真夜中の五分前―five minutes to tomorrow〈side‐B〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101322520

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  • 恋愛の相手に一卵性双生児を使うことで、人を愛するということに疑問を投げ掛けているよう。
    何を持って愛するのか。何を持ってこの人を愛しているのか。
    とても複雑だけど、その先にあるものがなんなのかとても気になる。

    2015.9.21

  • 彼女が本当に愛したのは誰なのか。僕が愛したのは誰だったのか。
    信じられないのは、その感情なのか、君をか、それとも、自分自身か。
    過ぎた時間。かつての君と、君と共に過ごした僕を思う時。
    今はもう君がいない、それだけが無性に悲しかった。

    五分遅れながらも、確かに歳月は流れ、そして、彼等は、彼女たちは、僕の傍らを通り過ぎ、去って行ったのだ──。

    世界から取り残された五分間。それは、失ったものへ、流れた時間へ、過去の自分へ、今の自分へ、そして、愛した人へ、愛する人のために使おう。

    優しい静けさに満ちた幕切れが訪れる、シリーズ後編。

  • かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。
    あれから二年、転職した僕の前にひとりの男が訪ねてきた。
    そして、かすみとその妹ゆかりを思い出さずにはおかぬこの男が、信じられない話を切り出した。
    物語は、驚愕のエンディングが待つside-Bへ。
    今日と明日をつなぐ五分間の隙間を破り、魂震わす極限の愛が生まれる。
    (必ずside-Aから読んでください)

    読み始めからマジかよって驚いた。
    野毛さんとの関係がなんとなく良い。
    近すぎず遠すぎず。嫌気がさしてる世の中だけど、そんな世の中でしか生きられない野毛さんが結構いい味出してると思う。

    sideAから2年後のお話。
    その2年の間に大きく変化を遂げている。
    小金井さんは会社を辞めてしまうし、
    主人公も会社を辞め、
    ゆかりとかすみはスペインの列車事故に遭う。
    かすみが死んでしまって、ゆかりは生き残る。

    一卵性双生児だからこそ描ける作品。
    本当はどちらが生き残ったのだろうか。

    途中に出てくるロザリオの話。
    漫画家志望の占い師の話。

    そういう事を加味すると、きっとかすみが生き残ったのだと思う。
    熱を出したあの夜の夢で未来を知っていたのではないかな。とか想像してしまう。

    そこまでも2人の記憶をそこまで共有できたのは、
    きっとどちらも愛したかすみしか出来ないと思う。

    でもかすみが死んでしまった事で、主人公は長年のけじめをようやくつける事が出来た。
    本当に人生とはただそうあるだけだけど、
    ただある中にも救いはある。

    世界から取り残された5分間。
    そういう過去と未来の区切りの付け方も悪くないと思う。

  • side-Aにつづきside-B。
    冒頭を読んだときは、side-Bいらないんじゃないか...と思ったが、読み進めていくとやはり、二つで一つの物語なのだ、読んでよかったと思える。
    本当に読んでよかった。

  • side-Aから2年後のside-B。

    2年経って色んなことが起きていた。その説明を踏まえてside-Bは始まる。
    主人公は転職して、前の会社の直属の上司も転職している。その上司と派閥抗争をしていた上司は合併により役職にもつけず疲弊している。
    そして、恋人になった双子の姉は事故で亡くなっていた。

    前篇と同じように、ありえるのかよそんなこと!!とツッコミどころ満載だった。
    一卵性の双子の片方が死んで、入れ替わっているかもしれない?
    東野圭吾ミステリー的な展開にツッコミを入れたくなるが、やはり文体というか言葉のリズムが面白い。これが村上春樹チルドレンということなんだろうか。

    文体よりも、全編通して物悲しいところに村上春樹を感じる。
    自分が双子のどっちだかわからないなんてそんなことがあってたまるか。

    喫茶店のマスターがいいひとで素敵。

  • この本は単なるベタな恋愛小説じゃない。
    単なる真夜中の5分前でもない。
    人の心の動きを敏感に感じ取って、心の奥底に内在してる心理をまざまざと書き出した、現実に想像するとちょっと恐ろしい一冊。一卵性双生児の双子って、実際にこんな悩みを抱えたりしてる...!?いつか一卵性双生児の双子に出会うことがあれば、ちょっと複雑な気持ちになるかもしれない(笑)そう思わせるくらい印象深く記憶に残る一冊になった。ようやく「真夜中の5分前」の意味が理解できて、それも心温まる5分間でスッキリと読み終えました。

  • この話はSide-Aと合わせて何を伝えたかったのかな。

    一卵性の双子それぞれを愛した主人公と尾崎さん。
    姉のかすみが事故で死んでしまい、
    ふたりともどちらがとちらか分からなくなる。
    生きている妹のゆかりも本当に自分がゆかりなのか分からなくなる。

    実体って何だろう。
    過去とか気持ちとか目に見えない物ってのは
    いとも簡単に変わった気がしたり分からなくなっちゃう。
    逆に言えば目に見えてる、実体があるから
    自分の変わってしまった気持ちに鈍くなってしまうこともあるのかな。
    モノがあるから「こうなんだ」と決めつけてしまう。
    見えるもの/見えないものは同じくらいウェイトのあるものなんだろうに。
    うまく言えないけどそんなことを思った。
    なんか似たようなこと前にも書いたな。

    主人公の語り口とか世間とのズレ方とかキレモノっぷりとか
    村上春樹作品のような雰囲気だったなあ。
    淡白な感じ。でも最後に感情をあらわにして涙を流すところは
    淡白の反動でこっちも大きく感情を揺さぶられた。

  • sideAより内容は濃い。
    やっぱりさ、男も女も仕事以外の楽しみ見つけるべきだね・・・。
    だからって割り切って愛のない仕事をしてもいいってわけじゃない。
    かつて本意じゃない仕事、流してやってたことを反省したりして・・・。

    双子の恋人がどうのこうのって言う下りはあんまり興味もてない話だったけど・・・。
    1時間ぐらいで一気に読むとカンドーします(笑)

  • 二度目の読了。やはり思う。一冊にして欲しかったと。ゆるやかな展開でゆっくり読める。

  • 何かにとらわれないことが楽なのに何かにとらわれない人間は異質に感じられてしまう
    愛してることは認識しづらいしそう簡単に分からない

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著者プロフィール

1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。‘99年、『MISSING』で単行本デビュー、「このミステリーがすごい! 2000年版」でトップ10入りするなど高く評価され、脚光を浴びる。以後、恋愛、青春小説を超えた新しい静謐なエンターテインメント作品を上梓、常に読者の圧倒的支持を得ている。その他の作品に『正義のミカタ』『MOMENT』『WILL』『魔術師の視線』『君の隣に』など。『dele』では原案と脚本を担当し、山田孝之と菅田将暉主演でドラマ化された。

「2021年 『チェーン・ポイズン <新装版>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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