舞姫通信 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349114

作品紹介・あらすじ

ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーンを始めている。17歳で死んだ「自殺志願」のタレント城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教えてくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでも-。でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、ずっとずっと、遠い日でありますように。教師と、生徒と、生と死の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 女学校が舞台。
    テーマは「自殺」。
    今の若い世代の自殺を通して、生きることを考えています。
    これを読んで全てを受け入れることはできないけれど、やっぱり読んでみて良かったと思いました。

    重松氏の本はまだまだあるので読んでいきたいと思います。

  • 重松清作品の中では、イマイチかもしれない。
    題材として、生と死、というのはいいと思う。
    舞姫は、まだいいと思う。
    だが、城真吾のようなキャラクターをカリスマに仕立て上げるのは、どうなのかと思う。
    個人的に、重松清のイメージと違っていたという部分もあるのだろうが。

  •   暗い。そして重い。最初のうちはよかったものの、読むにつれて読むのがどんどん辛くなっていきました。けれど、いろいろと考えさせられることが多かったです。

      逃げ道としての自殺ならわかるけど、理由もなしに "なんとなく" 死んでみたいというのは、どうなんだろう。生とはそんなに軽いものでしょうか。

    「人はいつでも死ねる」
    繰り返しでてきたこの言葉、確かに理屈ではそうだろうと思う。でも、死ぬってそんなに簡単なことじゃないと思うんです。この言葉を唱える人たちの中のどれほどが死に直面した時にそれを受け入れることができるのだろう。

      私が何よりも怖かったのは、自殺よりも無気力に生きることでした。
    生きる意味も見つけられないけど、死ぬ意味も見つけられないから生きている。それは、本当に生きていると言えるのでしょうか。救いが見えない気もしました。生きる意味を言える人なんてそうそういないだろうけど、それでも生きていて楽しいと思えればそれで十分じゃないのかな・・・。

      最後の、祈りにも似た舞姫通信で少し救われたかもしれない。他の人が自殺をする権利は奪えないけど、私も好きな人たちにはできるだけ長く生きていてほしいと思います。

  • 「泣ける!」「涙が止まらない」と書いてあったので、本当に泣けて泣けてしょうがないんやろなーと思ってたが、そんなでもなかった。わりと泣けなくて残念。
    最期に主人公が抱く「生きなければ」という意思よりも、「死はいつも、いつでも自分のそばにいる」という実感の方が共感できる。

  • テーマは自殺。
    『人は死ぬことができる』
    うん、確かに。自分で自分の終わりを決めてもいいよね。
    わたしは自殺をするつもりないけど…

    読み終わってもなんかすっきりしないけど…『自殺はだめだ!!』って熱血教師みたいに言う本よりは好きかな。

  • 「人は誰でも気づかないうちに自分の人生のラストシーンを始めている。それがいつからなのか、いつまでなのか、分からない。二十歳で死んだ人にとっては十七歳はすでに晩年だったのだと。ラストシーンの始まりも終わりも全てが終わったときでないと決められない。でも、ラストシーンが始まっているのかもしれないとはいつも思っていてくれ」

  • 人は死ねる。
    『いま』『どこでも』、そして『いつか』。
    《自殺志願》の城真吾が教えてくれたこと。
    双子の兄、そして婚約者を失った主人公達はそれを受けて何を感じるか。

    人は死ねる。
    ただ目の前にいる人の、その『いま』が、遠い先の『いつか』であることを願う教師の物語。



    現代社会をテーマに作品を書く作者らしい物語。
    人は生まれる権利はなく、生まれる。だが、生まれたその瞬間から死ぬ権利は持っている。
    『自殺の何が悪い?死ぬことを目的として生きる―そんな生き方もあるんじゃないか』という城真吾の叫びに考えさせられる。

