- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101240589
感想・レビュー・書評
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短編集
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こんなにも繊細で彩りが深いサイドストーリーがあるだろうか。
十二国記における主役である、王や麒麟が出てこない物語は味気ないのでは...と思いつつ読み始めればそれは全くの杞憂であった。
十二国記の世界は、ここにある民ひとりひとりによって成るものであり、民自身が主人公なのだ。
各話で登場する職業も世界を形成する大事な要素で、各話主人公たちが、各々の目的や思いで自分の仕事を全うする姿に胸を打たれながら読みを進めた。
王が崩御し、荒廃した国で暮らす民の思いや生活、彼らが生きる盧、山、道、川、木々や動物たちが十二国記の世界を紡いでいた。
いかに生きる世界を愛するか、自分に出来ることに真摯に向き合い全うするか。それが民(読者自身)が主人公として生きるということだ。 -
七年越しに存在に気づいてやっと読み終えた。情景としては表題作の「鳥」が一番好み。「獄」は思考実験として面白かったし、「蘭」はひたすら積み重ねた苦難の描写を怒涛のラストリレーが昇華してくれて読後感がいい。「風」については愛すべき能無しの専門家たちに救われ、暦の重要性に『天地明察』を思い出したりした。
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『感想』
〇十二国記の世界にはいろいろな立場の人がいるのだろうが、本筋とかなり離れていて、入り込みにくかった。 -
短編集。「落照の獄」がいちばん好き、というより、全く世界の造りが違うけども悩みどころは同じなんだな、と。
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今回は、『民』に視点を向けた4編でした。
ファンタジーとは思えないほど作り込まれた内容に、またまた引き込まれました。
「丕緒の鳥」で出てくる陶鵲なんて、どうしたら思い付くのでしょう…。
それぞれに苦悩があり、使命があり、葛藤があり。
王やその周辺の人達だけが特別なのではなく、4つの物語に出てくるような民が十二国記において重要なのだなと感じました。 -
十二国記の世界観に親しんだ読者にはグッとくる短編集。
それぞれ立場は違うけど、自分の仕事に真摯に向き合う姿、生きる為に、守るために、必死に生きる姿に、感動。 -
十二国記シリーズで、これまでに読んだのは、講談社X文庫。そう、中学生くらいを対象にしたストーリーでした。十代の登場人物の成長を描くことで、思春期の読者の心の発達を促す、的なストーリー展開。
この作品は、一般文芸として、新潮文庫で完全版として出ているもの。だからなのでしょう。大人向けです。王とかに麒麟とかそういう選ばれし人々の話ではなく、役人とか、村人とか、極々普通の人の生活やら仕事ぶりに焦点をあてた作品。
内容的には、お仕事ものなので、本来大人なら共感しうるものなんでしょうが、小難しくてなかなか入って行けませんでした…。漢字が多い、登場人物が多い、名前も役職も土地の名前も、何がなんだか分からなくなって流し読みです。
あ、私、40代のいい大人ですけど。