ブラームスはお好き (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102118047

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  • 孤独、安楽、生活、金、美貌。
    恋はしていないけれど、何故か離れることができない彼。
    一回りも年下の青年からの熱烈な恋。

    40代を目前にした女性の複雑な心はいったい何処に、誰に救いを求め、そして満たされることはあるのか。

    アラフォー向け?と思いきや10代の頃の私が読んでも十分に面白いと思えた作品。
    女に生まれたからにはぜひ読んで共感して欲しい一冊。
    これから迎えるであろう人生の半ばに、サガンを知っているのと知っていないのでは天と地ほどの差がでてくるのでは。

  • 全体に漂うは孤独。
    サガンらしく、男と女がひらりひらりと浮いて消える話である。
    皆一様に手に入らぬ願いを持っている。
    若者は「愛」だとか「欲」だとか。主人公たちは差し詰め「未来」だろうか。それは手に入らず、皆孤独にふけっていく。

    主人公は美しさにかげりさす39歳の女性。

    解説してみたい場面はたくさんあったが、冒頭の美しい言葉が気に入ったので一文捧げる。
    主人公ポールは、14年前に稲妻に打たれたように突如幸福を体験する。その記憶をうっすら思い出しながら、ポールはあの時の幸福を「果たされなかった約束」と表現する。
    「果たされなかった約束」
    叶わなかった未来、と言い換えられる。
    悲しみや憧れが匂い立つ。なかなか甘美で寂しい言葉だ。

    全編この言葉の匂いが支配する。
    ポールが静かに、鮮烈な幸福と決別するところから物語は始まる。
    最早幸福は空想となり、ポールは欲望を求める残酷で幼稚な恋人のため、皺の寄らぬシーツに耐える。

    恋愛とは、叶えられない期待だ。
    ポールの幸福と同じ。
    私たちは生きているというのに、過去を思って未来を嘆く。
    そうして今とは何か。
    サガンの世界から答えるなら「孤独」の一文字なのかもしれない。

  • 愛しているのに、孤独。愛しているから、孤独。
    しかし、もう愛する人なしには、そしてその孤独なしには生きられない。

  • サガンの書く恋愛は激しいように思えてどこか寂しさそ伴い、読んでいてとても悲しい気分になる。ねっとりとした所謂昼ドラ的展開を見せることもしばしばあるのに、嫌気を感じさせないのがサガンの凄いところ。何冊でも読める気がする。でも、やっぱり一番戻りたくなるのは悲しみよ、こんにちは。

  • なんで、なんで、とか文句言いながら、何故か最後まで読まされる。結末はずっと暗示され続けていて、別にどんでん返しを期待するのでもないのに、何故か読み離せない。10以上も上のヒロインを、どうしてここまで描けたのだろう。

  • 「あなたが恋愛をとり逃がしたことに対して告訴します。あきらめをもってその日暮らしに生きたことに対して…。あなたに孤独の刑を宣告します。」
    今の私は服役中なのだろうか。妙に心に染みる。。。

  • なんともフランス人らしく悩む。

  • 学生時代ぶりに


    それでもまだまだ分からない
    若さを羨む気持ち
    まだ若いからだろうが。

    独占したい

  • 年の差ってやっぱ難しいのか…

  • 成熟したサガンというとこで有名な一冊だが、今頃になって読んだ。

    繊細な文体が、ころころ変わる主体に追いつき、全体の憂鬱感と恋愛のどうしようもなさをうまく表している。似たような内心の描写なのに、主語が急に変わる中でも各登場人物を決して混同することはない。それは、ほどよい間隔に固有名詞で人名を埋め込む技術的な円熟さと、どもまでも味わい深く人物の内心を捉え切った感性の鋭さの両方を意味する。

    いつか傷つけてしまうと分かりつつも、所有権と母性愛の双方を強く恋人に感じてしまうさま。自分が納得できる男でありたくて、恋人に「幸福かい?」と聞きつつも、単純な答えで納得し決してそれ以上考えようとしないさま。
    日常生活にある密やかな瞬間の切り出し方が、やっぱり最高にうまい。

    作家とは、常に自分の醜さと美しさと随時絶え間なく対峙しているものだろうか?どうしたらここまで正確な形で書き出せるのだろう。美化や取り繕いなどの罠にはまらず。

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著者プロフィール

1935‐2004。フランス、カジャルク生れ。19歳の夏、デビュー小説『悲しみよこんにちは』が批評家賞を受け、一躍時代の寵児となる。『ブラームスはお好き』『夏に抱かれて』等、話題作を次々に発表した。

「2021年 『打ちのめされた心は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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