きことわ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101251813

感想・レビュー・書評

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  • きました、The芥川賞作品。二人の女性が再会することで生まれるコミュニケーションと気持ちの移り変わりという言い表すのが難しい感情を汲み取る表現はまさに芥川賞。ドップリとハマれる作品は休みの日には嬉しく仕事の日は避けたい。気持ち持っていかれるから。

  • ふわふわとゆったり時が流れていく不思議な感じ。
    繊細で丁寧な言葉遣い。

    自分の夢と母の夢が繋がったこと、一度あったな。
    小物も同じで驚いたけど、すごく怖かったから百花の気持ちが分かる気がする。

    月は地球から
    「年間、約三.八センチ地球から遠くなるの。」

  • のんびりと時間が過ぎていく感じでよかった。小さい頃の大切な思い出って、忘れられないものですね。短いけれど、素敵な物語だと思いました。

  • 多分、好きな人はとても好きな感じなんだと思います。私はそれほどでもない感じでした。細かな描写とか言葉の遣い方などは面白く気持ちの良い読後感でした。

  • 貴子と永遠子、共に過ごしたあの日の記憶が現在と過去をふわふわ浮遊しているような、こちらも夢見ているような感覚。人間の記憶の曖昧さ、夢か現かの揺らめき、撫でるように優しく流れ、読んでいて心地良い。

  • 朝吹真理子さんの言葉を読んだのは確か「羽生善治 / 戦う頭脳」で羽生善治×朝吹真理子両氏の対談でした。これは朝吹真理子さんの文章ではなく対談なので、多少修正していようとも基本は口述だったはずなのですが、読めば分かると思いますが「この人は何者だ?」と思う程会話自体が美しい。丁寧な言葉を喋る人だとかそういう次元じゃない。なんだか羽生名人が朝吹真理子さんという文学作品の登場人物と対談しているような現実離れした美しい話し方で、それに惹かれて代表作だと言われる芥川龍之介賞受賞の本作を読みました。

    起承転結がどういうことではなく、流れている文章自体が美しい、それ自体を楽しむような美しい小説でした(地の文には一体合計何回改行を入れてるんだろう?と思う程に少ない。Kevin SaundersonがKraftwerkのMan-Machineアルバムを聴いた時に「Kraftwerkにはシンバルがない」と言ったものに近い感動を感じた。強引につなげてますが本当にそう感じた)。文章に対する装飾がほとんど皆無で、ず〜っと上質なAmbientとかを読まされている気分。ポワポワ。

    重度の睡眠障害者は夢と現実の区別がつかなくなった経験があると思う。これに不安障害が繋がると現実が現実を超えてしまうことがあり、これが本当にきつい。本書は夢と現実の垣根を超える小説ですが、あの夢と現実の超越が本書ほど美しければよかったのにとか、少なくともそうなるようにイメージして睡眠障害を迎えられたのではないかと思うと時期的に少し惜しい思い。

    美しい小説だ。

  • 素敵な文章だった。
    本を読むたのしさには、物語の世界に入り込むというのと、文字を追うという2つがあると思っていて、これは完全に後者。一文字ひと文字がするすると体に染み込んでいく感じがした。

    何回も読みたい。

  • かなり良い。
    プルーストを想起させるような、夢と記憶、現実とが交わる物語。
    描写として度々繰り返される「浮く」「流れる」という言葉が時間の「流れ」と記憶が「浮き上がる」ことの比喩なのではないかと感じ、またそういった作者の戦術に辟易した。

    凹凸がない物語だから文学史にあまり詳しくないひとにはつまらなく映るかもしれないが、作品のクオリティは極めて高い。

    この作品以降、全然作品が発表されないのが残念。

  • やわらかい文章で、私はとても好きだ。
    とりとめのない日常のことなのだけれど、それが特別なことのように思える。
    出だしからして、引き込まれ、時間の概念だとか、過去の記憶だとか…誰しも一度は感じたことがあるであろう、ごくごく日常の些末な事柄が、大切なことに感じる。

    ひとまず余韻に浸ればよかったと、解説まで一気に読んでしまったことが残念だ。
    読後の心地よい余韻に浸り、解説は時間を空けて読むべきだった。
    とはいえ、素敵な小説に出会えて、幸せな気分になった。

  • 淡々とした文体。夢と現実、過去と現在、死者と生者の境界が曖昧な世界。自然の描写に五感が刺激される。これまでに読んだ小説にはない、新鮮な読後感だった。川上弘美さんがちょっと近いかも。

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著者プロフィール

1984年、東京生れ。2009年、「流跡」でデビュー。2010年、同作でドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年、「きことわ」で芥川賞を受賞。

「2022年 『細野晴臣 夢十夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

朝吹真理子の作品

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