- Amazon.co.jp ・本 (378ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102071045
感想・レビュー・書評
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会社員をしていると、日々理不尽なことばかりであって、物に当たったり、ヒトに当たったり、何れにしてもその後には自己嫌悪が待っている。しかしそれにも限度があるので、カフカのこの小説の主人公Kが味わう理不尽さの比ではない。朝食中に得体の知れない男二人に逮捕連行され、刑事訴追される。普通の冤罪でも罪の内容、訴訟の理由が呈示されるが、それすらない。最後は下級役人二人によって喉を絞められ、胸を刃物で突き刺されて死ぬ。31歳の誕生日の前日に。Kが死ぬ直前に感じた恥辱というのが字面通り受け取ってよいか迷う。
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何も悪いことをしたと身に覚えはないのに、ある朝突然逮捕をされる。逮捕と言っても拘束されるわけではなく自由に行動できる。ふつうに会社にも行き、ふつうの生活ができる。しかし、裁判所には呼び出されて話を聞かれる。何が原因で捕まるのかもわからず、何を話すというのか。ところでこの裁判所だが、裁判所らしくない。どこかのアパートの最上階を使っているのか。何ともイメージしづらい。そしてそこに女性が現れる。主人公のヨーゼフ・K、一体このKにはどんな魅力がるというのか。自分の中では「城」からつながっている。30歳、未婚、仕事はよくできるというイメージがある。しかし、ここでは女性側にも問題があるのかもしれない。さて、逮捕されたということは次第にうわさになってしまう。心配しておじさんが訪ねてくることにもなる。頼んだわけでもないのに、友人の老弁護士を紹介される。その弁護士の家で、また女性が現れる。そして、すぐにその女性ともこそこそと何らかの関係をもつことになる。ただし、この女性は弁護士に相談に来る男性とは誰とでもすぐに絡んでいる様子が後に分かる。Kは同じ下宿に住む女性にも恋心を寄せているが、そちらはどうやらうまくいかない。アプローチの仕方も良くない。どうも僕は、登場する女性の方にばかり目が行ってしまう。カフカ自身が、何らか女性との間に問題を抱えていたのだろうか。さて、カフカを読み直しているが、どうもリアルな空間を思い描きにくい。それがかえって普遍的な印象を持たせているのかもしれない。時代とか空間とかを飛び越えて何か突き刺さってくるものがある。ストーリーとしては、なんら伏線が回収されるわけでもなく、どう考えても未完成なわけだけれど、それでも場面・場面に重量感がある。不可思議な夢の寄せ集めのようだ。
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世の中の不条理、理不尽を描いた小説だった。
銀行員Kは全くいわれのない罪で逮捕される。周りの出来事は理不尽に進み、何の罪で、あるいはどういった経緯で逮捕され、連行され、弁護士や画家を通じて裁判官に請願するのかわからぬまま、最後には処刑されてしまう。全く何故そんなものがあるのかわからないけれど、確実に存在する不条理に不幸にも苛まれてしまったKは、次第にその大きな大きな不条理に反抗する、正当性を主張する力すら無くなってしまい、最後には処刑台の上で唯一自由な首を振るのが精一杯であった。
この本では、章の順番が明確ではないため巻末にいくつか章があったが、そこまで読む気にはなれなかった。
なんでかと言うと、この話の終わりのなさに、あるいは本質的には何事も進展しない出来事の羅列にうんざりしてしまったからだ。
もちろん最初から順番が決まっていて、その通りに記載されていたのならば、渋々読んでいただろうけど。
小説っていうものは、こんなに嫌々読まされるものなのかという気持ちになった。
ただ描いているテーマは、間違いなく重要なことで、さらにそれを上手に再現しているという点には、凄いな〜と思いました。 -
何かすごいリアル。
なんていうかすごくレビューを書きづらい。
いい表し難いんだけど、カフカはやっぱすごいと思う。
「変身」とのギャップがすごい。
すごいしか言ってない。
とりあえず「城」を読むのが楽しみです。 -
2013年7月26日読了。
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『ぼくらの頭脳の鍛え方』
書斎の本棚から百冊(立花隆選)88
世界文学
まあ、最低こんなところを。 -
合わない。
それともうひとつ。
この話を身近に感じることのない環境にいられて幸福だということ。 -
1971年。
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カフカの世界にのめりこんだのは、やはり中学生の頃。特にこの審判が好きです。不可思議な話の中に、何故か現実を重ねて考えさせられてしまう。