ツナグ (新潮文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101388816

感想・レビュー・書評

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  • 随分前に映画は観たことあるんだけど。。映画も本も良い!!内容が映画とほぼ同じだったので読んでいて新鮮味はなかったんだけど。。楽しかった。優しい気持ちになる。本当に使者がいるなら私は父に会いに行きたいかな。。それとも使わずにとっておくかな。。一回しかダメって悩むよね。それぞれのストーリーが感情移入しやすく素敵な本だと思う。逢いたいけど逢うのが怖いそんな人間らしい感情がよく描かれてた。

  • 私にとって、この世を去ったけれども
    会いたい人といったら、父親しか
    いない。
    「ねぇ、昔のアルバム、どこにしまったの?引っ越しの時、洋間か和室の押し入れに入れちゃったの?」
    ・・・聞きたい。おかげで、私の幼少時代
    学生の頃のぽっちゃり笑顔を、息子と
    ダンナは見たことがない。

    でも、たった1回の再会を、私が使ってしまっていいのだろうか?
    弟はどうだろう?
    母親は健在だが 、今私が父親に
    会ってしまったら、母親は会えない。
    私は、この世を去ったら息子に会いたく
    なるかもしれない。
    でも、それは未来のお嫁さん に申し訳ない。


    これは、お話だが考えずにはいられなかった。
    生きている間、もしくは死んでしまってから1度だけの再会。

    辻村深月さん、この次があるのなら、
    設定を少しだけ
    変えて頂けませんか?

  • 人生で一度だけ、死者に会えるお話。
    読む前は、正直ありきたりな話だなと思っていたけれど
    薄っぺらくならず、深く描写されていて
    さすが辻村深月さんの筆力、と唸った。感動した。

    推しの芸能人に会いに行く人。
    母親に会いに行く人。
    親友に会いに行く人。
    突然失踪した婚約者を探す人。
    それぞれ、お互いにさまざまな思いを抱えて対面する。

    特に冒頭の芸能人の話は、三浦春馬さんと重なってしまって、幸せだったらいいなあ…と胸がきゅっとなった。

    相手に対して素直に思いを伝えられる人もいれば
    素直になれず、死者に会えた後で本当に後悔してしまう人もいる。
    人生って難しくできてる。

    幸い、今の私は、「人生で1回だけ死者に会える権利」を使いたいと切実に望む人がまだいなくて、
    もし今後、そういう経験をしてしまった場合(だけどいつかは経験するだろうその時)、再度この本を読んだらきっと号泣してしまいそうだなと
    そんなことがとても容易く想像できてしまった。
    大切な人を、今いるうちに、大切にしたい。

    よい作品でした。

  • Stay Home中の女性作家チャレンジのひとつ。
    辻村さんもこれが初めての1冊。
    それぞれの短編がよく出来ていて考えさせられるのもさることながら全体の仕掛けも素晴らしい。ジクソーパズルがぴっちり埋まったときに全体の絵も素晴らしい、というような本。

    いい本読んだな、他の人に薦めたいな、またこの人の本読みたいなあ、ということで文句なしの★5つ。

  • 74 サヲリが静かに頷いた。ゆっくりと瞬きする。ビールの缶をサイドテーブルに置き、ふいに真面目な顔になる。
    「平ちゃん、死ぬつもりでしょ」
    私は黙った。今日の面談が終わったら、後はどうなったってよかった。
    生前のサヲリにあてた手紙に、私は、死にたいです、と書いていた。
    退屈で、くだらない日常。死んだところで、誰にも、家族にも悲しまれない。水城さんの姿を見ることで救われた気持ちになる、とも書いた。それが唯一の楽しみだと。
    「自惚れてないよ。アタシが死んだからって、そのせいで平ちゃんが死ぬなんて考えたわけじゃない。だけど、義務は果たしにきた」
    「義務?」
    「アタシ、返事、書かないまま死んだでしょ。だから伝えに来た。違ったらごめんね。だけど嫌な予感したの。使者を使うのって、相当お金かかると思ってたし、機会は一回きりだって言うし。なのにそれでも、自分の身内とかじゃなくてアタシを指名してくる以上、きっともう全部、惜しくないんだなって」
    「私…」
    「来ちゃダメだって。こっちは暗いよ。」
    サヲリが歯を見せて笑う。
    「それだけ、伝えたかった」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
    感想

