- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101184531
感想・レビュー・書評
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阿川さんの本はこれが始めて。ふと手にした文庫だったけど、大正解!すごーーくよかった。食べ物を丁寧に描く作家さんって、人物や思いも丁寧に描けると思う。この本を読んで、「キッチン」のことを思い出した。あのカツ丼もインパクトあったなぁ。スープにかける思い、おばさんとの思い出。するするとつながっていく、三人の生活。空気感が伝わってくる小説で、自分も一緒のリビングにいるような気持ちになれた。この小説の世界に触れたいという気持ちになって、鳥スープをつくりたくなる。人に行動を起こさせるほどの小説ってすごいと思う。
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これはある意味ためになる、文句なしの星5つです
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タイトル借り。
女性作家のこういうおっとりとした小説好きだよ。
トニーさんと、康介と、主人公のルイの、親子かもしれない、恋人かもしれないって感じで織りなす共同生活の話。
結構唐突で、結構最後もほったらかしのまま終わるんだけども、なんとなく、「こういう時間とか、奇妙だし、ずっと続かないのに、心地いい時間ってあるよね」って思った。
人と関わる時、そんな長くいたわけじゃないのに妙に記憶に残ってる時間だったり、「この人と一緒にいたのなんてここ1、2年なんだよな」って思うこととか、そういう時間だったり出会いってのはいいもんなんだよね。
これからいくつそういうことがあるか分からないけど、そういう時間を大切にしようって思えた。
あと、タイトルにある「スープ」。
もうスープが出てくる度に「おいしそー」って思った。
この本に出てくる食べ物はどれもおいしそうだったよ。 -
阿川佐和子は『TVタックル』のイメージしかなく、
とても作家のようには見えなかったのだけれども、
いやはや、しっかりした作品を書いていらっしゃる!
テンポがとてもいいし、何より、食事が美味そう。
スープ・オペラというタイトルはピンとこないんだけど、
登場人物のキャラクターもしっかりと描かれているし、
キチンとオチも用意してあるから、最後まで読めます。 -
なんだろう。全然そんなの書いてないのに
素敵な昭和の感じ。 -
阿川さんは心地よく温かい描写が好きな作家さんのひとりです。この文庫版は宮沢りえ+A.ヘプバーンのような、透明感のある女性の描かれた表紙が素敵。
30代半ばの独身女性、ルイさんが主人公。叔母さまとの2人暮らしで特に不満もなかったある日、叔母さまが突如、恋に落ちて出奔!そこへ、「家が気に入った」と2人の男性が下宿人として暮らし始めます。ひとりは、「濃ゆい」自由なおじさん、トニーさん。もうひとりは、何事につけても「淡泊な」年下編集者、康介くん。大家さんのルイさんを含めた3人の距離が近くなったり、遠くなったり…と物語が進みます。
タイトルのとおり、お食事のシーンが多く描かれます。書き出しも「何のこと?」と思いつつ、そこへつながっていく仕掛けで読ませます。中には嬉しい食事も気まずい食事もありますが、どれもとても美味しそうで、「あーうまけりゃハッピーだ」と張りつめていた神経もゆるむ(笑)。おそらく、阿川さんご自身が楽天的なかたなんだと思います。そこが好き。トニーさんが元奥様からいただいた料理本のレシピがまたいいんです!近所のお肉屋さんのハムカツ(私の近所にはないメニュー)も美味しそう!これとは別に好きなのが、3人が持つ、それぞれあまり触れられたくない点をふんわりと温かくいなしてしまう大人の「あいまいさ」。もちろん、男性のわがままや女性のイヤなところを見つけてしまう、なかなか手厳しい描写もあり、これも素晴らしく巧み。それでも、「ま、そこはいいからさ、とにかく食べよ」っていう優しさ、好きだわー。人の傷をこれでもかとえぐって、癒しのパテで後からぴっちりと埋めていくのは優しさではないと思うし、そういう小説の手ワザにはちょっと違和感を持ったりするんですよね。阿川さんのお考えはきれいすぎてリアルじゃないかもしれないけど、これもアリだと思います。
描かれる状況を「ありえないでしょ!」と一蹴されるかたもあるかと思いますが、「結婚かぁ、それもなぁ…」と揺れる女性を描かせると見事な手腕と、大なり小なり「いいな」と思ってしまう(笑)、3人の間の快適な空気が素敵なので、ちょっと甘いかもしれませんが(いつもだけど)この☆の数です。 -
面白かった〜。阿川佐和子さんを知ったのはyom yomがキッカケ。yom yomに掲載されている阿川さんの小説は毎回面白い!作者の名前自体は知ってたけど、エッセイの人ってイメージでした。すきな作家が増えました♪