須賀敦子の方へ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101211763

作品紹介・あらすじ

『ミラノ 霧の風景』で彗星のようにあらわれ、知と情熱をたたえた佳品を遺して逝った文筆家須賀敦子。少女をキリスト教の信仰へ、遥かヨーロッパへと誘ったものは何だったのか。今なお多くの読者に愛される作家を追想し、その文学の核心に迫る。カルヴィーノ、タブッキ、サバ、そしてユルスナ ール。人を愛し、書物を愛し、たぐい稀な作品を紡ぎ出した須賀敦子の歩いた道を丹念に辿り直す書。

感想・レビュー・書評

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  • 神戸で育った幼少期から、東京の聖心女子学院へ通い、カトリック左派として目覚め、フランスへ留学するまでの若き須賀敦子の足跡を、生前交友があった松山が追っていく。


    著者が実際に現地へ赴き、須賀を知る人びとから聞いた話は貴重。特に、須賀訳のギンズブルグ『ある家族の会話』や『ミラノ 霧の風景』を連載していた雑誌、「SPAZIO」の編集長・鈴木敏恵さんの「十年拘束してしまった」という言葉には胸をつかれた。学生運動の盛んな時期に、カトリック左派の学生たちも社会との関わり合い方を模索していたこと、それが欧州の動きとどう結びつき、須賀が渡欧する原動力となったかが知れたのもよかった。
    しかし、それを須賀が書いたものと照らし合わせる段になると、松山が意図する方向へ無理やり導かれるような印象が強く、『乱歩と東京』の人とは思えないくらい例証を欠いている。
    「女で建築をする人も珍しい」「まして須賀は女である。そうであれば、より情緒的な文体から逃れにくい」「男勝りの勇気をもて」とか、ここまで無邪気に書いているといっそ羨ましい。聖心を訪れた際の「オッサンは嬉しくなって彼女たちの一瞥を受けた」に至ってはただ気持ちが悪いです。

  • f

  • 買ったあとしばらく積んであったんだけど、温泉旅行で読み始めたら止まらなくなった。とてもいい。須賀敦子のエッセーは叙情的なんだけど、実際の彼女は子どものころからおてんばでやんちゃで情熱的な人だったことがよくわかる。ぜひ続編を読んでみたい。

  • 大変勉強になりました

  • 須賀敦子つながりで読む。
    没後20年だそうで出版界は慌ただしい。
    私のように読む人がいるから本が出るのもわかるけど、もう全集も出てるし、生前の須賀敦子の文章に戻れば十分という気はする。
    気持ちは十分わかるもののちょっと騒ぎすぎではないか。

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