カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.63
  • (57)
  • (60)
  • (96)
  • (15)
  • (6)
本棚登録 : 902
感想 : 80
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101467252

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 書き込みや線引きされているのを知らずに買ってしまった。他人が線を引いた個所を見るのも面白いものだと思いながら読む。

  • 「悩んだらこの本を読んでみなよ!」読んだからといって悩みがなくなるわけではないのはわかってるし、気持ちが軽くなるわけでもないのもわかってる。でも怒る技術を体得するのは必要かもと思った。
    いい人であろう、嫌われないようにしようと思う気持ちはどうしてもあるから。

  • 2022/05/25

  • ①100人いれば100通りの考え方がある
    ・著者中島義道の考え方は非常に独特だと感じた
    ・少なくとも自分とは異なる
    ・人と群れるのが嫌い、勉強やテスト好きなど
    ・そしてあまり共感できるものは多くなかった
    ・しかし、マジョリティが単にマイノリティを制圧するのは良くないと感じた
    ・100人いれば100通りの考えがあって、それを知った上で合意を取っていく必要があるのではないか

    ②人が抱える闇を綺麗に文章化している
    ・誰もが陥る闇を文章に落としている
    ・それも、難しい表現や哲学用語を使わずに
    ・なぜ自分が闇を抱えなくなったのかも分かる気がした
    ・きっと歳を重ねる中で、鈍感さ、という技を磨いたからだ
    ・都合よく闇には目を閉し、常に先を見て走れるようになったからだ
    ・これは自分の成長ではないだろうか

    ③何のために生きるのかを考えさせられた
    ・何のために生きるのか、それを知るために生き続ける
    ・この言葉には、説得力があった
    ・たしかに20年行きただけでは何も分からなかった
    ・28年生きて、初めて生きる意味を少しずつ感じるようになった
    ・この言葉や本は自分を振り返らせてくれた

  • “必ず人は死ぬ、死ねば何も無い、それはどういうことだろう?何もない、何もない……それがずっと何億年も続くと考えると、背筋が寒くなり………” という表現が後半にあったが、これは自分も幼い時に考えてたことで、それが言語化されてて、文字で見てるだけで、死について別に考えてないのに、やや怖くなった。
    でも大人になるにつれて、いつしか死んだ後の世界について考えるのをやめた、怖いから。考えそうになった段階でシャットダウン。考えるのを辞めた時点で筆者の言うマジョリティに属したわけです。
    でもその死を、絶対的不幸と捉えてそれ以外の不幸は蚊に刺されたようなもんだと言ってる考え方がとても新鮮だった

  • 結局死ぬっていう大前提がある。だからその絶対的不幸に比べたら生きている間に起こることなんて問題じゃないし、なにも興味がわかない、感動しないとしても問題にはならない。
    まずそのスタンスを忘れないようにしたい。そこでなんで自分はなにも感じないんだ!と悩む必要はないんじゃないか、ということ。

    みんな仲良くというマジョリティの生き方に違和感を感じるということは、その生き方が自分にあっていないということか。

    この先強く生きるのか弱く生きるのかはわからない。一つだけ確かなことは、その生きる意味を探し続けるのがいいんじゃないかってことか。結局なにもわからないかもしれない。でも純粋にいろいろ学んでたら何か見つかるかもしれない。

  • 自分と考え方が異なり拒否反応、途中で読むのを辞めてしまった。

    子どもは、褒められて育つと、褒められるのが行動基準になってしまう。
    また、失敗を隠したり、嘘をつくようになりやすい。

  • 嫌われる勇気とかとも似てるような人間関係や社会に悩む若者(青年)への本。
    今の筆者が進路に悩む若者に語りかける形式で進んでいく。彼は親から期待されている道と自分の興味の狭間で悩んでいるという。
    自分の若いときの話を引き合いに出しながら、『弱い』若者に向けて主にカントの哲学にそっていかに自分が『強く』なったのか、どんなことに苦しみを、救いを、感じたのかを告白する。
    著者は自分は強くなったという。しかし決して幸福になったとは感じていない。彼は強くなる過程でいろんな人の存在を打ち消してきた。それがよかったのか悪かったのか。ただその道は生き延びるために必要だったのだ、という。
    彼自身、強くなったことを後悔しているような節もあるのが面白い。彼の孤独の城は、地位は、成功は、ある意味敗北と取れなくもない。しかし死には打ち勝つことができた。たぶん人の数だけ戦いがあって、そして敗北も勝利もあって。こんな人もいたのだなあと思う。
    カインな人に向けて、限定的な書き方をしているが、ちらとでも思い至るところのある人は意外と多いのではないだろうか。みんな何かしらの印を刻みながら、自分を殺しながら(生まれ変わった、変わった、というのはある意味少しずつそれまでの自分をあやめていくことでもあるのだなあと思う。変われなかったら自分自身への死が待っているのかもしれない)、生きていっている。

    タイムリーすぎる本を読んだなあと思う。個人的にはそこまで死を恐れていないという天の邪鬼な気持ちがある。単純に死んではいけない、という論理はむしろ苦しいと思う側だ。しかし死にたくないときにこういう本は力になる。自分の命の始末が自分で決められる世界であって欲しい。ただそんな世の中は単純な幸福はもたらさないだろう。むしろ物事を複雑にする。だけど私は死よりも自由が欲しい。それはたぶんこの著者の言葉でいったら、人に迷惑をかけることから逃げたいからだ。そして私は弱いまま生きたいと思う。

  • 中島義道節が炸裂していた。本書は中島が死にたいほど悩んでいるT君(架空の人物)に宛てた手紙形式のエッセイです。しかし多分30年前の20代の過去の自分に宛てた手紙に近い。だからこれは自己啓発ではなくエッセイという方が正確な気がする。だけど中島の生き方はマイノリティーには励まされる。
    少し引用します。

    そして、きみはいつか死ぬ。この広大な宇宙の中で。たとえ、きみの書いたものが、きみの死後少数の人にあるいは大勢の人に読まれることがあるとしても、まもなく誰もきみのことを覚えていない時が来るであろう。きみはまったく忘れ去られるであろう。  それでも、地球は優雅に太陽のまわりを回転し、太陽は銀河系を回りつづけるであろう。そして、いつかこのすべてがなくなるであろう。

    大体こんな調子です。しかし不幸を味わい続けてでも現実と向き合い続ける中島の態度は美しくすらあります。ただ中島義道という人間を知るのに特別本書を読む必要はないでしょう。彼の著作で他にもっと良作があります。

  • 読み手を選ぶ本だと思うが、個人的には9章~あとがきの文章が非常に好みで、何度も読み返している。

    p.210
    さあ、ぼくを離れて、ぼくがきみに言ったことをすべて忘れて、きみはひとりで生きていきなさい。きみは、きみの人生をきみ自身の言葉で彩ることを決心したのだから、それをどこまでも続けることだよ。

全80件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

中島 義道(なかじま・よしみち):1946年福岡県生まれ。東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰。著書に『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)、『反〈絆〉論』(ちくま新書)、『私の嫌いな10の言葉』『私の嫌いな10の人びと』(以上、新潮文庫)、『生き生きとした過去――大森荘蔵の時間論、その批判的解読』(河出書房新社)などがある。


「2024年 『時間と死 不在と無のあいだで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

中島義道の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
フランツ・カフカ
村上 春樹
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×