- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101289557
感想・レビュー・書評
-
迷宮入りしたある殺人事件の遺児であった
女性とその男たちのお話・・・
迷宮入り事件の描写や、
女性と男性の緊張の関係、
そして女性の前の男の存在から立ち上る
周辺のほの暗い組織的悪の匂い。
物語の終りまでは歪な形が立ち上ってきそうな
期待感に煽られて読み進めたが、
結末は案外おとなしい収束。
破滅や破壊的な落しどころになるかと
ドキドキしたが、ある意味裏切られるかたち。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
冒頭部は特に話に入り込むことなく読み進めていたが、紗奈江の告白が始まった辺りから息もつかせぬ勢いで一気に読めた。成る程こういう展開になるのかと思わせられる。本作も十分に中村文則文学を楽しめる作品だと思う。
-
折鶴事件の真相には興味あった。
しかし中村文則にいまだハマらず。 -
作者は、本書を東日本大震災後に初めて書いた小説と説明し、久しぶりに、初期作に近い傾向の(しかも新潮社の出版)出来だと感じた。
しかし、エンタメ性やミステリーといった要素に重きを置くようになってからは、”悪”や”狂気”といったものが、テーマから、描写の一片に見劣りした印象が今作にもあり、流動的で一定に落ち着かない主人公や、その周りの人たちの行動が、理屈があるようで、何もなく、狂気が狂気として生きていない気がした。
読了してから、何か見落としているような、大事なものをすっかり忘れているような、そんな気分がするが、部分的に読み返してみても、そんな記述はなくて、未だに掴みようの無い不安が残る。これが作者の描きたかったものなのだろうか?
過去作から繋がってる景色、場面などもあり、作者の根底にあるイメージというのは、多分本作が一番詰め込まれていると感じた。終わりはどこか、「最後の命」を連想させられた。 -
一家惨殺の中生き残った少女に
嵌まる男性。。。
一家惨殺の真実と心の奥底の怖さ。。。 -
主人公の、世間に馴染んでる感がすごいな、と思った。
今まで読んできた文則作品に出てきた主人公は、世間に取り残されているというか世間と一線引いているのが顕著に出ていて。
でもこの小説の主人公は世間に溶け込むことができる人物というか、馴染んでいるなと思った。“上手くやることができる”というか。うーん、なんといったらいいのかな!
ただね、だからこそ訪れる不安というのがあったのかもしれないね。
折鶴事件は次第に彼を侵食していく。そればかりが頭を支配する。
解決するのか!?どうなんだ!?とハラハラ読み進んだので、あの真相におっどろいた。うっわーーーそうきたか!おもしろい!まさか一家の方にとんでもない異常性が隠れていたとは。
ミステリーって感じ。楽しめた。
あと主人公がヒロイン(?)を殺しかけるところすごく怖かった。その一部始終をヒロインに見られていたのは、もっと。怖い。
なんだかんだ彼女は主人公を救っているよね。同時に不幸にしているようにも見えるけど、幸とか不幸はよく分からんよ。
映画化するなら主人公は八乙女光(まだ若いけど)にやってほしい。高良健吾とか。目力。 -
"僕"が出会ったのは、惨殺された一家で、ただひとり生き残った女の子。
ものすごく眠い時に読んだので全然頭に入ってこず。しかしたぶん、再読することはないな。去年の冬〜も合わなかったし、思わせぶりで自意識の強いモノローグが苦手なんだろうな。 -
震災以降人生観が変わってしまった人は多いのでは。
-
2015 8/10