- Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101273228
作品紹介・あらすじ
その死は弟子たちにも伏せられていた。立川談志、享年七十五。この不世出の落語家に入門したのは十八歳の春だった。それから四十年近く惚れ抜いた師匠から突然の破門宣告。「てめえなんざクビだ」。全身が震えた。怒りの理由が分らない。振り回され、腹を立て、やがて気づいた。大変だ。壊れてるんだ、師匠は――。偉大な師匠(おやじ)の光と影を古弟子(せがれ)が虚実皮膜の間に描き尽す傑作長篇小説。
感想・レビュー・書評
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今さらながら談志という人の落語、聞いとけばよかったと思った。
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談志の懐古本。書かれているエピソードはどれも面白い。しかし談志と談四楼の結びつきがどのようなものであったかはいまいちわからない。
談志がそれほど凄い落語家であったのか、どんな無理難題をふっかけられても、弟子が何も言えないような、それほどのものであったのか。
学生時代(浪人時代?)、後楽園ホールの公開録画に行って談志が司会の「笑点」を見た。たしかにものすごく面白かった、ハチャメチャと言っていい面白さだった。当時の落語もスピード感あふれるハチャメチャだったと記憶している。ただしこの頃は寄席へは行っていない。
このとき「マカオのおかま」という回文が出てきたように記憶している。本の表題になっている「談志が死んだ」もこのとき出てきたような気もするがこちらは確言はできない。
この本によれば談志はピカソのように何度も変わったとのことだが、継続して談志を見ていないのでそれはわからない。
最後に見たのは横浜であった談志の会で、もう病気になってからだった。澤田隆三がプロデュースしていて、志の輔が談志が来るまでのつなぎをやっていた。志の輔が前座をやるくらい談志はえらいんだと思った。
しかし談志の演目は柳亭痴楽の綴り方教室? みたいなもので、朝鮮語なまりでしゃべってみせてもほとんど笑えないものだった。何をやっているのかとがっかりした記憶がある。 -
2020.7.13.読了
2.5〜3かな…
一番好きな落語家ではないけど、好きな落語家の一人。 生前に残った破天荒?の話がとても多い落語家でもある。
生前から亡くなったあとまで、またまつわる話を古株弟子の一人を元に語られている。
良いことも悪いことも、語られる事は興味があり、面白くもあるけど、正直、個人的には談四郎さんの語り口がどうしても引っかかってしまう。
談志師匠が落語家としてはもちろん、特殊なカリスマ性を持ってるからこそある事ではあるとおもうけど、憧れ、尊敬、羨望、嫉妬、愛憎、独占欲の様なものを感じてしまい、ネガティブな要素も感じてしまい、気持ちよく読む。という事が難しかった。
最後の親と子。という部分も、それを踏まえた形に感じてしまう… うーん。
一人の近い人間から語られる事だから、これで良いのかもしれないけど。
同時に、それを感じさせるくらいの、筆者の強い想い。がある事も伝わる。
もちろん、筆者だけではなく、多くの人がさまざまな形で強い想いを抱く人。
落語家にも力があり、生き方にも力と己の道を進み、カリスマ性がある談志師匠だからこそ、多くの人が惹きつけられ、様々な反応がでる。という意味では興味深い。
一度生で高座を見たかった。 -
一つではなく
そのほかにも 秀でているモノを
持っておられる人のモノは
やはり面白い
談四楼さんの
この「小説」には
そのことを強く感じた
立川談志さん
確かに稀有なる噺家のお一人だったろう
古今亭志ん朝さんが亡くなられた時に
「寄席の灯が消えた」などという常套句が
新聞、雑誌に載せられた時
「けっ 何を言ってやがる
俺(談志)がいる!」
と言われたとか、言われなかったとか、
そんなエピソードを
彷彿とさせられる一冊です -
これは本の雑誌ランキングから、だったかな?落語のことを殆ど知らず、談志といえば第1回M-1での辛辣コメントしか思い浮かばないんだけど、ランキング上位に選ばれる以上、門外漢でもいけるのかな、と思って入手。偏ってはいるけど基本的にはお笑い好きだし、立川一門のことなら意外に楽しめるかも、っていう思いも抱えつつ。とはいえ、そもそも本著者のことも知らないし、出てくる名前も殆ど初めて聞く人ばかりとなると、さすがにハードル高めだった(苦笑)。とはいえ、巨星が墜ちたときの一門の混乱とか、だいぶ頭が怪しくなってきていた最後の日々とかは、かなり楽しく読めました。
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師匠 談志の死と、かつて同じ師匠の下で修行しながらも袂を分かれることになった同期 小談志の死。
師匠 談志の陰陽を虚実合わせて紡ぐストーリーに引き込まれた。
あくまで、ノンフィクションではなく長編小説という形にしているのが粋。 -
赦しの話。
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晩年の談志の裏話的な話。病魔に巣食われて勘違い、八つ当たりしてしまう話。
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談志が壊れていることを身を以て実感した身近な人の描く物語は、たしかに、モノガタリである。若い頃の銀座での場面は、談志がいかに凄い人ななのか、実感できる。
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物書きでもある落語家が描く、稀代の落語家の晩年の日々。師匠の心身の異常による理不尽な仕打ちへの恐怖と悩み、自分も年齢を重ね、かつての師匠が通った道程と照らし合わせたときの思いなどが軽快なリズムの文体から体験できます。
談志はピカソ、と称する山藤さんの言葉が、その生涯を表すのにぴったりだと感じられました。