    物語の大筋は自殺について悩まされる人々が描かれているが、最後には“生まれること”の素晴らしさがしっかりと描かれている。

    死を通して生きることを感じられる作品。

  • 面白いし、引き込まれてしまうのですが、いざ感想を書こうとすると困ってしまいます。
    結局著者は何を言いたかったんだろう。素材だけが投げ出されて、結末が無いような。まあ、いつものことなのですが。
    生きることの大切さを言っている様な、でも「いつでも死ねる」も否定してないような。まあ、それで良いのでしょう。こんな話題に結論を出してしまったら陳腐に成るだけなのかもしれません。

  • 人を含めて生き物は皆いつか死ぬために生まれ、それまでの間を生きているのではないかと思っている時期もありました。
    でもそれは自ら死を選ぶという意味ではないのだと読み終わってつくづく思いました。

    双子の兄、陸男(リクオ)は何故自殺したのか、心中未遂した城慎吾に死にたい理由は本当にあったのか(たぶんない)、最初に舞姫通信を書いた原島先生の娘、慶子の心の闇?
    そもそも毎年、舞姫通信を誰が書いていたの?(物語の中では最後の方で自殺した女性徒?)佐智子の妊娠?などわからないことがたくさん。
    それをはっきりさせる必要はなかったのでしょうかね?

    一つだけわかるとしたら自殺してしまう事よりも生きて行く事の方が大変だという事。
    ‘生きていればいい事もあるさ’的な無責任な意味ではなく、‘いい事があるように頑張ろうね’という意味で。

    人は必ずいつか死ぬけれどそれがいつなのかは誰にもわかりませんし、‘いつでも’などという事は否定します。
    先に逝った大切なや人や愛猫に恥じないように天寿まで生きて行きたいです。

  • 陰惨な物語。良い。

  • 誰でもいつかは死にます。
    その時がいつなのかは誰にも分かりません。
    自らの手で終わらすのか、それとも病によってなのか。
    もしかしたら、何かに巻き込まれてかもしれない。
    だからこそ、毎日を大切に生きて行かなきゃいけないんだろうな。

  • 「いつか」は誰かのそれとは同じじゃない。相変わらず胸に残る話でした。

  • まず自殺を肯定することはできません。どんな状況にあってもです。自分が昔の彼らと同じ年齢の頃でも自殺しようとする人、自殺した人の気持ちは分からなかったです。
    自殺する人の気持ちが分からないのは強い人だからだと言われたことがあります。別に強いとは思わない。弱いとも思わないけど。
    死んだら終わりなのに、本当にそれしか方法はなかったのだろうかと思います。もし死ぬしかないと思って飛び降りたなら、舞姫っていうのは違うと思うんです。伝説という形で美化してるだけ。もしあたしが原島先生と同じ立場なら、きっと舞姫通信を残らず集めて焼いてしまいます。
    生徒たちにとって死ぬということはリアルな世界で想像もつかない神秘の世界なのかもしれません。自殺はただの手に届かないものに対する憧れです。大人になったら舞姫も城真吾も、居酒屋で酒の肴になって終わりそう。あんな奴いたね、みたいな感じで。でも生きてるってそんなもんじゃないのかな。
    一番印象に残ったのは、17歳で死んだ人間の16歳が晩年であるということ。そりゃそうですよね。でもこの作品を読むまで全く気づかなかったです。

  • 「死を想え」
    自殺を主題に、主人公その他の様々な視点から取り上げた作品です。
    学園物、社会実験、三角関係(?)と盛り沢山の内容で、取り上げる分野は似ていても、近年の作者の作品とは少し違った印象でした。
    若干詰め込み過ぎの感もあり、思い詰めていく主人公(とその想い人)の心情についていくのも苦労しましたが、作者の問題提起に考えさせられ、読んで損はなかったと思います。

