- Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101360515
感想・レビュー・書評
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かなりおもしろい本。天保一分銀という兌換通貨(金貨である一両と交換できる)を作り出したという独創性、現代のMMTを凌いでいるかもしれない。名もなき市井の人々や勘定方の役人が知恵を絞って生み出したものが、最先端すぎて逆に幕末に混乱を招くとは(ハリスにはそのロジックが伝わらなかった)皮肉なものである。
税を払えるから通貨が機能するというMMTは、江戸時代においては成り立っていない。論破する証拠になるかもしれない。
他にも長崎の貿易の仕組みや、薩摩藩の密貿易(密ではない)、小判改鋳に伴う発行差益などなどおもしろいテーマがたくさんあった。 -
本書は、江戸時代の幕府や藩の税、通貨、財政等について綴った書。
結構知らないことばかりだった。例えば、田沼意次は賄賂に血道を上げた汚れた政治家でも、経済政策に長けたテクノクラートでもなく、頼まれたことを着実にこなす実務家だったらしいこと、その功績が、将軍家治の日光参詣資金捻出であったこと、法則性のない恣意的な御手伝普請(治水工事等の公共事業を諸大名の負担で行わせること)が賄賂横行を招いたこと、江戸も中期になると「官府の印理論」(「瓦礫であろうと紙であろうと、官府の印を押せば通貨である」という荻原重秀の理論)に基づき金属の価値以上の価値を持つ通貨を発行・流通させていたこと、このような通貨の仕組みがアメリカを始めとする先進諸国に理解されず、不平等で歪んだ通商条約が結ばれてしまったこと等。 -
めちゃおもしろい
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義実家の本。
・家光の浪費こそが17C後半の経済の興隆をもたらした(p15)
・六代家宣の死後起こった通貨論争(通貨というものは政府の保証さえあれば、材質などどんなものでもいいのでは?)(p25)
・上方は銀、江戸は金が流通(p198)
通貨そのものが金や銀を使っていることで価値を持つ(近代は政府が保証してるから通貨が価値を持つってなってるけど)、っていう時代の経済に興味があるので、面白く読んでる。 -
H20.10.1.初、並、帯なし
2013.2.13.津BF -
経済の簡単入門
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将軍家を中心に主に金融から江戸時代を見ると、私たちが思っているような江戸とはまた違った風景が見える。
著者の言う「官府の印理論」、官府が一両といえば金銀の含有量に関わらずすべて一両として取り扱うというものは今で言う管理通貨制度であり、世界史でこの制度が一般化するのが1900年代と考えると当時の日本社会がどれほど安定していたかをうかがわせる話。
しかし、これが幕末の開国騒動時に大きな混乱を起こすことになったという話は、現在の金融をはじめとした経済政策にも繋がる話であり、もっと多くの日本人がこのことを知っていないとと個人的に強く思う。
意外と知らない日本の歴史の一面を垣間見れる良い本です。 -
徳川幕府の財政事情~通貨改鋳のからくり・・ と
金の流れを描いた話
江戸時代って 実はそんなに昔のことじゃないんですよね
これを読むと江戸幕府時代もリアルに感じられる
現実的な側面から書いてり 個人的には勉強になってよかった^^ -
この人の「大君の通貨」が幕末の外国との
金銀為替関連の話で面白かったので購入。
うーーーん。こねた知識によかったかな。
エッセ風の江戸時代の経済説明書的な。。。