六番目の小夜子 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101234137

感想・レビュー・書評

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  • 津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

  • デビュー作には、
    作者の全てが詰まっているという。
    本当に信じられないことだが、
    これが天才・恩田陸のデビュー作だ。

    ミステリアスな津村沙世子の動機や背景は
    やや食い足りない気もするけれど、
    これをたったの三週間で書き上げたなんて。
    全ての物語を裏で操っていたK川についても
    もっと多くの説明をして欲しかったが
    それは贅沢と言うべきだろう。

    青春のキラキラ感が読んでいて苦しくもなるが、
    ひとりも死者が出ず、読後感も清々しい、
    超一流のエンターテイメントだ。
    もっと早く読んでおけばよかったなぁ。

  • 2023年後半に恩田陸さんの作品3冊読んだ!
    とても相性がいい、、来年制覇する勢いで読みたい

  • 舞台で見たいな

  • 「面白い本」とのことでずっと気になっていたけど、なかなか手がつけられずにいた。やっと読了!ファンタジー?科学的解決?さぁどうなるどうなる??結局どうだったのですかね?自由な解釈でってことですかね(-_-)

  • ★このまま無事に終わるといいわね(p.111)

    【五つのメモ】
    ・サヨコの伝説は様々なバージョンが派生しているが少し怖いものもある。
    ・数百人もの同世代の塊である学校という奇妙な場。平等なようでいて成績(学業や部活)や人間関係を通して世の中には格差というものがあるということに少しずつ慣らされていく場でもある。そんな集団のいびつさが様々な澱を産むのかもしれない?
    ・関根秋と津村沙世子と花宮雅子と唐沢由紀夫が中心となって物語は進むが津村沙世子とサヨコなはなんらかの関わりがあるのか? 沙世子は「お客さん」=マレビトなのか?
    ・学園祭でのサヨコの芝居が告知され、それはこれまでと較べても異例のものであり始まったが・・・《皆、この芝居がパンドラの箱をこじあけようとしていることに気付き始めたのだ。》p.170。
    ・古めの少女マンガっぽいわざとらしいセリフまわし。ずうっと以前ちょこっとだけ読んだとき吉田秋生さんの『吉祥天女』を思い出したことを思い出しました。

    ■簡単なメモ
    【一行目】こんなゲームをご存知であろうか。

    【学歴】《日本て学歴重視の割には学問の地位低いもんね》
    【学校】《学校というのは、なんて変なところなのだろう。同じ歳の男の子と女の子がこんなにたくさん集まって、あの狭く四角い部屋にずらりと机を並べているなんて。なんと特異で、なんと優遇された、そしてなんと閉じられた空間なのだろう。》p.21。学校は「そう、あなたたちを入れる」容器。
    【加藤彰彦/かとう・あきひこ】三年十組。ガリ勉で社交性がないタイプ。
    【彼女】先代に指名された今年のサヨコ。どうやら三年十組の生徒のようだ。が、しきたりを踏襲しようとして「もう一人のサヨコ?」と出会ってしまい赤いチューリップを捨てて逃げ出した。
    【唐沢由紀夫/からさわ・ゆきお】三年十組。バスケットボール部。シンプルなタイプ。カンは鋭い。そのカンが沙世子に対して警戒した。関根秋とは親しい。花宮雅子とは互いに片想いのようだ。
    【黒川】三年十組の担任。十年いる古株の日本史教師。
    【黒兵衛】関根秋のとこの猫。
    【高校】舞台は地方のリベラルな校風の高校であり県内一の進学校ではあるが神戸のN高ほどではない。
    【声】《人の声というのはなんて面白いんだろう、と秋は思った。とてもでこぼこで、いろいろな色がついていて、さまざまな模様をしている。》p.166
    【桜】《学校にはいつも必ず桜があった。この国は、いつも桜とともに新しい年月を始めるのだ。》p.20
    【佐野美香子/さの・みかこ】関根秋に告白する予定の古典的美少女。
    【サヨコ】怪談とも言えないがなんとなく怖いサヨコ伝説がこの学校にある。サヨコは必ずしも女子とはかぎらない。三年おきにイベントが実施されるので常に前のサヨコを知っているものがいない状態。
    【沙世子】→津村沙世子
    【沢木容子/さわき・ようこ】花宮雅子の友人で同じ三年十組になった。部活も同じバスケットボール部。小柄だがパワフルな感じの少女。
    【設楽正浩/しだら・まさひろ】学園祭の実行委員長。朝のジョギングが日課。
    【秋/しゅう】→関根秋
    【関根秋/せきね・しゅう】三年十組。体格がよくふちなし眼鏡の成績優秀者。写真部、喫煙者。同級生観察が趣味。当初、サヨコ伝説は他人事だったがそうではなくなっていく。関根家は地元の名家で法曹界にきりがないほど多くの人材を輩出している。建物は古い日本家屋。《彼は常に観察者であるはずだった。当事者になるのは性に合わない。》p.98
    【関根多佳雄/せきね・たかお】秋の父。年齢的には孫と言ってもいいくらい。大男。小さい丸眼鏡。息子に対してもですます調。甘いものが好き。小柄な妻に頭が上がらない。津村沙世子のことを「お客さん」だと呼び、お前たちを試しに来ているのさと言った。本人がいたって普通の人だとしてもそういう位置づけになる。折口信夫の言う「まれびと」というヤツですな。迎える側にとっては神の一種かと。
    【高橋】沢木容子の彼氏。
    【月岡】数学教師。
    【津村沙世子】三年生の始まりに神戸のN高から転校してきた。県下一の進学校であり珍しい。完璧な美少女。黒髪ロング。動物に好かれやすいタイプ。サヨコ伝説を知っているようにも見えるし無関係のようにも見える。知っていて利用しているようにも見える。《確かに津村沙世子という娘は存在している。自分と同じ十八年間の時間を当たり前に積み上げてきた普通の人間として。》p.142
    【花宮雅子/はなみや・まさこ】三年十組生徒。バスケットボール部。沙世子に好感を抱きいつもつき従っているように見えるが並んでいても見劣りはしない別タイプの美少女。巫女のような雰囲気がある。ずっと唐沢由紀夫に恋愛感情を抱いている。
    【ビアンカ】駅と学校の中央あたりにある古民家風の喫茶店。おっとりした老夫婦がやっている。高校の生徒御用達。関根秋は兄も姉も常連だったのですごく親しまれている。店の前の道はなんとなく海に続いているように思える。
    【溝口祐一/みぞぐち・ゆういち】三年十組の生徒。柔道部主将。小太り眼鏡でひょうきん。小指に赤い糸を巻いていた。妙に場を盛り上げるのが上手い。間の取り方がいいのだろう。学園祭のクラスの演し物として「うたごえ喫茶」を提案して皆のOKを取り付けた。料亭の跡取り息子。
    【宮脇】学年主任。
    【由紀夫】→唐沢由紀夫
    【容子】→沢木容子