  • 自殺を題材にした作品。重松清でも割と初期の作品のためか一文が長くて、冗長な言い回しがなにかしら鼻につくのが多い。舞姫通信の謎、城信吾のスキャンダラスさ、佐智子の苦悩、双子の兄の自殺とそれひとつで十分題材になるようなものを若干詰め込みすぎて、なんとなくまとまり切ってない気がした。でも、尾崎とかhideとか死んだことによってマスコミに持ち上げられちゃてた世相。テレビでも城信吾の手記のどうしょもない痛さとか、コメンテーター達の空理空論とか、1999年ていうあの時代の空気感みたいなのを十分に伝えているような気がする。ただ佐智子はホントひどいな。自分が傷ついて痛みをおってるからって、海を兄の代わりにしたり城信吾をプロデュースしたり、どうしょもないメンヘラで読んでて不快になった。終盤の佐智子の出産あたりとか読んでてどうでもええわって散漫な感じ。
    しかし、自殺するのに理由がいるのか、という問いには、逆に迷って苦しんでも生き続けていくことにも、理由がいるのかと問いたい。

  • 自殺。双子。海と陸。


    死のうとするのがいけないのか。
    個人的に『自殺志願者』というのが衝撃的でした。
    友人を思い出します。

  • 実践心理学科 1年

    僕たちは必ず死にます。
    いつか、いつでも。

    でも僕はそんな誰かを愛し、
    いまを生き続けています。

    「いつか」と「いま」を隔てるものはなんなのか、

    なぜ僕たちは生き続けるのか、考えてみてください。


    資料ID: C0020965
    配架場所: 本館2F文庫書架

  • 最初数ページと、最後数ページの印象が、まったく違う作品でした。

    ただの学園ものでもなければ、ミステリーでもない。自殺や死について扱っているけれど、それを否定するわけではない。

    少し重たい、水のような話でした。

  • 自殺かー、自殺ねー。
    私の中では3種類くらいに分かれてるな、自殺の理由。

    一つ目は、「死ぬ」以外の選択肢が存在しないとき。借金とか、借金とか?(人生経験ないから、ほかに思いつかない)

    二つ目は、自殺願望が嵐のようにやってきて心を荒らすんだけど、耐えてたらいつの間にか嵐が去っていくとき。そのときは死ぬことしか考えられないんだけど、それが終わったら、なんで死にたいなんて思ってたんだろうってくらいにすっきりするかんじ。心の病気?
    いじめが原因の場合、一つ目と二つ目が混ざってるのかな。

    で、三つ目が、何かしらの理由はないけどほんとはずっと死にたかった…っていう。この本の場合、ほとんどの人はこれなのかなあ。
    高校生くらいになると、自分の到達点が何となく見えるというか、限界がつくというか。このくらいにしかなれないなら、これ以上生きてても意味ないかな、みたいな。

    ドラマやらの影響で、自分も刺激的な日々を送れるはずだ…って思ってる人が増えているってなんかの本で読んだ気がする(曖昧)。
    こんなのほんとの自分じゃない、こんな退屈な人生生きててもしょうがない、みたいな?

    自殺するんなら餓死してほしいな。
    生きるためにほかの生き物犠牲にしてるんだから、死ぬなら誰にも何にも迷惑かけずに死んでほしい。
    だけど、誰にも迷惑かけない死に方なんて、ないんだよねえ。

    うーん、わかんないや。難しい。


     

  • 2013.3.20読了。

    そういえば読んでなかった。
    人生の授業なんてものはありません。

  • 舞姫(10年前に飛降自殺した少女)に関する伝説の残る高校に赴任してきたのは、理由不明で自殺した兄を持つ主人公岸田。

    兄の恋人は大手タレント事務所の一人娘で、自殺志願のタレント“城真吾”を売り出そうとする。

    自殺するのに理由は必要なのか?
    自殺は悪なのか?
    自殺は許されるのか?

