- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101185019
感想・レビュー・書評
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70年代初頭を飾る問題作。
狂気の女性を描く。
こんにち、狂気の女性像を巡る作品の原点ではないかと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
又吉から
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図書館で借りて読んだあと中古品を注文中。届いたらもう一度じっくり読んで感想を書きたい。今はとりあえず、すごく好みだとだけ書いておきます。
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ひきこもり男子大学生(うつ病)とメンヘラ系女子大生(統合失調症)の恋愛を通して彼らのナイーブな内面を描き出している。精神の健全さと病気との境界がグレーであることを匂わせる描写もあって興味深い。
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繊細で、美しい文章だ。
人は、感じていることをうまく言葉に表せない時がある。でも、古井由吉はそんなあやふやな感情を言葉にしてみせ、そしてそれはとても的を得た言葉に成り得ている。日本語はこんなにも豊かで美しいのだと、彼の文章は教えてくれる。 -
《おい、わかったよ。君はそんな風に躯をないがしろにするもんだから、自分のありかがはっきりしなくなるんだよ。だから、行きたいところにも、一人で行けないんだ》
しかしそれは口に出さずに、彼は杳子を右腕の下に包んでやる。重さの感じがすこしも腕に伝わってこなかった。(『杳子』より)
ひとはけっして一人でたたずんでいるときに孤独を発見するわけじゃない。自分とむきあう相手がいる、けれどその相手に融けこむでもない、といって相手を拒み去るでもない。そのように自他の釣り合いが宙づりなままにされるとき、ひとは相手とのあいだに横たわる無限に広い名もなき空間をうつらうつらと漂ってその途方もなさに暮れ、仕方なしにその場を孤独と名づける。名づけずとも感じ取っている。感じずともその身はすでに侵されている。杳子と出会った彼も、おそらく――。
『杳子』も『妻隠』も、ともに二人の男女の閉ざされた世界を描いている。しかしどうやらそのアクセントは「二人の男女の恋愛」にではなく、「世界の/からの閉ざされ」に置かれているようだ。個人的にはこのような、自閉しあう関係とでも呼べばいいだろうか、そういう関係にすこし惹かれる。 -
何年かぶりに古井由吉を読み返す。
やっぱりこの作家の小説が今まで読んだ
どの小説よりも、自分には合っていると
感じながら、読んでいます。
堺から東京に戻る途中の新幹線車内で読み終えました。 -
得も知れぬ不安というのを文字にしたら多分こうなる。
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「杳子」だけ読み終えたので一先ず。 この纏わり憑く様な文体は余り吾輩の嗜好と合わない。背景描写と心理描写だらけで構築された作品で、読者、特に女性は杳子に苛立つと思う。この不明瞭な描写が世間からは評価されているのかもしれないが、描写に次ぐ描写だと流石に飽いてしまった。精神疾患ではなく、強迫観念に囚われた女と何故か堕落する男。実際にこのような女が実在したら、如何に鬱陶しいか。寵愛からは程遠く、保護にしては度を過ぎている。この杳子と云う奇妙な女には全く魅せられない。もっと行動が派手な女を描く作品の方が吾輩は好きなので、この芥川賞特有の滑りけは戴けない。不明瞭さが至高なのかもしれないが、狂人を描くならば端的で無いと興奮しまい。
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浦野所有
精神病の女性と、彼女に惹かれる男の物語。芥川賞受賞作にしては、珍しく情景描写がハッキリしてるかな。あんまり、読みやすい作品ではないけどね。あと、舞台設定からして、曇天模様の展開になるのは仕方ないにしても、読後にスッキリ感がぜんぜんないんだよな~。あんまりおもしろくなかったです。ファンの方、すみません。