- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102451168
作品紹介・あらすじ
重病から生還した34歳の作家シドニーはリハビリのためにブルックリンの街を歩き始め、不思議な文具店で魅入られたようにブルーのノートを買う。そこに書き始めた小説は……。美しく謎めいた妻グレース、中国人の文具店主Ⅿ・R・チャン、ガーゴイルの石像や物語内の物語『神託の夜(オラクル・ナイト)』。ニューヨークの闇の中で輝き、弦楽四重奏のように響き合う重層的な愛の物語。
感想・レビュー・書評
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悪い夢をみているかのような物語。
最後に夢から覚めてようやく主人公は安堵したのでしょうか。言葉が未来を引き寄せる、というのには同感するところがありました。言葉には何か不思議な魔力?があるのかもしれません。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
物書きを生業にする男とその男の知人であるやはり物書きを
生業とする男の物語(現実)、
その男が奇妙なノートブックに綴る物語、
その物語の主人公のもとに送られてくる物語の中の物語、
知人の男が過去に描いていた物語、
男が映画原作のために描いている物語、
男の妻や近所の文具店店主に対する虚実入り乱れた想像、
それらが緻密に組み上げられ描かれた、
言葉と愛情をめぐる一篇の物語。
最近のオースター作品の主人公、
触れようとしたら触れられそうなくらいには現実感が伴っている
(実在してそうな感じ)。
初期作品群を覆っていた、絶対的な孤独感、
透徹とした喪失感が
ちょっと恋しくなったりもする。 -
病み上がりの作家「私」の視点で描かれる物語。
「私」は色々な意味でふわふわと不安定ですが、関係ないようでいてやけに印象的な挿話の数々がテンポを操りながら、層を織りなし、主旋律である「私」をより立体的に浮かび上がらせます。
ポール・オースターのこの不思議な雰囲気をまとった物語を紡ぐ、柴田元幸氏による訳文の一語一語も目から入る滋味のようです。
久々にこの世界を堪能しました。
面白かったです。 -
作中作小説にすら掌編が存在する稀有な構成に加え、ハードボイルドの古典「マルタの鷹」が引用されていたりと、今作も随分とディテールに趣向が凝らしてある。三角関係の件は途中で予想がつくものの、この巧妙なストーリーテリングは正しく唯一無二だろう。悲劇的で痛ましい物語だが、決してその印象だけでは終わらない。このタイトルの意味合いは読了して初めて理解出来る。主人公のシドはこの14日間の数奇な体験を通し、肉体的だけではなく、精神的にも【再生】したのだろうな。こんな凄い小説家を今まで知らなかったのは本当に勿体ないぞ、私。
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長編だけど、小さな範囲を丁寧に書いてくれている小説。小さな範囲だけど、悪い意味での箱庭感はない。文章がすとんと心に収まる感じがしました。不遜ながら、今の自分の身の丈に合った小説だなあと思って、すごく心地よく読めました。【平成30年10月2日読了】
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ポール・オースター読まれたんですね。ニューヨーク3部作からずっと読んできたけど、本作は未読。面白そうなので今度読んでみたいと思います。ポール・オースター読まれたんですね。ニューヨーク3部作からずっと読んできたけど、本作は未読。面白そうなので今度読んでみたいと思います。2018/11/12
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ポールオースターは随分前に読んだ「偶然の音楽」以来の2作目。1作目もかなり好印象だった。日常的とも言える出来事の積み重ねの中に 少しずつある種の物語が浮かび上がってくる。特別な事件は何も起こらないのに 引き込まれていく。う〜ん、なかなか読後感も良かったです。
他の著作も読みたくなります。 -
ばりおもろすぎる
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1人の作家の日常と、構想中の話いくつかと、その話の中に出てくる話と…という、もとから作中作品の多い作家がこう来るか⁉︎となるような話。
どこが主人公の中の話で、どこが作中の話かごちゃごちゃなりつつ、時々起こる何か不穏な雰囲気。そうなったら一旦読むのをやめて(電車の中で読むことが多いため)家で続きを読み進めたり…特にラストはもう、どうなるのか怖くて読み進められない。先が短いとわかりつつ、ごわごわ読み進めると、そこまで救いようのないラストではなく、少し安心。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/758938