16品の殺人メニュー (新潮文庫 ア 6-9)

著者 :
制作 : アイザック アシモフ 
  • 新潮社
3.04
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本棚登録 : 90
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (537ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102186091

感想・レビュー・書評

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  • ☆3.5

    アンソロジーは選んだ作品だけでなく順番にも意味があるとはよく聞く。
    コース料理に見立てた並びで素敵な時間を提供する絶品のアンソロジー。

    約半数は初めて聞く作家だったが、それぞれに良い。
    やはり食は根源。

    ❲スープ❳
    「チキン・スープ・キッド」R・L・スティーヴンス
    クインリンはその後大丈夫だったのか!?という心配がなくならない。帰るとき多分、彼すごいドキドキしてたと思う。カジノにハマって借金などするものではない。サラッと意外な展開で良き。
    ❲前菜❳
    「茸のシチュー事件」ルース・レンデル
    ウェクスフォードとバーデンのコンビがすごく良い。関係がコリン・デクスターのモースとルイスの二人っぽくてちょっとニヤニヤする。みんな大好きあの頃の英国ものの香り立ちのぼる一編。後で茸の写真を調べてみたら色々すごかった。
    〔第一のコース〕
    「毒薬ア・ラ・カルト」レックス・スタウト
    美女と一緒でも酒よりミルクを貫くアーチー・グッドウィンがやっぱり良いよな。今作はあまり推理って感じではなかったので、ネロ・ウルフものをもっと読みたい気持ちになった。
    〔野菜〕
    「凶悪な庭」キャロル・カイル
    ひぃぃ、すごくホラー。当たり前に暮らしていた場所が変貌する恐怖。この作品は映像にしてみたら更に怖いだろうな。ずっと薄暗い空で不穏な風が吹いてそうな世界。"食べる"ということに思いをはせる。
    〔メインコース〕
    「特別料理」スタンリー・エリン
    みんな大好き特別料理。他のアンソロジーでも読んだことがあるが、何度読んでもやっぱりゾワゾワする。レストラン・スビーロズは男性客のみの店っていうのはすっかり忘れてたが、ラム・アミルスタン、果たして如何なるお味なのだろうか。
    〔メインコース〕
    「おとなしい凶器」ロアルド・ダール
    これも有名な一編。これほど大胆不敵という言葉が似合う人もいないかもしれない。これのネタにこのラストが合わせることで、皮肉な後味が残るのがとても良い。冒頭のふわふわ幸せな空気がたったこれだけのページ数でこんなことになっちゃうのね。
    〔香辛料〕
    「追われずとも」アイザック・アシモフ
    ご存知黒後家蜘蛛の会、ヘンリーの手にかかれば快刀乱麻、鮮やかに。買い取った原稿を何故かいつまでも掲載してくれない編集者のお話。またシリーズ通して読み返したくなる、いつものわちゃわちゃした大好きな奴らだった。
    〔香辛料〕
    「二本の調味料壜」ダンセイニ卿
    ロード・ダンセイニのお名前、エドワード・ジョン・モアトン・ドラックス・プランケットって初めて知った。長いぞ。作品は、ラストの一言で読者を綺麗にあっけなく突き放す、というかもはや切り捨ててるようなスタイルがだいぶ素敵。スパーンと。
    〔飲み物〕
    「使用済みティーバッグ窃盗事件」エドワード・D・ホック
    怪盗ニックのシリーズはまだ読んだことなかったので、良い機会。価値のないものしか盗まないという決まりがどんな信条のもと定めたのか気になる。今回は何故ティーバッグなのか、ちゃんと意味があるのが気に入っている。
    〔飲み物〕
    「亡命者たち」T・S・ストリブリング
    なんという皮肉な運命だろうか。確かにどこか神話めいたしょうもなさみたいなものがあって、そんなだからラストがこうなるのもさもありなんという感じ。どこまでも滑稽になってしまった男の復讐譚であった。
    〔デザート〕
    「幸せな結婚へのレシピ」ネドラ・タイアー
    ルーシーはどんな人間なのかわかったようなわからないような曖昧な存在感で、かわってイザベルは俗物貪欲肉食な生命力バリバリな女で、この対比が面白い。イザベルにとってはルーシーって本当にムカつく女なんだろうなぁと笑ってしまう。
    〔デザート〕
    「死の卵」ヤンウィレム・ヴァン・デ・ウェテリング
    イースターの朝に発見された自殺と思われる死体と、チョコエッグに含まされた毒による殺人未遂。せっかくのイースター休暇も返上でフレイプストラとデ・ヒーアは捜査に向かう。とてもスタンダードな捜査もので安心して読める良作。
    〔デザート〕
    「ノルウェイ林檎の謎」ジェイムズ・ホールディング
    エラリー・クイーンがモデルの、コンビ作家リロイ・キングとして活躍する二人のシリーズ。船上で林檎で喉を詰まらせた女性の死亡事故を、殺人では?と話し合う職業病な二人の掛け合いが楽しい。ラストをこう持ってくるとは小気味良い。
    〔ナッツ類〕
    「ギデオンと焼栗売り」J・J・マリック(ジョン・クリーシィ)
    スコットランドヤードのギデオンを主役としたシリーズ。二つのグループの喧嘩に巻き込まれ怪我をした馴染みの焼栗売りのために奔走し意外な真実が判明する。1クール刑事ドラマの第5話あたりにやりそうな人情味ある一編だった。
    〔食後の腹ごなし〕
    「いつもの苦役(グラインド)」ビル・プロンジーニ
    この〔腹ごなし〕としてこれを入れるアシモフの意地悪さよ。自分の中の理想のショートショートのイメージってこの一編みたいなやつかも。ひねりも効いていて、ついうむうむと頷いて読んでしまう。好き。
    〔飼犬へのお土産〕
    「ドッグズボディ」フランシス・M・ネヴィンズJR.
    お土産にしたらいかんよ、アシモフさん。ということで犬が死んじゃいますのでご注意を。詐欺師が仕事中に警察の捜査のお手伝いを言い渡されてしまう。なんかもうこれはコメディと言ってしまっても良いのでは。