    城真吾の問いかけに戸惑う大人と共感する若者達。

    僕らが遺伝子に支配されているのならば、
    自殺は異常値となるはずだが・・・。

    生きる意味を考えさせられる一冊。

  • テーマがテーマなだけに重い。
    が、いい話だ。

    当然の事ながら生きることは死ぬ事より辛い一面もある、もちろん楽しい一面もある。

    であるならば、楽しい一面見て前向きに生きたいよね。

  • カテゴリー分け不可能。舞台が高校なので一種青春物語だが、「舞姫通信」という主人公が勤める高校で過去自殺した生徒の友達(主人公の上司にあたる先生の娘さん)が書き始めた通信がキーワード。主人公が双子の兄側で弟側は数年前に自殺。主人公の死生観がテーマの不思議なシナリオです。

  • 全く同じことを思っていた。
    「なぜ自殺はいけないのか」
    「自殺には死ぬ理由がいるのか」
    「生きる理由がないというのは理由にならないのか」

    あのときの自分にすすめたい

  • 自殺という思い問題に対してさまざまな視点を投げかける。かわすという方法もあれば、堂々と真正面から向き合い乗り越えるというスタンスもある。人それぞれに思いをめぐらし考察できる。

  • 自殺がテーマの話。

    割りと冒頭の

    『世の中に腹が立つ事ない?
    あなたもあなたの周りの大切な人も自殺しないとは言い切れない。
    誰だってみんなその可能性があるし、自殺されて取り残される可能性もある。
    そこのところをわかってて生きててよ。
    自殺しろなんて言う気はないけど、でも、
    ただヘラヘラとしているんじゃなく、ちゃんと考えて生きててよ。』

    って台詞が印象深かった。

    あとラストの

    『思い詰めて何が悪い?
    いい加減に生きてれば死ななかったというのか?』
    って所も良かった。

  • 「自殺」をテーマに扱った教師視点で描かれた学園もの。

    過去に、学校で自殺をした「舞姫」がいた。彼女はいわば神格化されて、学校において語り継がれているが、その実体はなかった。

    また、一方で、一人の恋人と心中し損ねた男の子が自分の信条をメディア等で述べるようになり、「舞姫」に実体が宿ったようなせっとっくりょくが出てきた。


    読んだ後に、「死ぬ」という目的のために、いつ訪れるかわからない「死ぬ」という時のために、今・この瞬間を歩み続けているのかな。と自分なりの解釈をだしてみた。

  • 突き付けられる主題に自分なりの答えを見つけられないまま、もやもやした気持ちを持ちながら読み続けた。

    どうして生きなきゃいけないのか?
    どうして死んではいけないのか?
    まだどちらにも答えられない。
    けれど、生きることや死ぬことに果たして意味が必要なんだろうか?
    それもまだわからない。
    いつか解る日が来るのだろうか?

  • 【舞姫通信】 重松清さん

    ラストシーンは、もう始まっているのかもしれない。
    人は、誰でも、気づかないうちに人生のラストシーン
    を始めている。17歳で死んだ<自殺志願>のタレント
    城真吾にとっては、16歳は晩年だった。城真吾は教え
    てくれた。人は死ねる。いつ。いつか。いつでもー。
    でも、僕は思う。僕の教え子の君たちの「いつか」が、
    ずっとずっと、遠い日でありますよに。
    教師と、生徒と、生と死の物語。
    (文庫本裏表紙より)



    今ひとつ動機のつかめない自殺をした少女。
    彼女は校舎の7階から飛び降り、中庭にその身を横たえた。

    彼女が飛び降り自殺をして後、「舞姫通信」という
    彼女のコトを伝える機関誌が学校の中で流れるようになった。

    それも何年も続いて・・

    舞姫通信の筆者はわからない。生徒の誰かが書いているのだ。
    語り継がれるように「舞姫通信」は続いた。

    『武蔵ケ丘女子学院高校。』
    岸田宏海が赴任してきた高校はそういう高校だった。
    彼の双子の兄も舞姫と同じように動機のつかめない
    自殺をしていた。

    兄の死を引きずっている宏海と、舞姫通信に対しそれぞれ
    の異なる感情を持つ教師たち。

    久々の重松さんでしたが、もう一つ物語の伝えたいコトが
    わかりませんでした。

  • 重松清さん好きとしては結構楽しめた内容でした。
    特に最後の坂本と主人公のシーンでは感動。
    ただ佐智子に関してはなあ……。
    伊坂さんの某王子以上に好きになれないキャラかもしれません。
    個人的には長谷部さんのキャラが凄い好きでした。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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