- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181738
感想・レビュー・書評
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『学者は史料を信ずる傾向が強いが、作家は、史料があってもそれらを頭からは信じない、としてよいかと思う。』<br>
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『歴史上の「証拠」とは歴史記述と考古学上の成果に大別できると思うが、<br>
(中略)歴史記述とはあくまでも、書いた人間というフィルターを通しての史実である。<br>
そして考古学上の成果となると・・・・・・。※』<br>
(※)『考古学上の成果も、現在までに発掘されたものに限られる』<br>
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『それで、(中略)ローマ史を書きつづけるに際して私が、自分の判断の基準にしたことが一つある。<br>
それは、(中略)国家にとって良いことであったか否かを判定するにあたって(中略)歴史家の評価よりも、<br>
その皇帝の後に続いた皇帝たちが、彼の行った政策ないし事業を継承したか、それとも継承しなかったか、<br>
のほうを判断の基準にすえたのである。』<br>
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なるほど、(本作が歴史小説か歴史書かは置いといて)<br>
面白いハズだ。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ヴェスパシアヌスの後、ティトゥスが若死にし、弟のドミティアヌスへ皇帝の座が移る。
15年の在位の後暗殺され、記録抹殺刑という処分を受けたため、ドミティアヌスの統治についての詳しい資料は少ないらしく、本書での扱いもあまり深い部分には入れていない。
帝国の基盤を固める政策はまじめに行っていた皇帝なので、処罰を受けるにはよほど敵を多く作ったのだろう。
ネロ死後の皇帝位争いに、ローマ人同士の血を流す戦いを経験していたので、ドミティアヌス暗殺後は穏便に皇帝のバトンタッチが行われていく。