  • サヨコシステムや、劇のルールなど設定が不気味でめちゃくちゃ良い。

    学校の気持ち悪さ、同じ場所に、同じ年齢の男女が集められ、同じルールに従い、同じ時間に同じことをする気持ち悪さを思い出した。

    今となってはよく通ってたな、、、

  • 3.9

  • 学園祭での全校生徒による「六番目の小夜子」のリレー芝居は、恐怖と緊張を感じながら読んだ。青春不気味小説。

  • みんなが青春しているシーンは読んでて楽しかったし、最終的に津村小夜子と秋がいい感じになったのは嬉しかった。
    ただ、津村がどうやってこの学校に導かれたのかのとこが後付けな感じしたし、黒川担任が関わってたってのもふ〜んって感じだし、何かは思い出せないけど全体的に自分の中で解決してないことが多すぎた。都市伝説ってそういうよくわかんないまま結局卒業して、何だったんだろうね感を出しているのかもしれないけど、小説の物語としてはもう少し明かしてほしかった。
    津村は犬を操ったりしてたのに、最終的に犬追い払ったりして炎の中の秋を助けようとするし、でもその火事は津村が秋に片想いしてた女の子に変なこと言ったせいだし、キャラがあまり定まってない感じがした。

  • 青春ミステリーなので読みやすさ◎。良くも悪くも、読者に理解が委ねられてるが、少し無理な設定が気になる。

  • 繰り返し同じ作品を読むのが好きだが、この作品に関しては10回以上読んでいる気がする。

    誰もがそこはかとなく感じたであろう、
    学校という場所の居心地の悪さ、気味の悪さが
    表現されていて目が離せない。まるで秋たちと同じ学校で過ごしているようだから。
    忘れてしまった哀愁も郷愁もいっぺんに呼び覚ます、不思議な力を持つ名作だと思う。

  • ・とんでもなく美しい文章、みずみずしい青春…本当にデビュー作なのか?凄すぎる…
    ・三人称全視点(神の視点)だと思う、すごい
    ・ドラマ版の記憶とかなり違うな?と思いつつ再放送を録画しておいて読了後に観たら鈴木杏ちゃんはオリキャラで原作の設定がほとんど変えられていた…ウワーーーーッ(発狂)
    ・主人公の秋(男子)の感情、「理解り〜!」ってなる

  • 恩田陸のデビュー作。
    文章が大仰というかまどろっこしいというかこんな文体だったっけ?
    「サヨコ」が誰なのか、目的は何なのか、津村沙世子は何者なのか、みたいな話かと思ったが、どちらかというと少しホラーミステリーの要素が入った青春小説だった。

  • まだ物心ついてないような頃にテレビで見かけて得体の知れない気味の悪さだけが残っている作品に挑戦してみた。

    数年前から生徒間で密かに受け継がれる"小夜子伝説"に翻弄される青春群像劇。
    伝説の目的が受験の合格率というのが幼気で、学校という箱がすべての思春期を現していて良かった。

    文化祭の全校生徒を巻き込んだ劇シーンは読者の私も含めその場にいる全員の緊張感が伝わるほど読み応え抜群。

    結局、小夜子伝説とは何だったのか...
    分かったようで分からない、卒業した自分はもう知る術もないが時期がくればきっと『彼女』は動き出す。
    登場人物の色恋で爽やか要素を加えようとやはり後味に不気味さが残る物語だった。


