- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101202426
感想・レビュー・書評
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2回目の読了。
ふたりの女の子が、自立していくまでの物語。
作中には『赤毛のアン』はじめ、たくさんの先行作品へのオマージュが散りばめられている。僕はそれらの作品を読んだことがなく、そのせいで星4つにとどまったのかも。
それにしても。
人間はかくも、危うく脆く、傷だらけになりながらでしか、自立できないものか。
娘を持つ身としては、5章「分断された私」が辛すぎて。4章「森を出る」までで終わってくれたらと。しかし、5章を逃げずに描くことで、この作品は少女文学を超えていくのでしょう。
バンジージャンプはもともと、バヌアツのある島で行われる、成人の儀式、イニシエーションだったと聞いたことがある。文字通り、生きるか死ぬかの体験を乗り越えたとき、人は初めて大人になったと認められる。
そのようなイニシエーションのないこの国で、大人になるということは、どこかで決死のダイブをしなくてはならない。
彼女たちの足に結んだロープが切れてしまわないように。
僕に何ができるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
二人の少女の物語と思って読んでるうちに[赤毛のアン]のオマージュだとわかってくる。赤毛のアンは小さい頃夢中になって読んでいた本で、そういえばあんなに夢中だったアンシリーズも[アンの幸福]辺りからあまり面白さを感じられなくなった自分を思い出した。大人になった今、もう一度読み直したらどう感じるのかな?と思わせてくれるお話でした。
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「赤毛のアン」のオマージュ作品。
Wヒロインのダイアナ(大穴)と彩子は、育った家庭環境が全く違う。
変な名と金髪の風貌で、いつも周りから弄られ萎縮していたダイアナと、みんなの憧れ王道をいく彩子は、本好きの共通点で親友となる。
話が進むにつれ隠された秘密と真実が現れてくる。
たくさんの名作の紹介も楽しかった。
私のハンネ由来「悲しみよ、こんにちは」【セシル】の記述や向田邦子氏の話にキュンとした♡
自分の呪いを解くのは、自分!誰かに解いてはもらえない!ヒロイン2人の成長物語 -
キャバ嬢を親に持つ小学生の女の子矢島大穴(ダイアナ)は、読書という共通の趣味をきっかけに彩子と仲良くなる。
自分の名前も親に染められた髪も家庭環境も気に入らないダイアナは、彩子の落ち着いた風合いの持ちものや家庭環境をとてもうらやましく思う。
しかし、逆に彩子にとっては厳しい家庭環境よりも、自由にゲームで遊んだりジャンクフードを食べたりできるダイアナの家やきらきらした持ち物がまぶしく見える。
お互いにないものを持つ者同士仲を深めていくが、ふとしたことからすれ違い、小学校を卒業してから10年間も交流が途絶えてしまう。
再会までの間、二人は別々の人生を歩んでいくが、互いの理想を備えていた人物として心のどこかで意識してしまっている。
題名からするとダイアナが主人公のように思えるが、彩子も同時に主人公であるし、他の登場人物たちの背景も描かれていて、それぞれの人生がある。
正反対のスタート地点から始まったダイアナと彩子は互いを理想として近づこうとしながらも、物語のラストでは思い描いていた場所とは違うところに至る。
人生において重要なのはスタート地点や家庭環境だけではない。まずは自分の意志と、家族よりもっと広い交友関係における人との関わり方だ。 -
自分の呪いは自分で解くしかない。物語の主人公みたくうまくいかなくても懸命に生きている人を応援してくれる話。
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親の思いは子どもに伝わらないものですね。
ティアラのようないろんな意味で強い母親、女性にはなれないな。
恥ずかしながら、赤毛のアンは読んだ事がありません。
読んでいたら、この本がもっともっと深く理解できたのかも。 -
女の子の友情の物語に引き込まれ、続きが気になってあっという間読んでしまった。
自分にないものに憧れる、自分の小学生時代を振り返ってもそうだったなと思い出す。
過保護であれば子を守り切れるわけではない。
世間知らずを痛感する時が来る。
それでも彩子が自分に足りないものを自覚しどんどん殻を破っていこうとする姿が応援したくなった。
ダイアナは高校卒業して働く道を選んだけれど、終始頭の良さともっと学びたい気持ちが伝わってきて、進学せずとも自分の好きな道を進んでいく姿はとても好感を持てたが、一方で学校というシステムの弊害を感じた。
自分ももう親であるが故に、子育ては難しいと思った。これからが恐ろしい。
彩子、ダイアナ、武田くん、ティアラ、彩子の両親、みんな素敵な人達ばかりだったので、はっとりけいいちには終盤に突然がっかりさせられてしまった…。
作家を聖人化してしまう、は読者あるあるなのかもしれない。
ダイアナと彩子が再開してからのストーリーと武田くんとダイアナのストーリーをもう少し読みたかったけれど、それでも素敵なお気に入りの本になりました。