- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101294728
感想・レビュー・書評
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綺麗でちょっと切なくて、どのストーリーも終わりの先を想像させる印象的なラスト。
あれこれ文学賞を受賞しているところを見ると、もっと深い読み方ができる作家なのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
美しい文章と、作品の絶妙な繋がり。(露骨ではなく気持ち大きめの距離感が、絶妙)
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センター試験の過去問で解いたの思い出したな
絹の道 -
短編集。以前一度読んだことがあるのだが「スタンス・ドット」以外は殆ど忘れていた。それでも抱くイメージは依然と同様、日本の地方都市で地域とともに静かに、地道に暮らす人々の姿が、優しく、柔らか過ぎず、でも尖っているところのない、絶妙な加減の美しい日本語で綴られていて、自分がその地域で人々の姿を黙って傍観しているような感覚になった。続編ともいえる『未見坂』と併せて読むと、こちらは「地域と大人の物語」だと思う。雪沼とその周辺の各集落に住む人々の営みが綴られている。彼らは、職業もバラバラながら、当人たちにはわからないけど読者には知らされる細いつながりを持っていることがわかる。
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まさに、雪沼とその周辺の人々の穏やかな日々。特別大きな出来事に特化せず、日常のなかにある終わり、始まり、幸せ、不幸せ、出会い、別れ。
ショートムービーのようで、私にしてはめずらしく、ゆっくり読んだ。
じわじわ系。
書道教室の陽平さんがよかった。 -
2019年12月21日に紹介されました!
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心に飲ませるホットワインのような小説。ほんのりと暖かく、心地よくなる。なぜ今までこんな素晴らしい作家さんを読まなかったのだろうと悔やまれる。堀江氏が描くと普段の生活も暖かく、切なく、哀しく、そして瞬間瞬間が掛け替えの無いものなのだと気付かされる。何気ない事象から沸き立つ様々な思い。独りじゃないんだ、どんな些細な事でも繋がりがあって人の生活は成り立っているんだと気付かされる人と人との淡く美しいつながり。池澤夏樹氏の解説(後書き)も凄く良かった。この作家さんに出会えて良かったと思った本でした。
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雪沼というある一帯に住む人たちの「市井の人々の物語集」といった趣です。
ある人々の、どこにでもある、なんでもないような日常の断片を切り取り、時に町に住む人同士の思いがけない繋がりを描き出します。
本作では、物事に対する様々な見え方を投げかけます。
例えば「スタンスドット」にある、寂れてしまったボーリング場の閉鎖という出来事をとっても、亡くなった妻と人生の大半を捧げたオーナーにとっては人生の晩年の大きな節目になるものの、「河岸段丘」の田辺さんにとっては、「友人が手がける、得体の知れない機械の解体作業」というコントラストで描かれます。
それは残酷なことでもなんでもなく、ありふれた日常の一コマなのだ、ということを本作は示します。
連作の中で著者は「絶対的な主役/脇役というものは存在しない」ということを示しているような感じがします。