    今回特に気に入っているのは「ノルウェイ林檎の謎」と「いつもの苦役」あたり。
    ジェイムス・ホールディングはもう少し他の作品も読んでみたくなったが、単著はなさそうでしょんぼり。

  • 読んだことのない作家さんばかりの短編だったけど、他の作品も読んでみたいと思った。
    食(毒?)をテーマに16篇楽しめました。

  • 料理にまつわる犯罪小説のアンソロジー。古きよき洋モノミステリのアソートが味わえる。こういうのから入って、好きな作家を見つけて読書を深めていくのもいいよね。

  • スープからコースに沿ってデザートまで料理に関する殺人事件のミステリー集.

    アシモフの作品が入っているということで買ったけれど,まさかの読んだことのある物語でショック……
    だけれど,私の好きなネロウルフシリーズ(毒薬ア・ラ・カルト レックス・スタウト)も掲載されていたので,良し!

    凶悪な庭(キャロル・カイル),特別料理(スタンリー・エリン),幸せな結婚へのレシピ(ネドラ・タイアー)などなど,けっこう気持ちの悪い物語も多かったです.

  • 料理にまつわる殺人を集めたアンソロジー。料理がテーマだけに、毒殺がやや多め。娯楽性が強くておもしろいのだが、あまり知られていない作品の発掘、という意味合いは低い。既読の作品が多いのだ。定価だったら買わなかった。

  • エリン 特別料理

  • アシモフの短編集かと思ったら、
    料理にまつわるミステリーを集めたオムニバスだった。
    中盤の野菜畑の逆襲にあう話が怖かった。

  • 16の殺人事件を召し上がれ

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