    人生の中における高校生活の3年間などほんの一瞬でしかないが、その一瞬に強烈な密度を残す著者の素敵なデビュー作でした。

  • 恩田陸さんの若さが感じられる作品でした。
    学園祭の芝居のところは、引き込まれます。


  • たくさんのなぜ?どうして?が解決しないままの結末でモヤモヤな読了感。

    学園祭の劇のシーンの描写は特に印象的で引き込まれ、集団心理の恐ろしさを感じた。
    野犬や、なにかを知っている先生の存在、石碑など全体的に仄暗い雰囲気かと思えば、雅子と由紀夫の2人の話はそれいる?みたいな全然違う軸かと思うほのぼのほっこり青春物語なのが面白い。

    全体を通して思春期特有の雑多な感情を思い出させてくれた。

    佐野美香子が一番盲目的で怖いなと思った。

  • 2.0

  • 次から次へと展開が変わってハラハラした。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/682381

  • 最後までその先の展開が全く予想できず息を呑んで読み進めるうちにフッと現実に戻されたような、そんな終わり方をする小説だった。
    読み手によってはほんの少し恐怖を覚えるようなホラーな展開と、とてつもなくリアルな受験生達のありふれた日常が、同時に複雑に絡み合いながら物語は進んでいく。
    最後に明かされる真実に、ぽかんとする人もいるだろうが、私はとても現実的で気に入った。謎めいた転校生なんて存在はやはりフィクションで、事実はきっとこんなものなのだろう。
    物語の中で印象的なのは文化祭での劇のシーンだが、ある意味では、津村はそれ以外の時間も一年間ずっと劇を演じ続けていたとも言えると感じた。常に軌道修正を行ってきたのであろう彼の存在やその意図が明示されず、読み手の想像に委ねられるのもとても気に入った。
    読み終えてからもあれこれ考えるのが楽しい、良質なミステリ。

  • この人のミステリーは回収が雑すぎて、読み終わっても全然スッキリしない。
    青春ものとして見れば、まぁまぁ

  • (ホラー?)サスペンスと青春物語が一度に読める名作。

    「この道を抜けたら海につくような気がする」
    という趣の文(うろ覚え)は、誰もが体験したことがある、あの懐かしい雰囲気を思い出せるいいフレーズだと思った。

    恩田さんは、青春を書くのが本当にうまいんだなぁと思った。
    爽やかで、忘れられない読後感。

  • どうしよう、理解できなかった
    恥ずかしい

  • 先にドラマを見たので内容は知っていたが、原作とは細かな設定が違っていた。どうしても俳優の顔が浮かんでしまいドラマ版を一旦忘れるのに苦労した。

    母校にこういう行事があったら、怖くてなるべく関わりたくないと思うだろうな、私なら。意図の不明な伝言ゲームのようなそれは、校内で噂の尾鰭がつき怪談めいていく。全校生徒で行う芝居もあのシチュエーションは絶対怖い。
    でも彼ら彼女らは、あとから振り返ってみれば、あれが青春だったと思えるような日々を送っていて素直に羨ましかった。高校三年生といえば子どもらしさは失っているし、かといって大人ではない、この境目の不安定さを回る駒に例えているのは分かりやすかった。
    これからもサヨコは人知れず受け継がれていくのだな。

  • 子どもの頃にテレビドラマ版を好きで見ていたのを思い出し、懐かしくて読んでみた。青春とはつまり意味のない無駄な時間を夢中に過ごすことで、作中でも若気の至りを表現するのに何の脈絡も布石でもない無駄な描写が多々挟まれていた。時間の流れや登場人物たちの感情の動きが目まぐるしく、一体何の話?ってなる瞬間が多かったように思う。時代背景が古い(昭和の終わりから平成初期あたり?)こともあって最後まで気持ちがライドすることはなかった。それでも学校という特殊な閉鎖空間にのみ存在する独特の空気感はリアルだったかも。

  • 好き。何回読んでもこの高校生たちが好き。 学校に伝わるサヨコ伝説。決まりが細かくてわかりにくいけど、要は、誰が、何がそうさせているのか? 沙世子はお客さんだったのか?でも、動物は?本当に好かれているだけなのか?2番目のサヨコは呼ばれただけなのか。 劇のところは本当に怖かった。文字を追っている間、どきどきしっぱなしで、ぐんぐん早くなっていく目線を、でも最後にむけたくなくて。竜巻が来たときは何故かホッとしてしまった。 秋が本当好き。冷静で、大人で、好奇心旺盛で、きっと結局沙世子に惹かれている秋が。

  • 小夜子や黒川の怪しさ溢れる書き方、物語が序盤から動き出していてとても良かった。
    母校と似たような環境がとてもささった。
    青春のようなストーリーも良い。本当によかった

  • 親戚の文学少女におすすめされて手に取りました。少し前の作品ですが学園青春物の中にホラーミステリーありであまり時代を感じずに学校の伝統や七不思議怪談のような題材は褪せずに不朽だなと感じました。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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