雪沼とその周辺 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 251
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101294728

感想・レビュー・書評

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  • 雪みたいな、清々しい本だった。読み終わったあと、なんでだかご飯茶碗が浮かんだ。志野の、つるっとした、やわらかい肌の、モノトーンの器みたいな…
    天国ってこういうところかもねって思う。

  • 単純であることと効率が良いことは違う、という言葉が印象に残った。

  • 派手な事件は皆無だけど、じんわり染み渡る短編7編を収載。色んな視点から描かれる”雪沼”を読み進めるうち、だんだんと実際に存在する街並みが思い浮かんでくる。文学賞も受賞して、概ね高評価の作品ってことで読んでみたけど、やっぱり自分にはまだ、それを理解するに十分な読解力が備わっていないのかも、です。なるほど素敵な作品だったけど、最高!とは思えなかったので。

  • 「雪沼」を繋ぐ連作短編7作。
    初堀江作品。
    わずか1~2行で、すっと惹き込まれるこの感覚。
    滔滔と流れる清流に体を浸しているような、ふわふわと浮かぶ雲を見ているような、とても心が素直になる一瞬がそこにはある。

  • 架空の町「雪沼」をめぐる連作短篇集。巻末で解説されているように、登場人物はそれぞれに「篤実」で、全員が「さん」付けで呼ばれます。

    同作者の『なずな』もそうでしたが、悪人が描かれない世界ならではの心地よさを堪能できます。

    シャーウッド・アンダスン『ワインズバーグ・オハイオ』の日本版を夢想すると、本書のようになるのかも。

  • 劇的なストーリー展開はありません。そこに生きる人間の生活を丁寧に描いています。読後感はなんともいえない爽やかさに包まれます。

  • 行間から不意に立ちのぼる懐かしい匂い。
    記憶をくすぐる読書。

  • 最初は距離感を掴めなかったのだけど、ふと自分の未来に不安の色が差し、少しばかりの嫌悪と後悔に逃げ出したくなりそうな時に読んでいたら、急に愛おしく感じられるようになった。雪沼で暮らす人々は人生の折り返し点を過ぎながら、何て事のない一日一日が人生なのだと丁寧に生きている。人物の名称にきちんと「さん」をつけるその語り口はそんな過ぎては暮れゆく一生に最大限の敬意を表しており、静謐に雪をすくい取るようなその語り口が知らず知らずに私の中に染み込んでそっと弱さを抱きしめる。それは優しさの尊厳とでも呼べるのかもしれない。

  • じんわり来た

  • センター試験の過去問を解いていた時にであった、雪沼とその周辺に収録されている「送り火」。衝撃を受けました、こんなに表現が繊細で多彩な、それでいて読みやすく、すっと入ってくる小説があるのか、と。
    今までも何度か小説を解いていて面白そうだと思ったことは多々ありますが、学校が終わった瞬間、速攻書店に行って、ほかの本に脇目も振らず購入したのはこれが初めてでした。

    雪沼とその周辺は短編集ですが、おすすめはやはり「送り火」です。最後の暈す感じがまた、絹布のヴェールに包まれたような、より作品を際立たせていてこれ以上ない完成度だと思います。

    ほかの小説も文句無しに素晴らしいです。一つ一つの話が後ろでリンクしているのが読み取れ、なんの変哲もない片田舎のなかに眠るお話の心地よさと言ったら。印象に残っているのは、私自身フランスに行った時に飲んだのもあるのか、イラクサの庭です。イラクサのスープ美味しいのに…

    買って損はない一冊です。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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