がらくた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339269

作品紹介・あらすじ

私は彼のすべてを望んだ、その存在も、不在による空虚さも-。45歳の翻訳家・柊子と15歳の美しい少女・美海。そして、大胆で不穏な夫。彼は天性の魅力で女性を誘惑する。妻以外のガールフレンドたちや、無防備で大人びた美海の心を。柊子はそのすべてを受け容れる、彼を所有するために。知性と官能が絡み合い、恋愛の隙間からこぼれ出す愉悦ともどかしさを描く傑作長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 今 読みたい新潮文庫  大人の恋 TOP 3。
    翻訳家の柊子、その母の桐子、たくさんガールフレンドがいる柊子の夫の武男。
    柊子と桐子がプーケット旅行中に出会った若いミミとその父親。
    柊子が夫 武男の事が好きすぎて、、、
    モテる武男と柊子が設定だから?なかなか物語に入っていけない。
    でも、ミミがとても可愛らしくって、目が離せない。
    最後はやっぱり、、、

    それぞれの心の描写はとても面白かったです。

  • まだ三月だというのに海辺の日差しはとても強かった。白っぽくて刺すような太陽の光。肌がじりじりと焼けていくのが分かった。コンクリートの大きな段々に腰掛ける人の中には日傘を差す人も多く、自分も次は日傘を持ってこようと思った。次がいつになるか分からないけれど。前来たのは去年の夏だった。夜、ライティングを見たのを覚えている。黒のサマーニットにジーンズで、白い皮のサンダルを履いていた。

    はしゃぐ子供たちの声を聞きながら、砂浜に座り込んで文庫本を開く。物語も海辺で始まった。

    • 大野弘紀さん
      映画のように美しい、読書時間。
      映画のように美しい、読書時間。
      2020/07/05
  • 突っ込みどころ満載でした

    世界観が楽しかったというか・・・・こんな夫婦間ってあるんだなぁ~と

    45歳で翻訳家の主人公柊子と建築家の武男
    モテる夫は外で女性が何人もいるその中に社員まで関係を持ってしまう
    「夫はみんなの所有物」を認識してても夫婦仲はばっちり
    と言う柊子も外でもちろん遊ぶ
    しかもお互い承認済み・・・・なんじゃそりゃ

    柊子の母(桐子)と二人旅行先で知り合った高校生ミミ、帰国後も関係を続けていたある日柊子、武男、ミミと3人でディナー&バーでお酒ってまだ高校生だろう!そんな場所連れてっていいのか?

    しかも武男とミミが男女の仲になるのはどうなのか?まぁもてる男はつらいよって感じかな

  • 離れているときのほうが、
    相手を強く感じるって、なんかわかる。

    ミミがかわいい!目が離せない!

  • 無性に江國香織そんを接種したくなる時がある。この言葉にできない感情を文字に置き換えてくれて提示してくれる天性の才能は心に染み込む。
    今作もなかなか理解しづらい人間関係を理解しないまでも、共感しないまでも読ませてしまうあたりが本当に耽美だ。

  • 「知性と官能が絡み合い、恋愛の隙間からこぼれ出す愉悦ともどかしさを描く」

    ・It was something, but it's over.
    ・肌が触れあうことよりもっと、纏っている気配のまざりあうことの方が刺激的だ。動物的で礼儀正しく野蛮で。
    ・勘定を普遍のまま保存することはできないのよ。

    「きっかい」とか「あっけらかん」とか日々の生活に出てこない言葉がたくさん並べられていて、いつも不思議とpoeticな気持ちになる。

    ストーリーに対しては不服。だって45歳の翻訳家が、マスコミ男子で女たらしの夫をこよなく愛し、さらに旅先でみつけた女の子に妙に惹かれて、なんとなく先が見える(気がしている)くせにその二人を出会わせて、最後案の定、夫と女子高生はセックスなんて。

    女子高生。主人公。いつも江国さんの描く女性はきれいで美しくて、頑固で(芯がある、では済まされないような頑なな精神)友人が極端に少なく、男か音楽か酒かアートに酔いしれている。そして芸術センスと言葉選びのセンスが抜群に高い。一方男の描写はいつも曖昧でふわっとしていて、さも重要ではないように描かれている。
    あとは性に奔放。というか寛容。でも納得いかないなりに読了1時間が経過して思う。隼人くんのいうとおり、もしかしたら「過程」をのぞきみれただけで十分なのかもしれないと。まどろんでいるような、ぼやけていてでも美しい世界観にのんびりつかればいい気もしてきて、また他の本を読みたくなるのだ。

  • 久しぶりの江國香織。よかったです。
    ファンタジー小説とかじゃないのに、ファンタシーのようなふわふわした不思議な気分にさせてくる。

    翻訳家の柊子、その母の桐子、たくさんガールフレンドがいる夫の原。そしてプーケットの旅行で出会った若いミミとその父親。
    柊子が原さんのことを好きで好きで好きすぎて、2人の関係性が理解できなさすぎて切ない。原さんどんだけ魅力的なんや。原さんはいろんなガールフレンドと寝るし、柊子だって違う男と寝るし、でもお互いめっちゃ好きで、すごく自然に2人はラブラブで。
    ミミは柊子が失ったものやこれから手に入れるものすべてを持っていて、それは多分若さだったり「知らなさ」だったりするんだろうな。主人公がミミでもいい気がする。
    ひとりの女の子が、歪な大人たちに揉まれながらひとりの女性になって世界を知っていくお話。
    1人の女性が、愛する人に愛されて、1人の女の子に戻るお話。

    この作品でタイトル「がらくた」なんだ。若くて魅力的で、女の子から女性になったミミは、この先どんながらくたを集めたり捨てたりするんだろう。原さんに出会ったことで今まで輝いていたものががらくたに見えたり、これからの人生で知らないうちにがらくたを集めていったりするのかな。

    ラスト、原さん…オイオイとなりつつ、やっぱりそうならなきゃねとも思った。すごく自然で当たり前の流れだろう。原さんは何歳の、とかどんな、とかじゃなくて1人の人間として目の前の人を見る。

  • 江國香織作品はいつだって細部にお洒落が宿っていて、世の中を冷静に見せてくれる。

  • 高校生の、人を見下すような、それでいて自分を守るようなそんな心情は非常によくわかる。人は脆いもので誰かとの関係に怯えたり苛立ったり面倒くさいけど出会った縁ってものは大事にしないとなあ。

  • 好きって付き合うって何なんか分からん
    と友達に相談したら、持ってた本を貸してくれた
    読書習慣のない私は読むのになかなか時間がかかってしまった
    色々な考え方があるし、大人って、人間って、自分が思ってるより綺麗なものじゃないし、理想はあっても正解はないし、なにを思おうが自由だなと思った

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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