお金をもうけるとか、そういうことが究極の目的みたいな感じなんですけど(いや、ちょっと極論ですが^^)、楽してお金をもうけてそれで本当に私は満足なんだろうか?と問うてみて、あんまり満足感を得られそうにないなあと感じたのです。

    小さいお城(会社)を持てば満足?
    お金をがっつり稼げば満足?
    それでいて暇をたっぷり得られたら満足?

    この迷いがあるうちは、一歩が踏み出せないんですよね^^

    何世代にも渡る偉人について学びながら、少し後ろに下がって自分の人生、そして息子達の人生を考えてみたいと思います。

  • アウグストゥスの治世の平和な時代。凄く政治というもののデリケートさを感じた。【0507新】

  • カエサルの後継者になったオクタビアヌス。まだ若かっただけにじっくり焦らず天下を手中にしていく。大きく変わる時代の趨勢がこの若者にだけは見えていたのか。繰り返し出てくる「人は見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの残したフレーズが印象的。

  • ゆっくりと、しかし確実に皇帝への階段を登るアウグストゥス

  • カエサルの養子となり、父の意志を継いだオクタヴィアヌスこと、のちの初代ローマ皇帝アウグストゥス。カエサルのような軍才には恵まれなかった彼だが、内政には素晴らしき才能を発揮する。そして、アウグストゥスにはカエサルにはないものがあった。それは「偽善」であった。そんなアウグストゥスが、深謀遠慮をめぐらし、長い長い月日をかけて、ローマを帝政へと導いていく、、、。

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    前作が「カエサル・LOVE」のオンパレードであったのに対して、オクタヴィアヌスが主役になるといつもの作者の冷静な分析が戻ってきました(いえ、カエサルの分析が冷静でないとはいいませんが)。しかし、私はカエサルよりもむしろオクタヴィアヌスの方がむしろ「すごいやつ!!」と感じました。
    なぜって、カエサルは確かに素晴らしい発想を持ち、既存のものにとらわれず、素晴らしき軍才を持って、明るい性格で人々を魅了しながら、成功を収めていました。しかし、彼は結局ローマの人々の心の中を見通せなかったということだと思うのです。帝政に対する元老院の抵抗があそこまで激しいものだと、激情にかられての暗殺という暴挙にも及ぶほどのものだということを見抜けなかった。それに対する防衛策を怠った、ということですよね。それに対してオクタヴィアヌスは慎重すぎるほどの遠回りをして、時間をかけて、時には偽善的な虚構を弄してまで、帝政の確立に努めた。その忍耐と意志の強さは感嘆に値します。
    自らの血族が帝位を継ぐことに執着したことに対する作者の評価は厳しいものですが、私はオクタヴィアヌスが「自分の地を残す」ためにそうしたのではなく、「帝政の存続には血族による帝位継承が最も現実的」という合理的考え方から来ているのでは?と思いました。だって、実力主義の帝政など、古今東西続いた試しがあったでしょうか?結局は内乱になって終わりです。そのことを、彼は理解していたのではないでしょうか?たとえ、少々愚劣な皇帝が1,2代あったとしても、帝政の存続には血の相続の方が適しているということを。こういうことに思いを馳せる引き金を読みながらいくつもひいてくれる、そういうところが作者の筆の妙だと思います。

  • 2004/12/24読了。
    「それ以後の私は、権威では他の人々の上にあったが、権力では、誰であれわたしの同僚であった者を越えることはなかった」―アウグストュス

  • 終身独裁官カエサルが共和制復古を期待する直接元老院派の権力を削減していった方法と異なり、アウグストゥス(オクタヴィアヌス)元老院派と協調しながら終身護民官となることで実質の支配者となり、着実に帝政の基礎を固めていく。老獪な戦略家である。
    また、権力を掌握するだけでなく、平和が訪れたローマを安定成長路線に乗せていくことを目指して、政治、経済、軍隊統率、属州統治、食料問題などさまざまな分野で長期的な改革を行っていく。結構真面目な初代皇帝なのであった。

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