- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101261416
作品紹介・あらすじ
西暦1900年――。『坂の上の雲』の主人公・秋山真之や英留学に向かう途上の漱石はパリ万博を訪れていた。そしてロンドンには南方熊楠、ウィーンには青山光子。二十世紀を迎える欧州で、新しい世紀の熱い息吹に触れた若き日本人たちの精神と足跡をたどり、近代日本の源流と歴史の深層を見つめ直す。新潮選書『二十世紀から何を学ぶか〈上〉一九〇〇年への旅 欧州と出会った若き日本』改題。
感想・レビュー・書評
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積読。
ほんとに長いこと眠らせたままでしたが読んでよかった。一篇がちょうどよい長さで俯瞰視点がとてもよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1900年に海外に行った日本人を通して日本を見る一冊。
その当時の時代の空気感がよくわかった。 -
自分の興味を本にする、文章にする。そういう観点で新刊を見ていて買ったもの。
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雑誌の連載の編集で、日本人が関係のない章もあり、全般に20世紀欧州の歴史や人物が話題の中心。それについて知りたいなら、ヨーロッパ近代史を読んだほうが良さそう。
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本書はもともと2000年に単行本として出版されたものを2007年に選書化し、文庫化するにあたって2006~7年に書かれたエッセイ2編を付している。だから、基本的にはミレニアムを迎えるにあたって100年前を振り返るというスタンスで書かれている。また、その基本には昨今の日本が米国を通して世界を見る状況にあるのに対して、欧州が過去の存在になっていることへの批判がある。
1900年は18世紀最後の年であり、市民革命などを経て、さらには社会主義の理念とその実態とのはざまに揺れる社会風潮があったようだ。結果的に2度の世界大戦を引き出すきっかけもすでに生まれていた。
こうした欧州の中に飛び込んでいき、それぞれの個性で欧州を血肉化していた日本人たちの姿が点描されている。今日のように情報化がなされていない時代において、日本と国際社会を繋ぐものは個人の資質であり、その細い糸を通して必死で吸収していたようである。日本が欧州化をめざした結果、生じた今後の歴史的展開を考えると、そのすべてが評価できるわけではない。ただ、その時代をかなりの背伸びややせ我慢をしながら生きていた100年まえの日本のエリートたちの姿を垣間見ることができる。
紹介されている漱石の日清・日露戦争時代の日本の浮かれた国民感情に対する冷静で批判的な発言などは、今日再評価されてもいいのではないかと思った。