蒼路の旅人 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302799

感想・レビュー・書評

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  • 同じ守り人シリーズでも、バルサが全く出てこなかったり(回想では出てくる)旅人というタイトルはチャグムが主役。
    チャグムがもっと役目を自分なりに解釈して、どうやって生きていくか楽しみ!

  • まだまだ青くさい部分を残していたチャグムが大人になっていく物語。大きな力を前に自分にできることを考え、何度も悩んだ末に出した結論は彼の成長を感じさせる。
    シリーズとしての物語がここで大きく動きはじめ、チャグムやバルサのいる世界がどういう運命を辿るのか気にならずにはいられないだろう。

  • 【再読】
    やっぱり「旅人」シリーズも面白い!いや、むしろこっちの方が好きかも…笑。丁寧に積み重ねられてきた世界観と大河ドラマは相性バツグン。この巻はクライマックスに向けての助走段階といったところで、展開はやや地味。でもこれからの物語への期待は十分に高めてくれるし、チャグムの葛藤や成長もじっくり読めるので、満足度は高い一冊だった。ひねくれた性格な自分はチャグムみたいなキャラクターを好きになれないことが多いんだけど、チャグムはただただ応援したくなる。本当に魅力的なキャラクターだと思う。まぁ、一番好きなのはシュガなんだけどね、、笑
    それと個人的な気付きが1つ。ファンタジーは好きなのに、ハマる作品が少ないのは何でだろう、とずっと思っていたけど、この本を読んでいてストンと理解できた。剣や魔法やドラゴンや…そういうのも良いけど、やっぱり一番は人間ドラマなんだな。存在しない世界で生きる人達に心を動かされ、一緒に道を進んでいる気持ちになれる、そこがファンタジーの好きなところだ。解説で挙げられていた作品もぜひ読んでみたい。

  • 「守り人シリーズ」も7冊目に入った。終わりが近い。というよりか、今回は終わりの四部作の第一部みたいな感じだ。チャグムが主人公で、バルサが出てこないから「旅人」の冠は付いているが、もうあとは終わりに向かって一気に読ませるような力を秘めた内容だった。

    チャグム皇太子のいる新ヨゴ皇国、ロタ王国、カンバル王国、サンガル王国、これら北半球(⁈)の小国群に対して南の大国タルシュ帝国の侵攻が遂に始まった。

    チャグムは罠と知りながら、タルシュの虜囚となり「世界」を知る。

    タルシュの巧みな支配方法はこうだ。他国を攻める費用を枝国に出させ、タルシュに反逆する国力を奪う。最初は重税を課すが、枝国兵が他国を攻める戦で勇敢に戦えば、その兵士の家族に臣民権を与え、税をタルシュと同額にする。枝国兵は必死に戦う。家族を重税から救うために。

    ヒョウゴは穏やかな声で続けた。
    「タルシュは国獲りによって豊かになった国です。皇帝になることさえ、国獲りの巧で決まるくらいですからね。タルシュは、他国を食うことで生きている獣なのですよ」(233p)

    仕組みは違うが、まるでアメリカ帝国のようである。ドルでその国の経済どころか民心さえも支配して、頑張れば浮き上がれると思わせる。アメリカ帝国自身もアメリカンドリーム等の言葉によってアメリカ国民自身を洗脳していた。そんな国はやがて、すべてを食いつぶさないと生きていけない獣の姿を露呈するだろう。

    まだ15歳を過ぎただけの少年チャグムは、急速に大人になる。なんとか帝国の侵略を止める手段はないか。そして得た手段は、なんと少年らしい「一か八かの賭け」だった。

    読者はすぐに思う。バルサよ、すぐにチャグムを助けてあげて!チャグムの思うようにはいかないと思うけど、バルサと彼女の人的ネットワークがあれば、もしかして!と。

    いや、それはもう既に次の巻の話だ。

  • 守り人シリーズの大きな魅力のひとつは、凄腕の短槍使いバルサのアクションシーンとナユグ(地域によってナユーグル、ノユークとも)というこの世と重なって存在する精霊の世界によって引き起こされる不思議な現象の数々でしょう。さらに、児童文学でありながらファンの年齢層が広い理由には、登場人物の一人ひとりの人生が細かに設定されていることから滲み出るリアル感だと思います。

    シリーズ全10巻のうち4巻目「虚空の旅人」と7巻目「蒼路の旅人」は、第1巻「精霊の守り人」に登場した新ヨゴ皇国の皇太子チャグムを主人公とするスピンオフのような作品です。バルサの不在、皇太子を主人公とするという事から、この2作は政治物としての色合いが強くなっています。
    特に今回の「蒼路の旅人」は完全に政治物ですね。様々な人の思惑が複雑に絡み合い、これまでの「守り人」とは違った面白さがあります。しかも特筆すべきは、冒頭でも触れましたが、これが児童文学であるということでしょう。本当に分かりやすく書かれていました。

    ただ、やはり不満の残る点もいくつかあります。「何か問題を解決するために苦難を乗り越える」というのが、どんな物語にも絶対に大切な要素だと思いますが、その点が薄かったような気がします。もちろんチャグムはあれこれと苦悩の連続ですが、終始、「そうは考えつつも行動を起こす期を待ち、とりあえずは流れに身を任せる」という姿勢だったと感じます。物語を読めば、それらの行動はその状況で出来る最善の選択だと、理解は出来るのですが……。
    また、「蒼路の旅人」のトリガーとなる問題が「蒼路の旅人」内で解決されていない事も、読後の後味を悪くしています。これは、次の「天と地の守り人」に続くことを強く意識して書かれているからなのでしょうが、やはり、解決の糸口が僅かに見えたところで終わり、というのは何かもやもやが残ります。。

    「蒼路の旅人」はシリーズを通した壮大なクライマックス「天と地の守り人」三部作へと続きます。良くも悪くも、「天と地の守り人・タルシュ帝国編」といった印象でした。

  • 守り人シリーズの7冊目です。バルサを主人公としたシリーズですが、実はチャグムもまた主人公なのかもしれません。大きな荒波にもまれつつ、自分の核となる思いを曲げずに向かっていくチャグムを応援したくなりますね。この先が気になってしまいます。

  • チャグム~
    大変な人生だな。
    最終章気になる!
    個人的にはジンの活躍も見たい。
    あと久しぶりのトーヤ嬉しい。

  • これからの展開が楽しみでしょうがない!

  • 守人シリーズ6作目。

    チャグムが主人公の話は、シリーズの中の2作目。NHKドラマで「大河ファンタジー」と呼んでいるのも納得の展開になってきた。

    今までは、1冊もしくは上下巻で一応完結していたが、蒼路の旅人は完結ではなかったので、星4つのしたけれど、とにかく面白くて続きも早く読みたいです。

  • 天と地の守り人 への導入編かな??
    ストーリーの展開がとても緩やかで、その分チャグムが抱えている様々なものが丁寧に書かれていて読んでいて楽しかった。
    天と地の守り人で続きが読めるのかな、楽しみ。

著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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