大地(二) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102099025

感想・レビュー・書評

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  • 王龍(ワンロン)の息子たちの代の話が始まる。特に三男の王虎(ワンフー)と王龍の晩年の妾梨花(リホワ)を中心に語られる。あれほど大事にしていた土地はまた他の人の手に渡っていってしまう。子どもたちは思うようには育たない。切ない話が続く。

  • 1巻も面白かったけど、2巻は止まらなくなってしまった。

  • 一巻が王龍の結婚から死歿までを一気に描いたのに対し、二巻はその三人の息子の独立と成長を描く。前半は長男と次男およびその家庭に迫った筋の展開をみせるが、それは全て中盤以降の三男の物語の伏線で、後半になると二人の兄が気難しい三男にふりまわされる。戦争、それも国対国ではなく軍閥や匪賊の話がその真ん中を貫くために、下手をすると安っぽい冒険譚でおわりそうなところを、本当にうまく描き切っている、流石はノーベル賞受賞作品だと舌を巻いた。次男は大概僻みで妄想的なのが多いが、今作の次男はある意味で一番ぬかりなく、むしろ末っ子、それも末娘的な智慧の多い性格のもち主。長男はやっぱりいつの時代でもろくでなし。
    一巻が疾風駆け抜けるが如き内容だったのに対し、今巻は三人の成長をおうために必然内容としては薄く、また遅くなった嫌いがある。しかし非常に人物をしっかり観察していて、更におどろくのは中国を細かく観察していること。作者の名前をみなければこれが欧米人の手になる小説だとは俄かには信じられない。

  • 展開が面白い、三巻でどうなるのかすごく気になります。

  • 大地から根付いた巨木から広がる三本の枝葉、第2巻。

  • 一巻で王龍が死んで、二巻で3人の子供たちの時代になるのだが、
    性格の違う三人が、それぞれ自分の利益だけを考えて
    行動しているだが、家族の絆は案外強い。

    中国の家族のあり方だと思われる。

  •  大地を耕しその実りを生活の糧にする親世代から、子の世代は土地を資本としている。王家の世代交代が歴史を凝縮しているみたいだ。
     三人の息子は文人もどきと、商人、軍人で、その妻たちも良家の娘、農民の娘、さらに軍人の王虎の最初の妻は、まるでスパイ映画の主人公になれそう。匪賊を束ねる頭の後ろ盾になるほどの権謀家で美人ときている。また王虎の次の二人の妻は、学問があり纏足をしていない新しい女と倹約純朴な女。
     個性あふれる役者ぞろいでもあり、農村の狭い社会から徐々に政治や経済に関わりが出てきて引き込まれる。
     二巻目でも中国の風習を知る。死人には七(白+鬼)があり、読経をすることで、一週間に一ハクずつ取れていくこと。だから7x7の四十九日。男の子の片方の耳の金の輪は、母親が悪魔に女の子と思わせてさらわれないようにするおまじないらしい。

  • 自分の中ではナンバー10入り

  • 「中国的な家族」がよく分かる古典的名著。

  • 大富豪になりながらも、終生その肉体と精神が大地を離れることのなかった王龍と対照的に、三人の子供たちはもはや農民にはならず、それぞれの道を歩み始めた。父が辛酸を重ねて手に入れた土地は、一代限りで再びバラバラになってしまう。

    三男の王虎が軍人となり、大きな力を持つようになっても、民衆を極力虐げることなく地方を治めようとする姿に、彼も紛れもなく王龍の血を受け継いだ息子なのだということを感じた。
    それぞれの息子たちの考え方や生き方がまったく別のものなので、兄弟といえどもこうまで違うものかと思うととても興味深く読むことができた。

著者プロフィール

(Pearl Sydenstricker Buck)
1892-1973。アメリカの作家。ウェスト・ヴァージニアに生まれる。生後まもなく宣教師の両親に連れられて中国に渡り、アメリカの大学で教育を受けるため一時帰国したほかは長く中国に滞在し、その体験を通して、女性あるいは母親としての目から人々と生活に深い理解をもって多くの作品を発表した。1932年に『大地』でピュリッツァー賞を、38年にはノーベル文学賞を受賞。また1941年に東西協会設立、48年にウェルカム・ハウスの開設と運営に尽力するなど、人類はみな同胞と願う博愛にみちた平和運動家としても活躍した。

「2013年 『母よ嘆くなかれ 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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