メルヒェン (新潮文庫)

  • 新潮社
3.80
  • (89)
  • (67)
  • (133)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 1065
感想 : 82
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001172

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ◆きっかけ
    ブクログ。タイムラインに出てきた『失われてゆく、我々の内なる細菌』のレビューから入ったfab-labさんの本棚より。2017/3/22

  • 童話集と呼んでも差し支えない内容の寓話がぎっしりと詰まった作品。スケールが大きい、哲学的な(ブッ飛んだ)話も多いが、いくつかの話には共通点が見られる。
    「アウグスツス」と「アヤメ」ではそれが特に顕著だと思う。
    壮年期を迎えるに当たり、幼年期に持っていた宝を失ってしまったことに気付き、自身にとって大切なものが何かを探し、老いてようやく辿り着けるというプロセスが非常に似ている。
    就職活動で悩む人や、自分の仕事に疑問を感じている人に読んでほしい話だ。

  • 「アウグスツス」は何度読んでも泣く。心の琴線にグイグイ触れられる感じ。皆に愛されることは必ずしも幸福ではなく、受け入れるだけの人生を捨て、人に与えることの素晴らしさを知ることで、主人公は人生の終わりに再び天使の舞いを見る。

  • ドイツの叙情詩人が挑む『知らない人についてったらえらい目に遭った』アンソロジー。

    『 別な星の奇妙なたより』だけ好き。ろくでなしにも矜恃くらいあるんだってとこがいい。

  • ヘッセの創作童話。どれもわかりやすく、愛と人生の讃歌に満ち満ちており、幸せな気分に浸れる短編ばかりだ。なかでも、誰からも愛される(愛された)運命の男の悲哀と救済を描いた「アウグスツス」が好き。かなしく、せつなく、しかしヘッセらしい愛の歌が聞こえる。性的なメタファーも織り交ぜての「アヤメ」もいい。

  • 文豪・ヘッセが美しい言葉でつづるおとぎ話。一番最初と一番最後の話が良かった。言葉の裏にある物語の真意には気づけてないかもしれないけど。いやー、本当にヘッセは文章が美しくて読みやすい。その読みやすさゆえさらさらっと読んでしまっているんだけど。そのうち再読しよう。ヘッセの瞳で見る自然や世界はどうなんだろうっていつも思う。2012/177

  •  「おすすめの本を貸して」と言われたときに、最初に渡すのがこの本です。なのでとにかく本棚1冊めはこれ。
     ヘッセを読み始めたのは高校生のとき。それから数冊読みましたが、気に入ったのは「知と愛」とこの「メルヒェン」です。
     なかでも好きなのは「アウグストゥス」「ファルドゥム」「暗い川」。誰か絵本にしてくれないかしらん?ファンタスティックで音楽の聞こえてきそうな作品たち。アウグストゥスのような、人生やり直し系?はヘッセらしい話ですが、いつも考えさせられます。人間迷ってしまったら、1からやり直すこともできるし、人生無駄なことはなにひとつない、でもいろいろやり直して試して…とやるには人の一生は短すぎる、では今をどう生きるべきか?…というように。
     高橋健治氏の訳がまた丁寧で上品で、私はドイツ語は得意ではありませんし原文に触れたこともありませんが、おそらくは繊細で几帳面なヘッセの書き方によく合っていると思います。
     何年かおきに読み返したい短編集です。

  • この訳を「メルヘン」じゃなくて「メルヒェン」にした高橋健二はエライ!!どっからどーみても絶妙にメルヒェン。穏やかで情熱的な話の展開とか、優しい登場人物がいまいち甘やかしてくれないところとか、どーにもドイツ文学。なにより美しい。

    アウグスツスが一番人気みたいですが、わたしは詩人がとても興味深かったです。
    男の人が男主人公でえがく求道小説というのは読んでいて「自分勝手だなあ!」と思ってしまうことが多いのですが、この話は前半多少汗臭いものの全体的に童話っぽくてなんとなく可愛らしい。とても短い話なんだけどちゃんとポエティックで、ラストはゆっくりと息を吐いてしまいました。

    五感全部で小説を読んだのは久しぶりです。ヘッセはこれですきになった。

  • まさにオルゴールのような短編集。小さな箱を開けると、懐かしさとともに封じられていた世界の秘密が鳴り始める。

    特に忘れられないのが「アウグスツス」と「アヤメ」。

  • 誰からも愛される子に、という母の祈りが叶えられ、少年は人々の愛に包まれて育ったが──愛されることの幸福と不幸を深く掘り下げた『アウグスツス』をはじめ、大人の心に純朴な子供の魂を呼び起こし、清らかな感動へと誘う、最もヘッセらしい珠玉の創作童話9編を収録。

    9編の物語に共通しているのは、死へと向かっていくということである。けれども、その死は不幸なものではなく、幸福な気持ちを持ったものであるというところに、この童話集の素晴らしさがある。
    こうした童話を創りだすことができるのは、人々と自然を愛したヘッセならではの魅力であろうと思う。

全82件中 11 - 20件を表示

ヘッセの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×