    辻村さんの天才っぷりをこれでもか、と味わえる作品。
    『かがみの孤城』を読んだ時にも思ったけど、現実離れした設定を現実味のある物語に落とし込むのがうますぎる。

    生者と死者の窓口となる「使者」(ツナグ)
    そのツナグに、さまざまな依頼がやってくる。物語は全部で5つの短編。
    アイドルの心得・長男の心得・親友の心得・待ち人の心得、そして使者の心得。

    印象に残ってるのは、
    まず親友の心得、これはひたすらにきつい。悲しすぎて切なすぎる。
    339「会ったところで、全員が全員、満足して成仏できるとは、私には思えないけどね」という歩美のおばあちゃんのセリフがよぎって、苦しくなった。

    もうひとつは使者の心得、歩美が葛藤する部分。
    17歳の、死者との窓口となる少年への感情移入、その表現が本当に素晴らしい。
    死者は生者のためにいていいのか、使者の役割は生きている側のエゴなのではないか。
    そんな使者としての葛藤を抱きながら歩美自身も成長していく。

    そして物語を貫く歩美の両親の死の謎。これも鮮やかな結末が最後に待っている。

    自分がもし使者に頼むとしたら、誰に会うのだろうか、そんなことを読みながら考えていました。

    ひたすらに感情が揺さぶられ、泣けるし、苦しくなるし、最後には心が温かくなる作品です。
    とにかく、泣きたい!って人におすすめ。

    続編も読み直そうと思っているのでまたそのうち投稿します。

  • あなたには、使者を通して会いたい人がいますか。

    自分が生者の場合。
    自分が死者の場合。

    孤立した地味なOL、ある家の長男、プライドが高い女子高校生、生死の分からない恋人を待ち続ける男、そして、ある少年。
    それぞれの事情や想い、葛藤を抱えながら、最終的には「誰か」に会いたいと依頼する、もしくは‥な生者たちの姿が描かれています。

    設定は現実には到底起こり得ないことなのに、現実味があって。
    死がテーマとなっていながら、自分の生き方について深く考えさせられました。

    個人的には続編のほうが好きかな。
    ほぼ一話完結なので続編単体でも読めないことはないですけど、絶対1読んでからのほうが良いですよーーー!

  • 有名どころから読んでハードルが上がってる?
    ノンノン…辻村深月は辻村深月だった
    登場人物の細やかな目線仕草で伝わってくる状況、珍しくこの感じの終わり方かと思ってもまだ続きがあったり、ラストそう持ってくかーすごいだった
    重たい任務を任された歩美も透明でいてしっかり答えをだす姿が頼もしかった

    好きなフレーズ引用
    光には光の通り道があるのだと
    生者のためのものでしかなくとも残された者には他人の死を背負う義務もまたある

  • 2度目です。
    今回はDVDを鑑賞してから、読んでみました。

    よくできてる。
    辻村深月先生、さすがです。
    依頼者と仲介者、両方の心の動きを
    書いてくれてるところがおもしろいんだなぁ。

    DVDの役者さん達も よく演じてたなぁ。
    オリジナルを誠実に映画にしていて、
    まさに win-win の出来でした。

  • 人それぞれの大切な人の死の向き合い方が描かれている。

    設定は決して、現実味があるわけではないけど、ところどころ、自分だったらどうするだろうと親近感を持ち考えてしまうのは、この小説の感情の描き方が丁寧だからだと思う。

    辻村深月さんの作品は、仕掛けが本当によくできていて、後半にかけて色々な謎がわかっていく気持ちよさがクセになる、、、!

  • 亡くなってからしまった人と一度だけ会えるなら自分は誰と会うだろう。そして、何を話すだろう。何を聞くだろう。とても興味深かった。
    松坂桃李、樹木希林主演の映画も観ましたが、とても良かった。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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