- Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102134054
感想・レビュー・書評
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恥ずかしながらこの年になって初めてよむ「緋色の研究」。ホームズ物は子供のころポプラ社か何かのシリーズでいくつか読んだくらいで、後はほとんどテレビドラマ知識(笑)。なんとなく思い立って、きちんとした訳の本も読んでみようと思って、手始めにシリーズ最初の本作を手に取ってみた。
読み終わった結果、訳文がいささか年代物なのを差し引いても十分面白い。二部構成になっているのも知らなかったが、特に後半のアメリカでの出来事がまったくの冒険物語で手に汗握る。このあとこの人たちはどうなっちゃうんだろう、とページをめくる手が止まらなかった。ドイルおそるべし。
鮮やかな推理で19世紀末の読者に鮮烈な印象を残したであろうホームズ、その完成したスタイルは21世紀の我々をも十分に魅了する。これで私もシャーロキアンの入り口に立ってしまったかもしない。さて、次は「四つの署名」でも読もうかしら? -
1950年代の訳を1990年代に修正したらしく、おかげで非常に読みやすい。その後更に新潮文庫は装丁を一新、意匠を凝らしたカバーはかなりお洒落。大きくなったフォントサイズは読みやすいが厚くもなるので痛し痒し。
あまりに古風すぎる訳は直したとあるが、ちょいちょいヴィクトリア朝の風を感じる。男性の物言いが基本的に柔らかく紳士的で、世間(というより語り手のワトソンが)格調の高さを重んじている辺り。
この顧問探偵についてはジェレミー・ブレッド版から入り、原作を読み、カンバーバッチ版を観ている。
原作が一番面白い。ホームズの魅力を余すところなく味わうには原作が一番と思う。実験の成功に子どもみたくはしゃいだり、相手の反応お構いなしに熱く自説をぶったり、犬に例えられたり、結構感情の振れ幅が大きかったり、アイコンとして世間に出回っているホームズ像とは違う血の通った探偵を実感できる。ふと読みたくなって引っ張り出すと、なかなか読むのを止められない。
ホームズという人物があまりに濃いため、事件のあらましの方は些か味が薄く感じて記憶にあまり残らない。おかげで何度読んでも新鮮に楽しめるのはお得だが、モルモン教会のくだりはホームズが全く絡まないので冗長に思える。 -
遂にこのシリーズを読み始めた。
ドラマや映画ばっかり見ていたので、割と推理はあっさり終わらせてるんだなと言う印象だった。
あとシャーロック結構表情豊かだし人当たりも良さそうだった。
後半の話がメインなんだろうな、かっこよかった。 -
4.5年ぶりに読んだ…。
長いな〜〜。
はじめてシャーロックを読んだのは冒険だったから、こんだけ犯人の話が長いとそら飽きるなと思った。こう読むとSherlockってやっぱりおもしろいな〜、 -
とても今更ながら、シャーロック・ホームズのシリーズに手をつけてみた。すこし文語的だとは聞いたけれど、読むのに手間取るほどではなかった。というかさくさく読めた。面白かった。
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批判もいろいろあるようだが、古い作品だしこれはこれでいいと思う。
読者に推理の余地なくホームズの神がかった推理を見せられるというのはその通りだが、求めるものの違いであって作品として批判されるものではないかな。
途中、誰も見ていないはずの三人称の物語に変わるところは確かに奇妙だと思ったけど。 -
そりゃシリーズになるわ
ってくらい圧倒的に面白い。
犯行の背景にある出来事を
突然場面が切り替わって徐々に
ホームズ達が取り組む事件はとつながっていく流れが好き。 -
普段推理小説というジャンルは殆ど読まないこともあり、この作品に出てくる推理的な仕掛けがどの程度まで「巧い」ものなのかという判断は自分には出来ないけれど、登場人物のパーソナリティや物語の展開の観点からは非常に魅力的に映る一作だった。話自体がそこまで長くないということもあり、先の展開が知りたくて一気に読み終わってしまったほどには面白かった。
破天荒な言動で時には傲慢にすら映るホームズが一転、自身の探偵術を褒められると照れて顔を赤くしたり、自身の思惑がやや上手く運ばなかったりした際にその落胆振りが素直に態度に出たりするところなど、物語の中心人物の表情が豊かで緩急が付いているところなど、特に楽しく読ませてもらった思いがする。
たとえ推理や論理的な思考の方面には明るくなくても、助手のワトスン博士が事件の疑問点等読者の代わりに列挙してくれる箇所があるのも非常に好印象。事件の流れを分かりやすくしてくれていた。
ただしこの文庫版の解説でも指摘されているように、最終章で「ドレッバーの結婚に関する点だけを知らせてくれ」とクリーヴランドの警察署長に電報をした、と言及されている箇所に関してだけは「アレッ? その時にそんな話してたっけ?」と違和感を抱いてしまうのがやや残念。とはいえこの唐突な違和感を差し引いても魅力的な一作だったことに間違いは無かった。