- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101230375
作品紹介・あらすじ
閉園後の遊園地。高原に立つ観覧車に乗り込んだ男は月に向かってゆっくりと夜空を上昇していく。いったい何のために? 去来するのは取り戻せぬ過去、甘美な記憶、見据えるべき未来――そして、仄かな、希望。ゴンドラが頂に到った時、男が目にしたものとは。長い道程の果てに訪れた「一瞬の奇跡」を描く表題作のほか、過去/現在の時間を魔術師のように操る作家が贈る、極上の八篇。
感想・レビュー・書評
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「喪失」「後悔」を軸にした8作の短編集。
薄暗く見える思い出に、そっと月光が差すような読了感です。
「もしあの時こうしていれば」「もしこの時代にもあれがあれば良かったのに」、よくある「たられば話」。
そんな話を集めた短編集です。
とんでもない事件は起きないけれど、哀愁漂う1冊。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
月の上の観覧車はしみじみと心にしみわたりました。私もこんなふうに思い返す日が来るのでしょうかと思いました。
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久々の荻原さん
感動系でした
どことなく切なくて、でも見方を変えれば結構充実した人生歩んでるね?な人達の短編集
お気に入りは以下
・上海租界の魔術師
・胡瓜の馬
・月の上の観覧車
70年代の洋楽の話がちょいちょいあり嬉しかった。
一番好きな年代の音楽だし。
今日観たタランティーノのレザボア・ドッグスも70年代のロック
日中仕事しながら聴いてたレコードも70年代の音楽
いい日になったなぁ -
どの話も良かったけど特にレシピが好きでした。どの主人公たちも少し歳がいっており過去を振り返る話が多かったです
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上海租界の魔術師に泣かされた
レシピ…女は強かじゃないとね〜 -
子どもの頃、世界には希望が溢れていて、年を重ねていくうちに抱えていくものが増えていく。いつのまにか「先」の人生が短くなった時にふと、後ろを振り返りたくなる。
この物語の主人公達はそれぞれ歩いてきた人生があって、その中で忘れられずずっと頭の中にこびりついている思い出がある。あの時こうしていれば。そういった後悔を抱えていたものもいる。
しかしそれでも人生に2週目はない。死者は帰ってこないし、失ったもの、過ぎた時間は戻ってこない。
だから与えられている今をただ生きていくしかない。当たり前のことだけど、この本を読んで再認識させられた。
登場人物の関係性をあらわす繊細な描写がとてもすごいと思った。読んだ後、じんわり心が揺らぐような、そんな物語だった。
『上海租界の魔術師』と『胡瓜の馬』が個人的に好きだった。表題作である『月の上の観覧車』は後半にいくにつれどんどん惹き込まれた。しっとりとした終わり方が良かった。
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面白いんだけど、『上海租界〜』以外は結末がイマイチ締まらないなぁといった感じだった。
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時代は、昭和から平成あたり。短編八編、それぞれが、主人公達の過去から今を切なく描きだします。
彼らは、朧げながらも、仕事に夢を持ち、幸せな家庭を築き、穏やかな日常がある人生を願っていた、ごく普通の人達。そして、そんなささやかな願望も、一生継続するのは、案外難しいのです。
人生も半ばが過ぎて、彼らは、過去を振り返る。
そこには、幸せなひとときも、取り返せない不調和もある。
月の上の観覧車は、既視感がある作品かなと思いますが、最期の夢として素敵です。
少し時空のずれた自分のパラレルとも思える作品もありました。主人公は、男性が多いのですが、残りの半生の生き方に女性の強が多いかなと思いました。そして、たぶん、現実もそうかな。 -
上海租界の魔術師
が一番好き -
ちょっと泣いた。